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身体を動かしたあとはなんだか肌がちくちく、かゆかゆ。赤みが出たり、刺激に敏感になったり……。太陽の下、たっぷり汗をかいているのだから、ヘルシーなはずなのに。だけど、そこにはスポーツ環境下特有の肌トラブルのリスクが隠れていた! その理由やケアを「スポーツ皮膚科」のドクターが解説!!

「スポーツをしているから肌トラブルは少ないはず」「スポーツをしているから肌が強いはず」という思い込みに「スポーツ環境においては紫外線や汗、暑さや寒さなど、皮膚に通常以上の負担がかかります」と教えてくれたのは、スポーツ時の肌トラブルに詳しく、日頃から診療に当たる山手クリニック スポーツ皮膚科の津田淳子先生。

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肌に対する影響度、大! 紫外線の功罪

太陽の光を浴びるとビタミンDが合成されるなど身体にいいこともあるけれど、一方でダメージも。

「まず紫外線による肌への主な悪影響としては『日焼け』と『光老化(ひかりろうか)』があります。光老化というのは、シミやシワ、皮膚がんを指します。日焼けには、紫外線に当たってすぐに現れる『サンバーン』と、サンバーンが落ち着いたあとに現れる『サンタン』という色素沈着のふたつのタイプがあります。

サンバーンというのは、紫外線が当たった直後に皮膚に起きる炎症のことです。赤くなり、ヒリヒリしてひどい場合には水膨れができることもあります。やけどと同じ反応です」(津田先生)

しかも紫外線による影響は、肌だけでなく全身にまで及ぶそう。「例えば疲労、免疫力の低下、白内障の原因にもなります。紫外線対策は疲労、免疫力の低下を防ぐといった健康管理の観点からも重要なんです」

近年、よく耳にする光老化。「長時間に渡って紫外線を浴び続けると、紫外線が皮膚の中まで届き、皮膚の弾力性を保つコラーゲンが壊されてシワができたり、皮膚の細胞に傷がつき、皮膚がん発症のリスクが高まる可能性もあります」

肌が乾燥する原因のひとつは「汗」だった!

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汗をかくと肌が潤う気がするけど、実はそれだけではなさそう。そもそも汗の役割って?

「確かに汗には肌を潤す成分が含まれているので、保湿機能があります。また、体温調節機能や感染防御機能なども。汗は皮脂と共に皮脂膜を形作り、この皮脂膜が肌のコーティングをすることで、感染を防いでいます。これらがよい影響で、スポーツをすることによってきちんと汗をかけるようになると、アトピー性皮膚炎の症状が軽減されることもあります。

一方で、悪い影響も。「例えば汗には体内の汚れや老廃物などの“いらない成分”も含まれているので、それが皮膚に留まると、炎症やかゆみを起こすことがあります。肌はもともと弱酸性ですが、汗が肌の上にずっとあると、その弱酸性の度合いが崩れて炎症が起こりやすくなることも。

また、汗が蒸発するときには肌内部の水分も一緒に抜けていくため、過剰な汗をかいた直後は身体だけでなく、肌の水分も失われてしまうために肌が乾燥します」

これがスポーツをしたときに「なんだか肌が乾燥する」ということの正体。きちんとしたケアが必要に。

パフォーマンス低下にもつながる紫外線のブロックと保湿、「汗ケア」まで

紫外線と汗。気をつけるファクターがわかってきたら、気になるのがスキンケア。

「スキンケアという観点から重要なのは、紫外線対策です。日焼けはパフォーマンスの低下にもつながります。また、サンバーンという赤くヒリヒリした炎症がひどい場合には水膨れができることも。これはやけどと同じ反応なので、まずは冷やして、そのあとにしっかり保湿してあげましょう。ビタミンなどの入った保湿剤で肌を整えてあげると、さらに皮膚の修復が早まります」

一方で、紫外線対策には自分に合った日焼け止めを見つけ、活用することが大切、と津田先生。

「汗でも落ちにくいウォータープルーフタイプか、専用のクレンジングが必要か、石けんでも落とせるものか、塗り心地はどうなのかなどをチェック。サンプルを使って自分に合った日焼け止めを見つけてください」

そして肌の乾燥に対しては、保湿と汗の対策がケアの主な柱に。

「水分補給はもちろんのこと、保湿剤によるスキンケアが大切です。汗をかいたあとはキレイに洗い流す、洗えないときは拭く、汗をかいたウエアを着替えるなどの必要があります。また、サンバーンがひどい場合、肌の乾燥によるかゆみがひどく、炎症を伴う場合などは、皮膚科専門医の受診を検討してみてください」

乾燥、紫外線、汗対策。ベストスコア更新と未来の美肌と美ボディのためにも、重点ケアポイントとしてお手入れを再点検してみて!

津田淳子(つだ・じゅんこ)先生

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、国立スポーツ科学センタ―(非常勤医師)、日本体育協会公認スポーツドクター、障害者スポーツ医。患者との対話を通じて共に考え、心のケアを含めた患者目線の診療で評判。

山手クリニック

日本体育協会公認スポーツドクターであり、オリンピックに帯同する整形外科医と、スポーツ皮膚科の専門医が診療を行う。スポーツ時の肌トラブルだけではなく、スポーツ用具によるかぶれや手足のイボ、タコ、マメなどの治療も。クリニックでは医師や理学療法士、トレーナーや管理栄養士が連携して治療と予防法を提案。http://www.yamateclinic.jp/

東京都世田谷区代沢2‐28‐11

03-5431-5228

診療時間:9:30~12:30(皮膚科の診療時間)

※受診する科により、診察時間が異なります。

詳しくは下記をご参照ください。

http://www.yamateclinic.jp/aboutus/hours/

Photo:Getty Images

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Kiriko Kageyama
エル・グルメ編集長/ウイメンズヘルス編集長

『エル・オンライン(現エル・デジタル)』のファッションエディターを経て、フリーランスに。女性ランナーによる企画集団「ランガール」を設立。その後女性誌立ち上げやWebメディアの立ち上げを経て2017年にウィメンズヘルス』日本版ローンチ時から編集長に。2023年夏よりエル・グルメ編集長も兼務。趣味は料理を作って友人たちに振る舞うこと。