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健康には欠かせない快適な睡眠。ポイントは理想の姿勢で眠ること。

ベッドに入っても良く眠れない女性は多い。 UK版「ウィメンズヘルス」の調査では、80%もの女性がひと月に最低数回はこの問題に直面し、23%もの女性が毎日苦戦していることが分かった。

さらに悪いことに、イギリス国立睡眠財団によると、半数の女性は朝起きてもスッキリした感じがしないそう。これでは体に負担をかけ、頭を混乱させ、糖尿病やうつ病といった慢性的な病気のリスクを増大させてしまうそう。

眠れない原因は、寝すぎているからではないとか。睡眠の質を決める重要な要素のひとつが、横になる時の姿勢。間違った睡眠ポジションは、筋肉の痙攣、血液循環の悪化、そして朝の体の痛みを引き起こす。

既存の痛み(背中など)を抱える何百万人という女性にとって、間違った睡眠姿勢は悪循環を招くことに。痛みが悪化して不眠症に陥り、そのせいで健康上の悩みの種が増え、余計に眠れない日々が続く。

さて、それならどうしたら良いの……? 実は、眠る姿勢を変えるのは比較的簡単! 今夜からより良い睡眠を目指そう。

胸焼けがするなら体の左側を下に

ニュージャージー州ヒルズボローのスリープ・フォー・ライフセンターで、睡眠スペシャリストとして働く整骨医学博士のプリヤンカ・ヤダヴによると、「器官の配置関係のため、体の左側を下にして寝ると下部食道括約筋への負担が軽くなる」んだそう。(この括約筋を通らないと食べ物は胃腸に届かない。そこに負担がかかっていると、燃えるような胃酸が食道を上ってきて喉を刺激する。)

左側を向いて寝ることで、両腕もゆっくり休める。膝を曲げ、上半身の方へ足を少し丸め、半胎児型になろう。胸焼けが深刻なら、寝返りをうって枕やクッションで胸と頭を支えること。もしくは、ベッドフレームの下に固いものを差し込んで、ベッドの頭を最大15㎝まで上げてみよう。

背中が痛いなら脚をサポートしながら横向きに

痛みに関する臨床医学誌によると、40%ほどの女性が脊椎に問題を抱えている。アリゾナ州の睡眠障害センター長、ロバート・S・ローゼンバーグ整骨医学博士によると、その問題の多くが不安定な姿勢で何時間にもわたって脊椎の配置を狂わせる睡眠によるもので、状態を悪化させるのも同様の睡眠なんだそう。

脊椎を水平に保ち、自然なカーブを描くポジションをとるのがカギ。体を横に向けて膝を少しだけ曲げ、ヒップをその直線状にもってくる(ヒップを前に倒してしまうと腰椎が回転し痛みが増すことに)。脚の間に固い枕を1~2個挟み、脚はヒップの幅程度に広がった状態でキープ。腕は前に投げ出してリラックスしよう。最初のうちは違和感があっても諦めないこと。当て物とうまく寝るには練習が必要。

副鼻腔が痛ければサポートつきで横向きに

アレルギー、鼻炎、または風邪をひいて鼻が詰まっている時は、仰向けでくしゃみをするのは避けよう。その状態でしてしまうと、寝ている最中に口がポカンと開くことになり、詰まってるものが乾いてしまう(ローゼンバーグによると、固まった粘液も鼻詰まりの原因になるそう)。代わりに重力が排液を促してくれるよう、頭の下に枕を一つ追加して横向きに寝よう。頭が高い位置にある場合、腕にもサポートが必要なので枕を抱っこして。脚はちょっと曲げて楽な状態に。

肩が痛ければ横向きで“ハグ”

肩の痛みの発端は様々(重たいバッグ、前かがみの姿勢など)。でも主な原因は横向きの睡眠姿勢。そう、この姿勢は肩の痛みを引き起こすこともあれば緩和することもあるのだ。ローゼンバーグいわく、細かい話になるんだとか。

多くの女性が下腕部を頭の下に入れてしまう。これが肩、腕、そして手をコントロールする神経ネットワークである腕神経叢(わんしんけいそう)に負担を強いることに。「4.5㎏の重りを腕に載せて寝るようなもの。これは神経を圧迫するよ」とローゼンバーグ。

まず痛い方の肩には触れず、痛くない方の肩を下にして横を向き、両脚を少し曲げる。下腕を前方にまっすぐ伸ばしてから丸め、両腕で枕を胸に抱きかかえる。背中の痛みと同様に、太ももを前方に投げ出さないように(枕を股の間に挟んで部位の並びを調整)。両肩が痛いなら仰向けになり、腕は体の側面に沿ってリラックスさせよう。

月経前緊張症(PMS)なら仰向けに

おかしな話だけど、これは本当のこと。情緒不安定で、お腹が張っていて、腹痛がある場合はボールのように丸まったり、うつ伏せで寝るのは避けよう。横向きで寝ると、すでに触れば痛い状態にある乳房提靭帯(にゅうぼうていじんたい)を重力がさらに引っ張り痛みが増すことに。ローゼンバーグによると、うつ伏せに寝ると子宮に余分な重みと圧力がかかり、不快感やより激しい腹痛を生じることになるそう。

仰向けで寝て、月経前に快適な睡眠をとろう。膝の下に枕を置いて下部脊椎の痛みを和らげると、腰痛に効く。腕は体の側面に沿って水平に置いてリラックス。(それでもまだ痛いようなら、膝の下にもう一つ枕を入れて下半身のサポートを強化しよう。)

お尻が痛いなら仰向けに

15%の女性が抱えるのが、ランナーズヒップとも呼ばれる滑液包炎(かつえきほうえん)。お尻の関節の炎症から起こる痛みだ。一晩中痛む滑液包炎と眠るのは非常に困難に思えるけれど、解決策はある。それは、横向きには寝ないこと。

「ケガをしている側で寝るのだけは避けよう」と言うのはヤダヴ。横向きで寝ると、不当な圧力がお尻をマットレスに押し込んでしまう。仰向けに寝ることで、一日中歩いたり座ったりとほぼノンストップで働いたお尻は休息状態に。楽に感じるなら、脚の下に枕を入れてサポートするのも良い。

あごが痛いなら仰向けで顔を上げて

夜の歯ぎしりは約8%の成人が抱える遺伝子疾患で、ストレス、不安、そして睡眠障害と関連付けられている。歯ぎしりは歯やあごにダメージを与え、顔の形まで変えてしまうことがあるほど。もしかして歯ぎしりしてるかも……と思うなら、仰向けに寝て天井を向こう。

総合歯科学会所属の口腔外科医であるキャロリン・タガートバーンズは、このポジションなら下あごが自然な位置に落ち着き、顔面の筋肉もリラックスできると語る。「私の患者さんには、唇は閉じて歯は閉じずに寝るようアドバイスしているわ」。寝ている間に頭の向きを変えてしまわないよう、両手を体の側面に沿って伸ばしておくこと(人はよく無意識のうちに、曲がった腕の方へ向きを変えるそう)。

首が凝っているなら仰向けに

大学時代から使っているパンケーキみたいに平たくなった枕は首に良くない(セールで買った超ふわふわ枕も同様に良くない)。枕が傾斜を作り、頭部を押し上げたり押し下げたりすると頸椎に圧力がかかり、首の筋肉に負担をかけ、痛みを引き起こす。特にうつ伏せや横向きで寝ている場合は危険、と言うのはワシントン州タコマのカイロプラクター、ラエール・マーティン整骨医学博士。

首を痛めている人のほとんどが、仰向けで首が水平になるポジションでの睡眠をとれば治まるそう。これには体勢を整えてくれる枕を探すことから。両腕をリラックスさせ、体の側面でキープ。腕をこっそり頭の下に入れてしまうことのないよう注意して。椎間板ヘルニアなどから来る痛みなら、枕の使用を中止して、頭がマットレス上でフラットになるポジションで寝ても良いか、医師に相談してみよう。首をまっすぐにする効果がある。

※この記事は当初、womenshealthmag.comに掲載されました。

http://www.womenshealthmag.co.uk/health/sleep/4798/the-perfect-sleep-position-for-all-those-aches-and-pains



Text: Malia Jacobson Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images