実在する “良性ストレス” って何?

10 January 2018

実在する “良性ストレス” って何?

ストレスを味方につけるには?

「超ストレスなんだけど……最高!」。こんな発言はまず聞かない。でも実は、人前でのスピーチや一夜漬けのテスト勉強といったプレッシャーに溢れた状況の中には、体に良いとされる “良性ストレス” も存在する。 

「ストレスには良いタイプと悪いタイプがある。悪いタイプは、不幸せな結婚生活や親族の看病といった慢性的でコントロール不可能なもの」 と語るのは、マサチューセッツ大学アマースト校の毒物学者、エドワード・カラブレーゼ博士。でも、交通渋滞に巻き込まれたり、仕事のプレゼンを心配したりするような 「すぐ軽くなるストレスを短期間で大量に感じることには数々のメリットがある」 という。

オハイオ大学が行った実験では、短時間で強烈なストレスを感じたネズミには、強いインフルエンザ対抗力が見られた。また、少数ではあるが、短期の鋭いストレスを糖尿病、心臓疾患、癌、そしてアルツハイマー病のリスクの低下と紐づける研究もある。

これは、ストレスが人を修復モードに突入させるから。怪我をすると、体はハッとして動くのをやめ、自ら修復をはじめる。傷を癒し、免疫システムを作動させて感染症から身を守る。短期的なストレスにおいても同じこと。最初のうちは、ストレスによって体の組織に打撃を与えるフリーラジカルやコルチゾールなどのホルモンが生成される。でも、そのダメージに気が付くと、体はお掃除隊を呼び出す。ストレスが短期的なものなら治りは早く、擦り傷やあざといった日々の損傷を修復するためのエネルギーを残すこともできる (これは体の自己修復機能が過度に働く状態で、部屋を10分で片付けようとしたのに大掃除がはじまるようなもの)。 

老化を専門とする研究者の中には、負荷の低いストレスは寿命を伸ばすと主張する声まである。実際、この発想は理にかなったもの。テキサス大学の生理学名誉教授であるエドワード・マソロ博士によると、年を取ると体はそう簡単に修復できなくなる。適度なストレスが回復プロセスを加速させるなら、「老化を遅らせるのも当然」

この理論を裏付ける研究結果もある。熱にさらされて、定期的なストレスを感じたハエと虫は長生きする。実験室で育った人間細胞は、負荷のかかる環境でより長く生存する。クロスワードパズルや知り合いが誰もいないパーティーへの参加といった知的および社会的な挑戦も、元気に高齢を迎える助けとなる。 

でも、ストレスに対処し、リラックスする方法を知らなければ、ストレス自体は何の役にも立たない。アメリカ国立老化研究所の神経科学者、マーク・マットソン博士によると、緊張状態が収まるまでは体が修復を開始しないので、「ストレスがひどすぎたり長引いたりすると、回復するチャンスが訪れない」。とはいえ、休息なら何でもいいというわけでもない。専門家いわく、平穏で一見リラックスできるように見えるけれど、実はさらに追い打ちをかけるような活動は避けるべき。仕事帰りにマルガリータ3杯を一気に飲み干したり、ナチョスの山を食べ切ったりといった行動が当てはまる。ソファに座って面白い本を読んだり、犬と遊んだりした方がいいかもしれない。

『Addicted to Stress: A Women's 7 Step Program to Reclaim Joy and Spontaneity in Life』の著者で、ストレスマネジメントスペシャリストのデビー・マンデルによれば、精神的なストレスの恩恵を受けるためには、多すぎず少なすぎないジャストなストレスバランスを見つけることが大切。時々擦り切れたように感じるのは良いことだけれど、アメリカ心理学会の調べでは、30~34歳のアメリカ人女性の89%が大きなストレスを抱えているという。

その一方で、のんびりとしたサーファーやジャック・ジョンソンを聴く人々には、迫りくる締め切りや予定のやりくりという重圧がのしかかることはないかもしれない (グッドニュース)。でもこれは、月並みの損傷が蓄積する可能性が高いということ (バッドニュース)。この点を考慮して、専門家が推奨する5つの方法に取り組んでストレスを味方に付けよう。

 

ストレスカレンダーを作る

神経が張り詰めているのは分かっても、その状態がどれだけ続いたかを覚えておくのは大変。専門家によれば、ストレスレベルが時間とともにどう変化するかを記録することが大切。これには、毎日のストレスを10段階評価してみること。5以上が2日以上続くなら、ストレスを軽減する努力をしてみよう。

 

冒険してみる

精神的、身体的、心理的な挑戦は、良いストレスを与えてくれる。ロッククライミング、中国語教室、飛び込みで歌える地元のバーなど、ずっと興味があったけど怖がって手を出さなかったことにトライしてみよう。でも、定期的に内容を変えることを忘れずに。一度習慣化されてしまったら、もう刺激にはならない。

 

成し遂げたことに焦点をあてる

ストレスだらけでどうしようもない週もある。マンデルによると、長期的なストレスを有益なものに変える方法の一つは、To-Doリストだけでなく、“今日達成したこと” のリストも作ること。成し遂げたことを認識すれば、リラックスしていいんだというシグナルが脳に送られ、バランスを取り戻すのに役立つそう。

 

安全地帯から抜け出す

サウナに行ったり珍しいスパイスを使った料理を食べたりと、良性ストレスは様々なシーンで姿を現す。挑戦を受けるたびに、体は内部の修復システムに拍車をかける。

 

汗をかく

エクササイズには、短期的な大量のストレスと同じ健康上のメリットがある (過度の不安解消にも役立つ)。タフなワークアウトはフリーラジカルや他の悪い化学物質の生成量を増やすけれど、これは一時的なもの。トレッドミルを降りた瞬間から、体はダメージの修復をはじめる。

 

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Melinda Wenner Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images

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