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正直、誰だって一度はセラピーを思い立ったことがあるのでは? それが一時的な考えだったとしても、長い間懸命に考え抜いたものだったとしても、はじめてセラピーに予約を入れるのは難しい。本当に効果があるのか分からずに、ためらうのが普通だから。

この疑問に対し、科学はハッキリと “効果あり” だと主張する。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校の調査によると、気持ちを言葉にするだけで、悲しみや怒り、苦しみが少し軽くなるという。この実験では、気持ちを分類して感情的な経験について語ると、ネガティブな思考が著しく低下し、人々に落ち着きが戻ること判明。さらに、脳スキャンの結果は、話すことで脳が記憶を処理する方法が変わることを示していた。

また、友達に愚痴るのはいいけれど、トレーニングを受けたセラピストは単に聞き上手なだけじゃない。適切に行われれば、これまで気付かなかった自分の一面を知り、生涯にわたる悲嘆や破滅の原因から開放される手助けとなるのが会話療法。

優秀なセラピストは、物事に対処するためのメカニズムを教え、心を鍛え直し、人を傷つけるような習慣を取り除き、自分には見えないパターンを特定し、困難な状況や人と向き合うための台本を作り、問題をより良く処理するための戦略を練ってくれる。また、根本的な問題は自分の認識とは別のところにあることが多いので、あなたを本当に悩ませていることを引き出すのを助けてくれる。

「セラピーを通して、私が抱えていた問題はパズルのワンピースに過ぎず、これまでずっと自分で自分を抑えてきたことに気が付いた。さらに怖いのは、自分が本当はどんな人間なのかさえ知らないことに気付かされたこと」 と語るのは、カナダ・バンクーバー出身で29歳のアマリア・F。「でも、セラピーに慣れ、この状況を乗り越えられるまで、私は諦めずに語り続け、聞きにくいことも頑張って聞いてきた。今では一皮むけて、より自分らしい姿に成長できた気がする」

会話療法の効果を正確に予想できる人はいないけれど、一番の醍醐味は、このような予想外の結果が得られることなのかも。セラピーによって、人生が思いがけなく好転した5人の女性に話を聞いてみた。

1.カップルセラピーを通して離婚の必要性に気付いた

「5年前、私の結婚生活は窮地に陥っていた。別に大きな口論をしていたわけでも、お互いが浮気していたわけでもないけれど、基本的に夫婦別々の生活を送っていた。私を大切にしてくれているとも、私という人間に興味があるとも思えないと伝える度に、夫は私を大事に思っていると答えた」

「“おはよう” と “おやすみ” 以外に口をきくことのない日々が2週間続き、私たちには結婚カウンセリングが必要だと彼に伝えた。私がすべて準備して、彼のスケジュールに確実に合うよう予約を入れた。彼が3度すっぽかし“彼はこうして、あなたを大切にしていることを示しているのね” とカウンセラーに言われた瞬間に分かった。口では正しいことを言いながら、本気じゃなかったんだって」

「その後間もなくして私たちは離婚。彼が姿さえ見せずにサイン済みの離婚届を送ってきたことには傷付いたけど、すべて終わって嬉しい。本当の意味での結婚なんてしていなかったことに気付かせてくれたのが結婚カウンセラーなんて、今でも笑ってしまう」

― ジェシー・C/29歳/ワシントン州シアトル

2.ひどいストレスを抱えているだけだと思っていたら、実は躁鬱病だった

「私は妊娠中にセラピーを始めた。いつも不安なタイプだったけど、ストレスが加わって早産に。感情の起伏が激しく、人生がダメになっていくような気がして、自分と息子の健康のためには助けが必要だと思った。その後、カウンセラーとのはじめての面談で、軽度の躁鬱病だと診断された」

「最初は驚いたけれど、一度説明されると全てに納得がいった。自分の感情にはどこかおかしいところがあると思っていたし、ありのままの自分に自信があったことなんて一度もなかった。それに病名が与えられたことで、心に大きな平和が訪れた。自分の病気を理解することで、それに向き合う強さも湧いてきた。セラピストは私に、ストレスを爆発させないための管理法を教え、ストレスに対処するためのツール作りを手伝ってくれた。また、彼のおかげで、この病気は脳の化学物質がバランスを崩しているだけで、決して恥ずかしがることではないと思えるようになった」

「自分自身と自分の抱える感情が何なのか分からずに過ごした9年間。やっとその答えを見つけ、人の助けを借りることができて本当に嬉しい。日々の暮らしは改善し、精神的に参ったりストレスが爆発したりする頻度も減り、赤ちゃんも元気。今では、このセラピー体験をみんなに話している。ここまで頑張ってこれたことを誇りに思うし、他の女性を励ましたいとも思う。セラピーはすごいから、助けを求めるのを恐れないで!」

― レイチェル・L/23歳/コロラド州パーカー

3.産後のうつ病との戦いを助け、母親とは何かを教えてくれたのは、子供のない男性だった

「3人目の子供を産んだ後、私はひどいうつ状態になった。よくあることとはいえ、私はそれを否定し、恥ずかしさすら感じていた。自分自身も周りも私を明朗快活なタイプだと思っていたので、惨めな自分を認めたら自分失格のような気がして。しばらくは大丈夫なフリをして、毎日が順調だと見せかけていたけど、結局はどうしようもなくなって、助けが必要なことに気が付いた」

「セラピーを受けることにしたけど、初回の面談すら受けずにやめそうになった。セラピストが男性だった上に、あらゆる点で私とは明らかに違うタイプだったから。私の苦しみを理解してくれるなんて思えないし、まして私が自分を理解するのを助けてくれるわけがない。そう思ったのも束の間、人を思いやるために同じ経験をする必要はないこと、そして彼が非常に聞き上手であることに気付いた」

「彼から学ぶことが多くて驚いた。ありとあらゆるストレスに立ち向かい、乗り越えるために、本当にたくさんの術を教えてくれた。彼の助けには今でも心から感謝しているし、彼から学んだスキルを今後も使い続ける」

― シェリー・S/35歳/ユタ州リーハイ

4.テスト不安症に対する助けを求めたことがきっかけで、幼少時代のトラウマを克服することに

「昔からテストは苦手だった。不安と動揺が激しすぎて、考えることができなかった。答えが分かっているのに正しく答えられず、時間切れになることもあった。大学に進むと私の不安症は悪化。テスト中心の大学生活において、これは大問題! テストに対する不安をどうにかしようと、学生カウンセリングセンターを訪れた」

「ところが、セラピストに悩みを打ち明け始めた途端、これまで意識していなかった数々の物事に対し大きな不安を感じている自分に気が付いた。そして、彼女と話をするうちに、過去のトラウマが解決。具体的には、男性に対する不安が減り、全員に好かれなくてもいいという考えを受け入れられるようになった」

「もう大昔のことだと思っていた出来事に向き合うことで、現在のテスト不安症に対処することができたのは驚きの結果。今では全体的にかなり落ち着いてきて、大学生活も向上した」

― キャスリン・H/22歳/ユタ州プロボ

5.中絶後のセラピーが、他の女性を助けるという一生の仕事を与えてくれた

「私は中絶を経験した。そう口に出して言えるようになったのは、セラピーの力とこれまでの努力があったから。17年前に中絶してから、あまりの恥ずかしさと気分の落ち込みで、私にはその経験を語ることができなかった」

「2015年、中絶からの精神的回復だけを目的とした、『レイチェルのブドウ園』という瞑想治療に参加した。効果があったので今年も週末の治療に出掛け、そのままセラピーを続けることにした。これが大きな変化をもたらした」

「セラピーによって、問題の核心にあるのが自分に対する強烈な憎しみであることが良く分かった。自分のしたことが許せない、でも今更どうすることもできない。そんな私にセラピストは、自分に残酷にならずに、人には自然とあげられる優しさと寛容な心を自分にもあげていいんだと教えてくれた。彼女のおかげで、私の人生の波紋が多くの人の人生に良い影響と悪い影響を与えていること、そしてなぜ自分の良さに気付くことが大切なのかを学んだ」

「まだ苦戦することはあるけど、セラピーで学んだメカニズムで人生の浮き沈みに対処できる。今では、自分の欠点より長所に気付くことの方が多くなった。これは人のためにはできても、自分のためにはできなかったこと。このプロセスが非常に役に立ち、現在の私は中絶後に苦しむ女性を助けるために設立された『Silent No More』の地域統括コーディネーターを務めている」

― エリカ・G/45歳/ハワイ・クラ

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Charlotte Hilton Andersen Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images