■何もかもがコスメで解決できるわけではない。今の生活は?
食生活も乱れていて、睡眠時間も不足していて、ストレスフル。そういえば最近、運動もしていなかった……。そのツケが肌に出てしまうことも。けれど、そんな状態をコスメ一つで解決しようとしても、うまくはいかない。
よく言う話だが、摂取した栄養素は生命活動の維持に最優先される。内臓や脳の機能の保全や体調の維持に使われ、肌に回ってくるのはイメージとしては最後の方。つまり、バランスのよくない食事に加え、休息を満足に取っていない体と肌では、肌の調子はなかなか上向きにならない。
メディアがよく「栄養バランスのよい食事」「生活を整える」などと解説しているのは理想論にも聞こえるけれど、実はこうしたことが裏側にある。コスメの前に自分のポテンシャルを上げるというのも、立派なスキンケア。
■間違ったダイエットやヘルス情報、鵜呑みにしてない?
糖質カットや油分オフ。ダイエットにおいてよく聞くワードだけど、果たして自分にとっての「正解」だろうか? 糖質を完全にカットすると体を動かすエネルギー不足になることも。また糖質をカットした分、それを補おうとするあまりタンパク質の摂取が過剰になり、結果、血管が傷んだり、心筋梗塞のリスクが上がってしまった例も。
オイルをヘルシーに抑えるのはよいものの、オイルの中でもどの種類のオイルを控え、逆にどの種類のオイルを積極的に摂った方がいいのかまでは、なかなか意識が向かない。脂質は体のエネルギー源になるだけではなく、ホルモンの原料や細胞膜の材料になる。糖質も脂質も過剰に摂るのは無論よくないが、完全にオフするリスクもきちんと知っておいて。
■眠りだってスキンケアの一つ。完全にリラックスできる環境作りを
睡眠を取ると心身が回復し、肌も修復される。さらにその際には、目や鼻に飛び込んでくる情報、つまり部屋のインテリアやニオイも意外に重要な要素となる。部屋が乱雑であったり、ニオイがするとそれがストレスになり安眠を妨げることも。すっきりと整理された部屋で、無臭、もしくは自分がくつろげる香りが漂っていることが心地よい眠りにつながる。
軽視されがちなのが、寝るときの服装。パジャマは眠りをきちんと考えた結果、できたもの。Tシャツやスエットでは、実は体や心はリラックスしきれない。体を締めつけず、寝返りが打ちやすいデザインの、肌に優しいコットンやシルクのパジャマをセレクトしてみて。
日本人は世界的に見ても、短眠な国民。忙しいのはわかるけれど、7時間は睡眠時間を確保したいところ。2004年に名古屋大学大学院の玉腰暁子助教授らの研究グループが発表した、「睡眠時間と死亡リスク」に関する調査によれば、平日の睡眠時間が約7時間の人々が最も死亡率が低い、という結果に。これは日本人11万人を10年間追跡した大規模な調査のデータ。
最近では、ベストな睡眠時間は個人によって違うとする説もあるが、やはり恒常的に短時間の睡眠になって体や気持ちがハードなようであれば、まずは睡眠時間を確保したり、入眠、起床の時間がバラバラになるのを調整してみよう。それくらい、眠りは肌やメンタルにも密接。
スキンケアは単に肌をケアするだけではない。肌は自分の生活の“成績表”。そう思うと、さまざまなアプローチが考えられる。楽しみながら、頭を柔らかくして美肌作りを!