しかしながら、上述した全ての弊害は、比較的簡単に回避することができるうえ(たとえデスクワークをしていても)、ジムでとことん励む必要もない。エネルギーが消耗して倒れてしまうほどのハードなワークアウトは、「座りすぎ」に起因する病気を予防するどころか、状態をさらに悪化させることも。まず第一に、汗をかいて運動すれば、じっと座って過ごす健康上の副作用を相殺できると思うかもしれないけれど、米国がん協会の疫学者、アルパ・パテル博士が言うように、総体的な健康維持の鍵を握るのは、運動をして、座って過ごす時間を制限するという2点を徹底することである。
次に、「あなたが1日中座りっぱなしの状態であれば、腰、股関節屈筋、ハムストリングの筋肉は全てかたくなっています」と説明するのは、スタンフォード大学でスポーツ医学の教授を務めるマイケル・フレデリクソン医学博士。「いきなりハードコアなエクササイズを始めると、筋肉を傷めてしまいます」(特にリスクが生じるのは腰)。
もちろん、ワークアウトを完全にすべきではないと言っているわけではないが、「座りすぎ」に起因する病気を予防するには、「ニート(NEAT)」もしくは、「非運動性熱産生」と呼ばれ、運動以外の日常生活で消費されるエネルギーを増やすことが必須になる。体に負担が少ない動きは、代謝を活発にし、血行を促進するので、料理やセックス、ガーデニング、社内を歩き回るだけでも十分に効果的のよう。「食事のカロリーや運動にばかり気を取られがちですが、健康維持のためには、座って過ごす時間を減らす努力も大変重要なことなのです」と話すのは、ルイジアナ州バトンルージュにある、ペニントン・バイオメディカル・リサーチセンターのマーク・ハミルトン博士。
1時間おきに、10分体を動かすことを目標にしよう。「電話が鳴ると立ち上がるというルールを決めたり、夕食後に20分間の散歩を日課にするのもいいですね」とレビン医学博士。お腹がいっぱいに満たされたときこそ、体を動かす必要がある。食後は皿洗いをするなど家事を10分するだけで、座りすぎによる悪影響や、それに起因する病気の多くを解消し、腰の健康を良好に維持することが可能になるのだそう。
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。