今、注目を集め続けている「ながらストレッチ」や「ながらエクササイズ」。何かをしながらできるからと人気だが、そもそも“体の基本”が整っていなければ効率的ではないと専門家は指摘する。そこでウィメンズヘルスでは「座る」「歩く」「パンプスで歩く」という、最も基本的な動作にフィーチャー。これらの動きは毎日行うものばかり。きちんと意識すれば見た目も美しくなり、体にもいいことばかり。“究極のながらエクササイズ”とも言える３つの動き、まずは「座る」に注目。
「座る、歩くなどは日常の基本的な動きですが、意外に人の印象を左右するものです」と指摘するのは、体の動きや仕組みに精通している、b-i STYLE代表でありボディワークプロデューサーのkyoさん。
「現代人に多いのが首や頭と顎、肩が前に出ていて、膝が開いている姿勢。顎が前に出ると体のさまざまな部位が連動して、このような姿勢になります。胸もきゅっと閉じた状態になるので、全体的に暗い印象を与えてしまいます。体の専門家たちは胸にある背骨が感情を表現している事を知っています。華やかさやオーラのもとでもありますが、そうした意味からも胸が閉じていると暗いイメージになります」。まるで原始人のような姿勢になっているのが、現代人の現状だ。
「体は家の建築と一緒だとイメージしてみると分かりやすいでしょう。土台がしっかしりしていないと、いろいろな所に支障が出てきます。日常の姿勢や動作もその一環」。なかでも重要なファクターのひとつが骨盤。骨盤を中心に全身が調和するので「骨盤が顔に出る」とkyoさんは言う。
「骨盤が理想の状態にあり、きちんと体を使えていると華やかで人目を惹きます。街中で見ていても、欧米人や日本人以外のアジア人は姿勢や歩き方が違う。姿勢の悪さや歩き方が美しくないと思うと、圧倒的に日本人が多い。本来、日本人は立ち居振る舞いが美しかったはず。とてももったいないですよね」
美容の為の本格的なワークアウトの前に、体の基本を見直すことがオススメ、とkyoさん。「お手入れや週に数回のワークアウトは全体から考えると、割合はわずか。それ以外の長い時間が体を作っていると考えるとイメージしやすいでしょう。毎日の姿勢や生活習慣が今の自分を形作っているのです」
体は性格が出る、とkyoさんは言う。「体は嘘をつきませんので、その人の性質や暮らし方の蓄積が出ます」。体を変えれば自ずと思考や行動変わり、性格までも変えられる可能性がある、というのはとても興味深い話。
今回取り上げるのは、一日の中で何度となく繰り返す「座る」の理想形。
【きちんと体を使った座り方のポイント】
1 いきなり座るのはNG。イスの少し前に立ち、左右どちらかの脚を後ろに引き、座面の縁にそっと当てる。
2 腰を下ろしながら手で触れて、座面を確認。深く腰掛けず、座面の前方に浅く座る。
3 イスのエッジなど手を添えながら、深く座り直す。
4 骨盤を立てるように座り、下腹をしっかり引き締める。後頭部、肩甲骨、脊柱の一番下にある仙骨が一直線になっていることを意識する。
【NGの座り方】
座面を確認せず、いきなりどっかり座ってしまう。背中が丸まって、首が前に出る。膝が開いて、力が掛かるのは仙骨。通称「仙骨座り」で、見た目が美しくないだけではなく、腰痛や肩・首凝りになるリスクも。
見た目にも美しく、体をきちんと使った座り方。さあ、今日からトライ！
■お話を伺ったのは……
kyo（きょう）さん
ボディワークプロデューサー。東京・外苑前にあるスタジオ「b-i STYLE」代表。1983年より幼児体操から大人の健康作りの体育指導をスタート。2001年よりフィットネス業界にて骨盤を中心に全身を整えるプログラムをスタート。2005年よりビューティ・ペルヴィス®と命名したオリジナルメソッドを展開。指導者の育成・教育にも努める。2005年より現職に。『いつまでも美しくいたければ女は骨盤を立てなさい』（日本文芸社）など著書多数。
b-i STYLE
東京都港区北青山2-9-13 サイトウビル2F
tel.03-6434-7357
Movie:Maho TomonoPhoto:Getty ImagesMusic:Traveller by David Szesztay
