日本人独自の腸内細菌叢(腸内フローラ)に合った食事法とは?

27 December 2018

日本人独自の腸内細菌叢(腸内フローラ)に合った食事法とは?

体に良い食材と聞けばすぐに飛びつきそればかり食べるようになったり、ハリウッドセレブが採用している食事療法をそのまま真似したみたり。美容健康意識が高い人ほど、そんな経験が一度はあるのでは?

でも、美容と健康のためにこれからの食生活で意識すべきことは、自身の腸内細菌叢(腸内フローラ:腸内細菌が集まった生態系)がどんな特徴を持っているかをきちんと把握すること、と教えてくれたのは、Smart Foodヘッドインストラクターの浅倉利衣さん。

「近年、腸内細菌叢(腸内フローラ)が私たちの健康に様々な関わりがあることが分かってきましたが、2016年に行われた研究では、興味深い結果が出ています。日本人を含めた12カ国の健常者の腸内細菌叢データの比較解析を行い、腸内細菌叢の菌種の組成が国ごとに大きく異なることや、日本人の腸内細菌叢の特徴を明らかにしています。ここから、私たち日本人に合った食事内容を読み解くことができます」

その研究結果によると1、私たち日本人の腸内細菌叢には、ビフィズス菌が優勢、炭水化物代謝やアミノ酸代謝などに関わる機能が外国人よりも豊富であることが判明。また、海草類を分解する能力も高かったことがわかったそう。

日本人特有の腸内細菌を、実生活でどのように活かせば良いの?


オリゴ糖を含む様々な食材を食べる

「まず、誰もが耳にしたことがあるビフィズス菌。ビフィズス菌は腸内のpH

を低下して悪玉菌を抑制させ、善玉菌を優勢にして腸内の環境を整えるほか、花粉症などアレルギー症状の緩和にも貢献していることがわかっています2」※3 そしてそのビフィズス菌の増殖因子となるのがオリゴ糖です。オリゴ糖はほぼ大腸まで届き、腸内に済む有用菌であるビフィズス菌の良いエサとなるため、オリゴ糖を積極的に摂取すると、腸内環境を整えることに繋がります。

オリゴ糖も様々な種類があるため、複数のオリゴ糖を複合的に摂取することが大切。ごぼう、玉ねぎ、アスパラガス、たけのこなど野菜の根や葉に含まれていることが多く、また、きな粉やハチミツなどにも含まれています」

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難消化性成分を含むものを食べる

「難消化性成分とは、胃や小腸で消化吸収されずにそのまま大腸まで届く成分のこと。炭水化物の中の難消化性成分である食物繊維や、今注目のレジスタントスターチ(別名:難消化性でんぷん)は、大腸まで届き、腸内細菌の良いエサとなってくれます。それらを捕食した大腸内の腸内細菌は、体内で重要な栄養になる短鎖脂肪酸を産生します。短鎖脂肪酸は結腸の蠕動運動のエネルギー源となり便秘解消にも繋がり、脂肪細胞の取り込みを抑制し筋肉に作用し脂肪燃焼を促進してくれます。さらに、花粉症などアレルギーや自己免疫性疾患を抑制する「制御性T細胞」の産生も促す働きもあります4」※5

昨今は「糖質オフ」を掲げて摂取を控える人も増えた炭水化物だが、炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたもの。完全炭水化物カットは腸内善玉菌のエサが減り、腸内細菌叢のバランスも乱れやすくなると忠告。

「上記の研究結果からも日本人は他の民族よりも炭水化物代謝機能が優れていることがわかっているため、食物繊維量の多い炭水化物を摂取することを心がけましょう。例えば白米を食べたかったら、糖質量が少なく食物繊維が多いキヌアやアマランサスなどの穀類を一緒に炊くことをお勧めします.

また、私たち日本人が分解する能力の高かった海草類も高食物繊維の代表選手。味噌汁にワカメを入れたり、外食時は海藻サラダを選ぶなど、頭で理解して能動的に取捨選択できるようになると、心身の健康を手に入れられるだけでなく、より食の満足感も高まります」

そして常に心がけてほしい点がある、と浅倉さん。

「旬の多種多様な食材をバランス良く食べることです。というのも、この食材が良い、と聞くとそればかり食べてしまう人もまだ多くみかけます。でもそれは、栄養価を偏らせ、栄養失調や免疫力の低下による体調不良や病気にかかりやすくなる原因になります。

季節に合った、多種多様な食品を食べることにより腸内微生物の多様性が促され、微生物の種類が豊富なほど、人体に有益な成分を微生物が産生し、免疫機能を高め、老化抑制を促してくれます。

美容も、シェイプした身体も、体の内側から健康になってこそ長期的に叶えることができます。常に”Well Balanced Diet”を意識して、様々な食品を食べるようにしましょう」

うま味で本来の味覚を取り戻し、私たち日本人の腸内細菌叢にあった食材を理解しながら、多種多様な食品をバランスよく食べる。

連載もいよいよ後半。次回は、今注目のレジスタントスターチについてご紹介。

 

出典

(※1) DNA Res. 2016 Apr;23(2):125-33.

(※2) J. Jpn. Assoc. Dietary Fiber Res. 2000;4(2):47-58.

(※3) 日乳酸菌会誌2010;21(2);112-121

(※4)ファルマシア2014;50(8) 815

(※5) ImmMed. 2015;38(4):245

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