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減量とは決して小さな手柄じゃない。いつもの生活パターン、食習慣、そして社会生活まで変えなければならない。急いで体重を落とそうとすると、“正しい食事とエクササイズ” という昔ながらのアドバイスが難しそうに聞こえるもの。

これが理由で、“体重の減らし方” で検索すれば、のろまなジョギングやサラダに代わる速攻プランを載せた何百万もの結果が出てくる。でも、実際に効果はあるの?

科学的な答えはノー。米国栄養学会の広報で公認管理栄養士のウェスリー・デルブリッジいわく、体重を減らす魔法の食材なんて一つも存在しない。誤った流行やクラッシュダイエットの波に飛び乗れば、運動する気が失せ、免疫力が下がり、ダイエットの軌道から外れてしまうことも。これでは代謝が遅れ、この先体重を減らすのが大変になる。

努力に代わるものはない。でも、体重を減らすために毎日できる小さなことはたくさんある。ダイエットを後退させる5つの迷信をチェックして、研究に基づくアドバイスに従おう。

迷信1: デトックスダイエットはとても体にいい

私たちが日常的にさらされている環境有害物質 (プラスチックに含まれるBPAなど) が、肥満や糖尿病といった疾患に影響を及ぼす可能性を指摘する研究結果は確かにある。でも、紅茶やジュースクレンズといった市販のデトックス商品や特別な食事制限を設けたダイエット方法で、それが効果的に除去できるという証拠はない。

デトックス最大の秘密は、肝臓と腎臓して知られる体本来のフィルターにある。だからデルブリッジに言わせれば、特別なデトックス成分が消化管を通って筋肉、脂肪、そして肌へ辿り着き、アルコールや薬物などの毒素を探して体内から排出するというのは作り話。

しかも、ほとんどのデトックスダイエットには厳しいカロリー制限がつきものなので、ウエストラインに悪影響が出ることも。体が飢餓モードに入れば代謝が遅くなり、普段通りの食事に戻った時に食べ物を掴んで離さない。そのため、減らしたはずの体重が戻ってきやすいとデルブリッジは説明する。

体本来のデトックス通路は、食事でサポートするのが一番。米国スタンフォード大学医療センターの総合専門医であるスーザン・ペイロヴィ医学博士によれば、まず大切なのは、腎臓が不必要な化学物質を適切に流し出せるよう十分な水を飲むこと。

分厚いお肉に加えて、レンズ豆などから植物性タンパク質を摂ることで肝機能を支えることもできる。カラフルな野菜とフルーツを1日に少なくとも5皿は食べて。抗酸化物質が豊富なので、体が不要な物質を処理するのを助けてくれるそう。

迷信2: カロリーはどこから摂っても同じ

体重を減らしたければ、とにかくカロリーをカットするのが大事なんでしょ? いや、それは間違い。タフツ大学ジーン・メイヤー米国農務省高齢化人間栄養研究センター所属の上級科学者スーザン・ロバーツ博士によると、ダイエットの世界ではカロリーにも違いがある。

ブロッコリー、ナッツ、レンズ豆のように食物繊維とタンパク質が豊富な食材からのカロリーは、代謝を促進する役割を果たすことが明らかになっている。そこにミルクや全粒穀物といった血糖指数 (GI) の低い炭水化物を加えれば満腹感が続くので、次の食事で食べ過ぎる可能性も少ないんだそう。

ひとつかみのアーモンドを袋詰めのポテトチップス18枚と比べてみれば、その違いがよく分かる。どちらもカロリーは160kcal程度だけど、タンパク質と食物繊維を含んだアーモンドの方がチップスよりも満足感が長持ち。

デルブリッジは、すべての食事とスナックにタンパク質、脂肪、食物繊維を取り入れるよう勧めている。午後のおやつに炭水化物と食物繊維を含むリンゴだけを食べる代わりに、大さじ1杯のピーナッツバターを加えればタンパク質と脂肪も一緒に摂ることができる。

食物繊維とタンパク質は食べ物が消化管を通る速度を下げるので、体が栄養分をより効率的に使うことができるそう。

迷信3: “クリーン” な食事はいつでもヘルシー

自分で調理した自然食品だけを食べ、加工スナック、添加砂糖、塩を排除するのが一般的にクリーンな食事。ひどいことではないし、クリーンな食事の基本原理は健康的な食生活にもマッチする。

でも、中には疑わしい縛りも。例えば5食材ルールでは、プロテインパウダーや冷凍のベジバーガーのように原材料が5つ以上入った食材は断固拒否することが期待される。この手の作戦はあっけなく裏目に出ることがあるので、常にお腹が空いて、食べないと誓ったあらゆる物をドカ食いするハメになりかねない。

これは脳の受容中枢の一部が、例えば “毎晩アイスクリームを1杯” といった特定の物を食べることに慣れるから。デルブリッジによると、これがアルコールや薬物中毒の人と同じように、あなたが砂糖を求める原因。アイスクリームを食べてはいけないと自分に言い聞かせても、脳に出し抜かれた瞬間に大暴走してしまう。この制限しては大食いするというパターンのせいで体重が増えるそう。

自分に甘い物をやめさせるには、弱点となっているアイテムを25%減らすことから始めてみよう。つまり、チョコレート4つと牛乳1杯で1日を終えているなら、1週間にチョコレートを1つずつ減らす。デルブリッジは、「これだけゆっくりなら、お菓子に散財することもダイエットに憤りを感じることもなくなる」 と説明する。

大好きな物を今後も暮らしに取り入れたいなら、控えめに食べるのがコツだということだけは忘れないで。ランチタイムに大きなチョコレートバーを丸ごと食べる代わりに、お気に入りのチョコレートを2つだけ召し上がれ。

迷信4: 体を引き締めるには炭水化物を完全にカット

低炭水化物ダイエットをすれば、最初のうちは体重が減る。炭水化物をほとんど食べていないと体は貯蓄エネルギーを使い切るので、脂肪というよりむしろ水の重さの分だけ体重が減る。ロバート博士いわく、ちょっと普通の食事に戻れば減らした分の体重も戻ってくるそう。

このような食べ方を続けていると体は筋肉に手をつけ、タンパク質をグルコースに変えて不足した燃料を補おうとする。タンパク質が燃料に使われているので、体は筋肉を増強して維持する作業を優先できない。このため、実際には筋肉を失うことになるかもしれないから。

筋肉を失えば代謝が遅れ、体重を減らすのも減らした体重を維持するのも困難になる。

クラッカーやクッキーといった精製炭水化物を減らすのは常に名案。これは、カロリーに見合うだけの栄養価がない “空っぽ” の炭水化物。事実、精製炭水化物を全粒穀物に替えるだけで徐々に体重が減ることを指摘する研究結果も存在する。

栄養が凝縮された炭水化物である野菜をたくさん食べ、穀物には全粒タイプを選ぶこと。お皿の半分を野菜で埋めて、残りの半分を穀物とタンパク質で分け合うのがデルブリッジのおすすめ。この割合なら満足感が持続する。

迷信5: グルテンフリーは誰にでも効果的

グルテンフリーのライフスタイルが、体重を減らして健康を改善する素晴らしい方法だいうのは誤解。小麦、ライ麦、大麦に含まれるタンパク質であるグルテンが問題となるのは、セリアック病、小麦アレルギー、または非セリアック・グルテン過敏症と診断された人だけ。アメリカにおける該当者の割合は、たった2%に過ぎない。

医師の診断を仰がずにグルテンを排除すれば、ビタミンD、B12、そしてカルシウム不足に陥ることも。

そもそもグルテンフリーは、なぜダイエットに役立つと言われているの? この理由は、菓子パンやケーキをはじめとする加工された炭水化物から、キヌアや玄米といった全粒穀物と野菜中心の食生活に切り替えると食物繊維の摂取量が増えることにある。デルブリッジによると、満足感のある食材の量が増えれば、食べる量が減るんだそう。

肝心なのは、グルテンフリーでもクッキーはクッキーだということ。不注意に間違った種類のグルテンフリー食材を大量に消費すれば、ダイエットはやっぱり後退する。

デルブリッジは、グルテンを除外する前に、炭水化物の種類を変えて量を減らしてみるよう勧めている。精白パンのサンドイッチを食べているなら、全粒パンで代替するか、パン1枚で具材を上に乗せるだけのオープンサンドイッチを試してみて。

本当にグルテン過敏症が疑われる場合には、グルテンフリーに切り替える前に胃腸科医に相談しよう。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Micaela Young Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images