『最高の飲み方』監修者に教わる、楽しくスマートに飲むための「二日酔い対策」ウソ・ホント

27 December 2018

『最高の飲み方』監修者に教わる、楽しくスマートに飲むための「二日酔い対策」ウソ・ホント

2018年もそろそろフィナーレ。年末年始休暇のいいところといえば、翌日の心配をせず何でもできてしまうところ。中には仲間とワイワイお酒を楽しむ人も多いのでは?

そんな時期に備えて、著書『最高の飲み方』の監修者であり、肝臓専門医である浅部伸一先生が、二日酔い対策にまつわるウソ・ホントに回答。自身もお酒を飲むのが好きだからこそわかる、楽しくスマートに飲むためのコツを解説してもらった。

まず知っておこう。アルコールが体の中に入ると、体はどう働くの?

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「アルコールはまず小腸で吸収されます。10%は胃からも吸収されると言われていますが、主となるのは腸からの吸収です。この腸からの吸収はとても速いのです」と浅部先生。

「一方で吸収された量の9割ほどが肝臓で代謝されます。体に入れたものを分解、代謝、排せつする臓器の一つである肝臓では、アセトアルデヒドという毒性の強い物質を経由して、主に酢酸の仲間となる物質に代謝されます。そこからさらに分解が進み、最終的に水と二酸化炭素に変わります」その他ほんのわずかは、尿や呼吸、汗から排せつされるそう。

「ただ、アルコールは体にとって相当毒性があるものです」と浅部先生は忠告。「だからアルコールを摂取すると、体は一生懸命アルコールを無くそうとし、肝臓は分解に努めるわけです。ですが、残念なことに分解スピードはそこまで早くありません。1時間で分解できるのは純アルコールおよそ4、5グラム、つまりビール1杯でしょう。肝臓が処理しているのはアルコールだけではないので、アルコールが優先的に体内から排出されることもありません。そしてアルコールが体内に残っているのが、いわゆる酔っ払っている状態です」

アルコールが飲んだ翌朝まで残り、胃がムカムカしたり、頭痛が起きたりするのがいわゆる二日酔い。「二日酔いになるということは、簡単にいえば自分の限界値を超えているということです」と浅部先生。「一方で二日酔いにならないからといって『健康的な飲み方である』とも言い切れません。ただ、二日酔いになっていれば明らかに健康的な飲み方をされていない証拠です」

二日酔いをはじめとする、痛みの原因物質と考えられるのは?

飲み始めの頭痛や二日酔いの不快な症状、それからお酒の飲み過ぎが発端となる病気の原因とひもづけられているのが、肝臓で作られるアセトアルデヒド。「アセトアルデヒドが何をするかは明確にはわかっていませんが、血管を広げる作用があり、化学反応を起こしやすい物質だと知られています。そのため細胞を傷つけ、害となる可能性があると考えられます」

「例えば食道がんは、強いお酒を飲む人やタバコを吸う人に多い病気ですが、これはその両者が食道の粘膜を傷つけやすくするからです。アセトアルデヒドも中から細胞を痛めつけるので、飲み続ければ害が出るリスクも上がると考えられます」


二日酔い対策にまつわる知識を正そう。あなたの常識は合っている?

飲み会前! 空腹で飲むのはよくない

A. 本当

少しおなかを満たしておけば二日酔いの回避になる、とは言い切れないけれど、「いきなりスタートダッシュはしない方がいいでしょう」と浅部先生。「何もない空っぽの胃に液体を流し込めば、当然アルコールはスーッと腸に流れ込み、一気に吸収されやすいです。つまり酔いが早く回りやすいということです

空腹にお酒はよくないというのは常識かもしれないけれど、あまり知られていないのは食べ物選びの重要性。そこで浅部先生はとっておきの裏技を教えてくれた。「先に食べておきたいのは、胃の滞留時間が長い食材です。そうすると、アルコールが胃から腸に流れる時間を遅くできます。血中アルコール濃度も急激に上がらないため、酔いを遅くできるのです。滞留時間が長い食材というのは、少し胃にもたれるものや腹持ちのいいものです」

例えば脂肪分があるものやタンパク質、繊維質を豊富に含む食材は、飲み始める前に少しつまんでおくといいそう。「ご飯などは2時間ほどで消化されてしまうので、そこまで長くたまってくれません。一方で長く滞留してくれるのは、脂肪分を含むチーズや、枝豆などの繊維質です。タンパク質に含まれるアミノ酸はアルコール代謝を促進してくれるので、お肉類や納豆もおすすめです。こういったものをつまみながら最初はゆっくり飲み始めましょう」

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日によってお酒の回り方が違うのは、この空腹具合も考えられるかもしれない。ただし食べてどれだけ酔いを遅らせることができるかには、個人差が生じるそう。「胃の滞留時間が長いとされているものでも、すぐに腸に届いてしまい、そこまで効果が見られない人も中にはいます。自分で試してみて酔いが回りにくい食べ物を取り入れればいいでしょう。いずれにしても空腹で飲むのはあまりおすすめできないので、何かしら食べておくことをおすすめします。それからお酒をひたすら飲み続けるのではなく、適度におつまみを食べながら飲む方が健康にはいいでしょう」

たくさん飲むときは、最初に胃の滞留時間が長い食べ物を食べておく、というのは知っておくだけでお得な点。早速次回の飲み会から試してみては?

アルコールの代謝に必要とされているビタミンB群。足りているか心配なので、サプリで補うべき

A. ウソ(そこまで必死に摂(と)る必要はない)

「多くの方はビタミンB群が極端に不足するということはありません」と浅部先生。「普通に食事をしていれば、失調して不調を招いてしまう可能性は低いです。ただ、体内に足りていなければアルコールの分解が遅れる可能性はあります」

極端にビタミンBが少ないのは、アルコール依存症の方が主だそう。「お酒しか飲んでいないような人は、実際にビタミンB群が極度に不足する病気があります。神経にしびれがきたり、歩けなくなったり、などいろいろな症状が出ますが、普通の人にはまれです」

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ビタミンB群の代表的な食材である玄米や豚ヒレ肉、豚レバー、落花生、納豆などから意識的に摂取をしよう。ちなみにビタミンB群の他にもアルコールの代謝に必要とされているのは、アミノ酸と水。そのため、日頃からしっかりとタンパク質を摂(と)っておくのも得策。

二日酔い対策のドリンクを飲めば、少しは二日酔いを軽減できる!

A. 個人差がある

「そこまで効果が期待できるとは思わない方がよく、肝臓のアルコールの分解力を高めるほどの効果はないと思っています。ただし分解力が落ちている人を助けてあげる、ということはあるかもしれません」と浅部先生。

「ウコンには炎症を抑える作用があるとされているので、効果があるかもしれません。ただし、さまざまな健康効果が報告されているウコンに含まれる『クルクミン』の効果はまだ議論中であり、どれだけ効くかというのはまだわかっていないというのが現状です」

ウコンを飲む量を増やせば、効果も上がる

A. 考えられなくはない

「可能性としてはあります」と浅部先生。

ただし飲み過ぎると肝臓を悪くすることも考えられるそうなので、注意した方がいいそう。
「市販のドリンクを飲むだけならあまり心配しなくてもいいですが、たとえ天然とはいえ、ある程度薬効があるものは取り過ぎると害が出ます。薬とは、効果があり害があまりない量だからこそ薬になるのです。ウコンにも薬効があるとしたら、多ければいいとは限らないでしょう」

二日酔いの症状を軽くする上で水分補給は欠かせない

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A. ホント

お酒を飲むとき水分補給が大切なのは周知のこと……と思いきや、実際は脱水症状に近い人が非常に多いという。「飲み会などではトイレが近くなり尿からどんどん水分が失われます。加えてアルコールの分解自体にも水分が使われるため、飲酒中は脱水になりやすいと心得ておきましょう」と浅部先生は忠告している。

脱水になるとますますアルコールの分解が悪くなりますし、頭痛をはじめとする不快な症状も出やすくなります。病院に運ばれたときに点滴をするのも、脱水症状を起こしているからです。点滴を打つと回復される方も多いことから、飲んでいる間、脱水症状を起こしている人が圧倒的に多いと考えられます。だからこそ飲んでいるときも飲んだ後も水分をとるのが大切です。お酒を飲みながら水分をとらない人が多いようですが、なるべく意識してください」

水は一気に飲むと尿として排出されてしまうため、「ゆっくり飲むのがおすすめです」と浅部先生。「ただ飲まないよりは一気にでも飲む方がいいでしょう」

電解質ドリンク(塩分)はアルコールの分解に必要な水分の維持を助けしてくれる飲み物。ならば二日酔い防止には効果あり?

A. 食べているおつまみにもよる

塩分は確かに水分維持を助けてくれるもの。ただし、浅部先生によると「飲み会中などはたいてい塩分の摂(と)り過ぎの方が考えられる」そう。おつまみには塩辛いものが多いため、わざわざ電解質ドリンクで塩分を摂取するのはやり過ぎかもしれないそう。

しいていうなら、電解質ドリンクは二日酔いがつらい朝に飲むといいよう。

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「喉がカラカラの脱水状態だと水の吸収が少し悪いので、スポーツドリンク(電解質ドリンク)を飲むのもいいと思います。いずれにしても二日酔いになってしまったら、まずは水分補給をしましょう。水分が枯渇した状態ですと気持ちも悪いですし、体内でのアルコールの処理も進みません」

吐いてすっきりすれば、もう少し飲むのもあり

A. ウソ

浅部先生によると、「吐いた後にまた飲むのを再開してしまうと、二日酔いになる可能性が一段と高まります」とのこと。アルコールの吸収は非常に速いため、「多くの場合、吐く頃にはアルコールが体内に吸収されてしまっている可能性が高いです」と浅部先生。「吸収されてしまったアルコールは、吐いても出て行きません。体が吐くような状態になっているにも関わらず、そこから再度飲み始めるとなれば当然飲み過ぎです。つまり悪酔いする確率が高くなるということです」

ちなみに吐きたくなるのは、「『体によくないものが侵入している』という信号が脳に送られたことにより、起きる反応だと考えています」と浅部先生は説明している。

「明確な理由はわかっていませんが、一番吐き気を起こすのは、アセトアルデヒドです。血液中でできたアセトアルデヒドが、脳に運ばれ危険シグナルを伝達し気持ち悪くなる、というのが一般的なプロセスでしょう。もちろん他の要素も影響していることが考えられます。例えばおなかがふくれているほうが、吐き気も強くなります。ですが、最も大きな理由としてあるのは、この危険信号が送られることだと言われています」

「吐きたい!」と感じたとき、絶対にしてはいけないことは我慢。「口をふさいでしまうと最悪の場合、気管に入り窒息する可能性があります。酔いつぶれた人にありがちなのは、寝ているせいで口にたまった吐物を誤って飲み込んでしまい、窒息死してしまう、というケースです。ここまで飲んでしまったときは、吐きたいときに吐かせてあげられるよう誰かがついていないと危険です」

でも無理に吐こうとすると食道を傷つけてしまう可能性があるので、指を口に突っ込み吐こうとする、などはあまり望ましい行為ではないよう。
「無理に吐こうとすると酸の強い胃酸が食道を通るので、吐物が付着し食道を傷めかねません。頻繁にこれを繰り返していると食道の病気を起こしやすくなります。どうしても吐きたければ我慢はせず、すぐに出ない場合は無理に吐かないことです」

二日酔いの頭痛にカフェインは効く?

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A. 考えられなくはない

厳密にいうと、二日酔いからなぜ頭痛が起きるかはまだわかっていないそう。「ただし普段頭痛になりやすい人のほうが、二日酔いのときも頭痛になりやすいようです」と浅部先生。「研究はなされていませんが、血管を広げる物質であるアセトアルデヒドが影響している可能性もあります。飲んでいる間、顔が赤くなるのも、血圧が下がるのもこのアセトアルデヒドの仕業だとされています。そのため、そこにカフェインを入れると血管が締まることで効き目がある可能性も考えられるでしょう」

ただし効き目においては個人差があるという。「カフェインが効くなら対処法として取り入れるのもいいでしょう。もちろん頭痛がひどければ痛みをやわらげてくれる鎮痛剤を飲むのも一つの手です。ただし鎮痛剤は胃を荒らしてしまう恐れがあるので、胃が荒れやすい方は胃薬と一緒に飲みましょう」

ちなみにカフェインが効くと考えられる頭痛は、片頭痛だと浅部先生。「脳内の血管が開きすぎてしまうのが片頭痛ですので、血管をちょっと締めてくれるカフェインは効果が見られるとされています。ただ最近では片頭痛の治療が激変し、1錠1000円ほどと少々高いですが、片頭痛専用の薬が出ました。片頭痛が普段からある人はこういった薬の力を借りることも手でしょう」


二日酔いにまつわるポイントをおさらい!

・ 空腹で飲むのはNG。脂肪分など胃の滞留時間が長いものを先に食べておく
・ アルコールの代謝を助けるビタミンB群、アミノ酸は日頃から摂取
・ 二日酔い防止ドリンクなどには過度に期待しないように
・ 飲んでいる間は大げさなくらいの水分補給を
・ 吐いてから飲み続けるのは悪酔いを招く
・ 電解質のドリンクは飲み会中よりも、二日酔いの朝に◎
・ 吐きたいときは我慢しない。吐けないときは無理に吐かない
・ 二日酔いの頭痛にカフェインが効く可能性はなきにしもあらず

大切なのはもちろん飲み過ぎないこと。でもどうしても飲む量が増えがちな年末年始には、スマートに楽しく飲むコツを覚えておいて、少しでも二日酔いの症状を軽減してみて。

■今回お話を伺ったのは……
浅部伸一(あさべ・しんいち)先生
自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授 肝臓専門医。専門は肝臓病学、ウイルス学を専門とし、現在はバイオ医薬品企業アッヴィ合同会社に所属している。好きな飲み物はワイン、日本酒、ビール。著書『酒好き医師が教える 最高の飲み方 太らない、翌日に残らない、病気にならない』監修者。

Photo: Getty Images

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