タニタの栄養士が警告! トレンドダイエットの落とし穴
新しい年を迎え、年末年始の食べ過ぎからダイエットを決意する人も多いはず。流行りのダイエット法は数あれど、やみくも....
新しい年を迎え、年末年始の食べ過ぎからダイエットを決意する人も多いはず。流行りのダイエット法は数あれど、やみくもにチャレンジするのはNG! 7つのダイエットの注意点を、健康総合企業タニタのグループ会社、タニタヘルスリンクで管理栄養士を務める龍口知子さんに教えてもらった。
パレオダイエット
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パレオダイエットとは、パレオリシック(旧石器時代)の略で、農耕を開始する前の原始人の食生活を取り入れたもの。肉や魚、卵、野菜などは食べてOKで、農耕や牧畜が開始されてから取り入れられるようになった米、小麦などの穀類、豆類、乳製品はNG。タニタヘルスリンクで管理栄養士を務める龍口知子さんが教えてくれた注意点がこちら。「この旧石器時代の人々は、精製や加工をしていない食材を“原材料のまま”食べていたと思われます。消化するには時間をかけ、よく噛んで食べることで、満腹感を早く感じやすく、結果的に摂取カロリーが少なくなります。しかし現代人にとっては、消化の悪いものが多くなる傾向にあるため、胃腸がもともと弱い方や、お腹が不調のときは避けるのがベター。また、穀類が摂取源となる糖類が不足してエネルギー不足になると、肉や魚を食べていてもタンパク質が合成できず筋肉量が低下する可能性も否定できません」
イート・ストップ・イート法
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2013年に出版された『The Fast Diet』で紹介されたインターミッテント・ファスティングというダイエット法は、“何を食べるか”ではなく、“いつ食べるか”という新しい発想でダイエッターたちの間で一躍話題に。その中のひとつが、このイート・ストップ・イート。週に1~2日だけ24時間何も食べない日を作り、ほかの5~6日はいつも通りに食べるというもの。「ここで気を付けるべきは、断食した次の日にどれだけ食べるかです。食後血糖値の上昇度を示す指標“GI値”でみると、本来は、肥満の原因となるインスリンの過剰分泌を抑えるために、糖の吸収を穏やかにしたいところ。ですが、断食した空腹状態のところへいきなり、米やパンなどの炭水化物や、せんべいやクッキーなど高GI値の食品を多量に摂取すると糖の吸収が一気に加速。逆に太ってしまう可能性もあるので注意が必要です」
アルカリ性ダイエット
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グウィネス・パルトロウやヴィクトリア・ベッカムも実践したことで話題になった、セレブ御用達のダイエット法で、食事の70%をアルカリ性の食品(野菜や果物など植物性のもの)にすることで肝臓や腎臓の負担を減らし、太りにくい体質にするというもの。デンプン質を多く含む穀類や野菜、米、小麦、乳製品、肉や魚などの酸性のものは摂りすぎないようにコントロールし、紅茶やコーヒー、アルコールも摂らないのが特徴。龍口さんによると、「この方法の注意したい点は、アルカリ性食品の中に良質なタンパク質を含む食品が少ないこと。肉、魚、卵を一切食べないとタンパク質の摂取が不足することが懸念されます」
グルテンフリー
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小麦粉を使ったパンやパスタ、ケーキなどに含まれるグルテンをカットするグルテンフリーも、ミランダ・カーやマイリー・サイラスなどヘルスコンシャスな海外セレブの間で大流行。「グルテンフリーというのは、本来、小麦アレルギーやセリアック病の人の“食事療法”であり、体重を減らすための“ダイエット”とは言い切れません。また、グルテンを避けることで、食べられるものが限られてしまい、栄養素が偏ってしまうので注意が必要」と龍口さん。一方で、グルテンが原因で気づかないうちに不調を感じることもあるため、それをチェックするためにトライしてみるのもおすすめとか。「小麦アレルギーのようにすぐに症状が現れる即時型ではなく、慢性的な不調として現れる遅延型の“グルテン不耐症”の場合があります。数週間、グルテンを摂るのをやめてみることで体調が良くなったりするようであれば、続ける価値アリです」
クレンズダイエット
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ここ数年、セレブの間で大ブームとなり、日本でも多くの専門店が登場したのが、コールドプレスジュースやスープを使ったクレンズダイエット。クレンズとは、“浄化する”“清める”という意味で、約3~7日間の断食によって、さまざまな栄養素を摂り入れながら体内をデトックス。痩せるだけでなくアンチエイジングや免疫力アップも期待できるというもの。「この方法は、普段の生活の中で“摂取過剰気味”の人が適度に取り入れるのが良いのではないでしょうか。食べ過ぎたときや胃腸を休めたいとき、これまでの“クセをリセット”したいというときに1食を置き換えるところから試してみて」と、龍口さん。
ウォーリアーダイエット
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前出のインターミッテント・ファスティングのひとつ。1日のうち20時間は食べないようにして、夜中に3時間以内の食事を1回するというもの。この1食で、満腹になるまで好きなだけ食べていいので、初心者にも試しやすい。しかし、龍口さんによる注意ポイントは“夜中”という時間帯。「ホルモンバランスや自律神経の働きは、夜の時間帯には貯める方に働きやすくなっています。一日に一回、夜だけと決めるのではなく、きちんと空腹感を意識してから“適量”を食べる方法がおすすめです」。
「炭水化物を抜けばいいとか、タンパク質だけを摂っていればいいということは決してありません。栄養素をバランス良く摂りながら、長く続けられるダイエットが一番大切。そのためには、自分の体の状態をはかって、正しく記録をつけましょう。食事や運動の記録と組み合わせると、変化が分かりやすくなります」。むやみやたらと流行りのダイエットを試すのではなく、自分に合ったダイエットを見極め、無理なく続けていくのが、成功する本当の秘訣なのかも!
龍口知子さん
管理栄養士・健康運動指導士。食品会社、病院、介護関連企業を経て現在は株式会社タニタヘルスリンクにて、ダイエットサポートや、健康セミナーの講師などの健康支援サービスを担当。パソコン、スマートフォンで利用でき、体重・体脂肪率などのデータをグラフ管理し、SNSサイトにも反映できる健康管理サービス「Health Planet」も要チェック。
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