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オリンピック金メダリストのミスティ・メイトレーナーやケリー・ウォルシュから、暑さの名残がある秋をクールに過ごす5つのコツを学ぼう。普段のトレーニングや競技、大会に役立つアスリートのワザをレッスン!

暑い中でのエクササイズは控える。その確かな理由とは?

エクササイズがハードで長くなるにつれ、体内の温度は上がる。全米青少年スポーツ健康安全研究所のディレクター、マイケル・F・ベルシェロン博士いわく「極度の体温上昇を避ける一番の方法は、ワークアウトの強度か時間、またはその両方を減らすこと」

金メダリストに2回輝いた現在40歳のミスティ・メイトレーナーと現在39歳のケリー・ウォルシュは、2004年のアテネオリンピックで日中の練習を指示されたそう。

「あまりに暑くて、他のアスリートは誰も練習していなかった」 と、メイトレーナー。「10分練習してから日陰に入って座った」。暑い日のワークアウトが普段以上にハードに感じるのはNG。米国コネチカット大学の運動学博士号取得候補者エヴァン・ジョンソンによると暑さと水分不足で心拍数が上がり、遅めのペースや少なめのレップ数でも普段の負荷に達するという。

“いつ、どのくらい控えるか”はその日の天候、フィットネスのレベルや暑さにさらされた時間よって決めるべきだとか。体の声に耳を傾け、熱さや疲労を感じたら、休憩するか早めに切り上げること。

運動を始めたばかりの人は、ウォーキングのような易しいワークアウトに徹したほうがいいし、体が完全に高温に慣れるには通常は2週間かかるそう。

水分はただ飲むだけじゃダメ!? 飲み時と量を知っておこう!

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例えば体重57キログラムの女性は、暑い日に長距離を走ると最大900ミリリットルの汗をかく。スポーツ栄養士で『Nancy Clark Sports Nutrition Guidebook』の著者であるナンシー・クラークの話では、「ワークアウト中の疲労を回避するには運動の直前だけではなく、一日中水分を補給するべきよ。その際、2~4時間ごとにトイレに行けるようであれば、コンディションが整っている証拠なので、目安に。また日差しの中に出る前に、プレッツェルのような塩気のあるスナックをひとつかみ分、摂って。塩に含まれるナトリウムは体内の水分をキープするので、脱水を遅らせてくれるわ」

1時間以下のランニングやウォーキング、サイクリングなら、ワークアウト中に水を飲めばOK。90分以上のワークアウトでは、喉が渇く前に水分を補給すること。120~240ミリリットルの水を15~20分おきに飲むのが目安。スポーツドリンクも、体のエネルギーとなる炭水化物や水分保持役のナトリウムの確保に便利なアイテムだ。

五輪のメダル獲得に貢献した「体を冷やす」テクニック

2004年のアテネオリンピック。蒸し暑い環境で走る直前、マラソンランナーのディーナ・カスターは冷たいコンクリートの上に座り、アイスベストを着用していた。ベルシェロン博士によると、予冷と呼ばれるこの戦術は、体幹温度を下げ、暑い中でも持久力を高めてくれる。

今年45歳になるカスターには効果があったようで、銅メダルを獲得した。ワークアウト前はエアコンの効いた部屋で過ごしたり、冷たいシャワーを浴びたり、アイスドリンクを飲んだりして同じような効果を得よう。また、エクササイズの1時間前に冷たいドリンクを飲むと、ランナーの持久力が伸びたことをオーストラリアの研究チームが発見している。

同じワザをワークアウトの中盤でも使ってみよう。2011年の研究では氷を首にのせることで、アスリートが感じる熱による負担が軽減したという報告がある。

こうした冷却法は、暑さをそれほど感じなくなり、より長時間のエクササイズを可能にしたといえるかもしれない。例えばウォルシュとメイトレーナーは、競技の水分補給時に帽子を氷水に浸し、冷たいタオルを首の周りに巻いた。サイクリング&トライアスロンチームの「Luna Chix」に所属する、プロのマウンテンバイク選手、ジョージア・グールドのワザを試してみるのもいいかもしれない。気温が32度にもなる米国コロラド州フォートコリンズでトレーニングをする際には、氷で満たした袋を肩甲骨の間に押し当てているそう。

暑さと心の関係。コツは「冷静さを維持する」こと!

うだるほどの暑さの日は、実際の気温や環境について「知らないほうが得」というデータもある。二つの研究において、自転車競技の選手がパワフルな走りを維持し、より長い時間走ることができたのは「気温が実際よりも低いと信じていた」ときだったのだとか。

米国・ニュージャージー州エングルウッドの「The Physical Medicine & Rehabilitation Center」でスポーツ心理学長を務める教育学修士のグレッグ・シェルトークによれば、研究の被験者たちは暑さのせいでパフォーマンスが落ちると決めてかからなかったため、「暑さのせいでいつも以上にハードだ」と感じずに済んだそう。

朝に天気予報をチェックして必要な措置を取るのは賢明だけれど、暑さにとららわれるのは逆効果になりかねない。「ウォームアップの段階で地獄のように暑くても、決してビビらないこと」 と、ウォルシュは語る。これは、気温を気にしていると不安になったり、心拍数が急上昇して呼吸が早くなって過呼吸になることもあるからだとか。こんな状態ではどんなワークアウトでも、とてもハードに思えてくるかもしれない。

日焼けだけではなかった! 肌を守ることのたくさんの意味

直射日光は、体温を上昇させるだけに留まらない。ベルシェロン博士いわく「日焼けによって汗腺がダメージを受け、体の自己冷却機能も抑制される」。さらに、皮膚がんのリスクも高くなるようだ。外出前には日焼け止めを塗るか、軽量で明るい色の、汗を逃がす素材の衣類で肌を完全に覆うこと。

お手本は、ボート選手でオリンピックの金メダリストのエリン・カファロ。2.5時間に及ぶ水上でのワークアウトを行うとき、長袖のシャツに帽子、サングラス、UVカットのリップクリーム、そして露出した肌には日焼け止めを忘れない。なんとも強く、スマートな女性!

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。