「冷やご飯ダイエット」はご存じ？ これは、炊きたてのご飯が冷めると、ダイエット効果が期待できる“ある成分”が発生するという理由で、一時期話題になったダイエット法。その成分の正体が「レジスタントスターチ （RS : Resistant Starch）」。多糖類に含まれるでんぷんの一部で、胃や小腸で消化吸収されにくいことから、「難消化性でんぷん」とも呼ばれている。
Smart Foodヘッドインストラクターの浅倉利衣さんは、このレジスタントスターチをうまく活用すると、ダイエットや健康増進にも効果的だと話す。
レジスタンとスターチの働きとは？
①食後の血糖値を下げ、急激な空腹感を抑制してくれる
「多糖類であるでんぷんは、胃や小腸で消化吸収された後血液に取り込まれ血糖値が上がるものもありますが、レジスタントスターチは消化されずにそのまま大腸まで届きます。そのため、食後血糖値の急激な上昇を抑制する働きがあるのです（＊1、＊2）。大量の糖質を摂取すると血糖値は一気に上がり、インスリンの働きで今度はジェットコースターのように一気に下降して低血糖の状態を引き起こしやすくなります。この低血糖になる過程で、イライラや体のだるさ、そしてダイエットの大敵である急激な空腹感といった症状を招きます。低糖質でバランスの良い食事を心がけながらレジスタントスターチも活用すると、より効果的。血糖値の上昇下降をゆるやかに保つことが、健康的なダイエットのカギです」
②腸の健康に寄与
「前回の記事でもご紹介したように、レジスタントスターチは腸内で短鎖脂肪酸である酪酸を産生する割合が高いことが分かっています（＊3、＊4、＊5）。酪酸には、①消化管の血流を改善する効果 ②腸の蠕動（ぜんどう）運動を促進する効果 ③腸内pHを最適な弱酸性に維持してくれる効果 ④ガン細胞の増殖抑制 など、腸の健康を維持増進させる報告が多数あります（＊6、＊7）」
また、腸内環境が改善してくると、便秘解消や美肌面でも効果が期待できます。ダイエットも美肌も、健康的に美しくなるために行き着くところはやはり腸内環境を最適に保つことなのです」
レジスタントスターチは何から摂取すればいいの？
食事にレジスタントスターチを加える方法は２種類。
①レジスタントスターチ含有食品からの摂取
②抽出したレジスタントスターチ
「①の場合は、一般的な食品の中だと例えば、生のいも類、緑色のバナナ、カシューナッツ、そして一時期話題になった冷やご飯などがあります。ただし、茶碗１杯の冷やご飯から得られるレジスタントスターチは3グラム程度と少量。また、他の食品も高GIなものも多いため、効果が期待できる量を含有食品から摂取しようとすると糖質過多になってしまうので、摂取量には気を付けて。
②は、レジスタントスターチが抽出されたものが袋に入って売られているもの。見た目は片栗粉のような白い粉状の自然食品です。これを食事の際に一緒に摂取するだけ。一番簡単なのは水に入れて飲む方法。ある程度は溶けますが粉っぽい味が気になる場合はコーヒーや紅茶に入れて飲んだり、またはスムージーやみそ汁、スープなどを作る際に一緒に入れて飲めばほとんど気にならなくなりますよ。最初は１日5〜10グラムから始めて、慣れてきたら15g〜20グラムと増やしていくと良いでしょう」
ますます気になるレジスタントスターチ、②のタイプを購入する際は以下の点をチェックして。
「レジスタントスターチにはいくつかのタイプがあり、また製造メーカーにより臨床研究などでその機能性が異なることも分かっているため、信頼のおけるものを選択しましょう」
現在頭打ちとなった減量に突破口を見いだそうとしている方、高血糖にお悩みの方、美容と健康に気遣っている方は、レジスタントスターチを積極的に活用してみては。次回はいよいよ最終回！
出典：
＊1……Eur J Clin Nutr. 2002 Sep;56(9):913-20.
＊2……Am J Clin Nutr. 1988 Mar;47(3):428-32.
＊3……Exerc Immunol Rev. 2013;19:102-19.
＊4……J Nutr. 2011 May;141(5):883-9.
＊5……日本調理科学会誌 2014;47(1):49-52.
＊6……BNF Nutr. Bull.,2005 Mar;30,27-54.
＊7……日本食品科学工学会誌 2010;57(5):224.
Photo : Gettyimages
一般社団法人Smart Food協会認定インストラクター資格を持ち、講演やイベントなどでも活躍中。また、MYTHΘSフランス式メディカルアロマテラピーインストラクター資格もあわせ持つ。現在は、国内外の最新のウェルネス・食・アロマ情報も含めた専門的な知識を活かし、賢く食べて健康的にキレイになるメソッドやウェルネスライフのコツ、それに伴う商品サービスを発信する「The Wellness Lifestyle」も運営している。
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