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デジタルデトックスを無理にしようとするよりも、スマホを賢く使ってみて。

スマートフォンは私たちの神経を乱している、とはよく言われること。ストレスホルモンのコルチゾールを増やして、お腹にも悪影響、さらに集中力も途切れがちになる。

さらに、なんとスマホをなくすと考えるだけで、テロ攻撃と同じくらいのストレスを与えるという結果が、心理学学会の新しい研究により判明している。これは2000人を対象にして、人生に起きるさまざまなイベントに対してどれくらいのストレスを感じるかを調べたもの。

すると、携帯電話をなくす、という項目がなんと14位になった。これは引越しや、結婚式の準備をする、などよりもずっと高かったという。ちなみにテロ攻撃は、13位だったそう。

専門家からは、健康への悪影響があると言われているのにもかかわらず、私たちは今まで以上にスマホを手放せないでいる。

では、どうやったら、スマホを使って身体的にも精神的にもプラスの影響を与えることはできるのだろうか。

イギリスの国民保健サービス(NHS)のメンタルヘルスネットワークのポリシーディレクター、レベッカ・コットンはスマホの健康へ与える影響に詳しい専門家。コットン氏にスマホを効果的に使う方法についてアドバイスをもらった。

「スマホは、セラピーをオンラインで予約するだけでなく、実際に受けることにも使える。アプリやウェアラブルデバイスを使って症状をモニターすることもできる。つまりスマホは全体的なケアのレベルを上げているとも言える」とコットン氏。「テクノロジーの進歩はスマホも含めていろいろな可能性を秘めている。それによって多くの人が恩恵を受けることができる。そして、メンタルヘルスにまつわるたくさんの誤解に向きあうことができるはず」と話す。

たとえばオンラインの患者向けのサポートシステムなどもあり、無料で自己診断テストやセラピーを受けられるというものも。

ではこういったサービスのほかにスマホを身体と心のために使う6つの効果的な方法とは、具体的にどういうものなのか。

1. 気落ちをコントロールするために使う

Well To Do Londonの創業者のローレン・アームズは、スマホを使っていることが問題なのではなく、その使い方が問題だと話す。

「スマホをなんのために使うかを明確にして使うのなら、携帯電話はとても素晴らしいツール。家族とつながる手段でもあるし、時間を意識させてくれる」とアームズ氏。

アームズ氏は「マインドフルネスを鍛えることのできる『Headspace』というアプリも愛用している。私は、集中と不安のパックをやってみたけれど、簡単にステップごとにマインドフルネスへ親しめて、一日を通じてリマインダーが来るのも気に入っている」と話す。

2. 睡眠リズムの改善に

デロイトの最新のモバイルコンシューマーサーベイによると、イギリスの3人に1人の成人、そして18歳から24歳の半数の人が夜寝ている間にも携帯電話をチェックするという。そして、さらに、10人に一人は起きてまっさきに携帯電話に手を伸ばすそう。3分の1の人は目を覚ましてから5分以内にはスマホをいじっているとか。

でも携帯のアプリを使って睡眠をよくすることも可能だとか。たとえば、「Sleep Stages」というアプリのようにウェアラブルデバイスと連携して、睡眠の状態をモニターしてその日の活動と睡眠の質とを比較してくれるものもある。

これによって日中の運動や食事などの活動が、夜の睡眠の質をどう左右するかということが分かってくるという。Sleep Stagesの場合はモニター内容がとても細かく、レム睡眠が「浅い睡眠」に比べてどのくらいあったかなども予測できる。そして、モニターした内容を元に、1週間の睡眠スケジュールを立ててくれるそう。

3. 脳のトレーニングに

フィットネスブロガーでアディダスアンバサダーのアドリアン(@Adrienne_ldn)は「スマホをうまく使うコツは、脳トレアプリをダウンロードして隙間時間を活用すること。地下鉄での通勤時間が長い時など、写真を眺めるのではなく、こういう脳をトレーニングするゲームをやっている」と話す。アプリでは数独などをやっているそう。

4. 写真を撮ってハッピーに

実はセルフィーもプラスの効果があるもの。

2016年のカリフォルニア大学の研究で、参加者は毎日笑顔の写真を自撮りするように言われた。そして4週間に渡ってセルフィーを撮り続けた結果、段々と自分の笑顔に自信を持ち、それに慣れてきたそう。

また、自分の顔ではなく、見て笑顔になったり気分を上げてくれるような物を撮影したグループは、振り返ったり、物事に対して感謝することが増えたそう。そして最後のグループは、友達が喜ぶような物を見つけて、それを送るように言われた。このグループは4週間これをやり続けることで、気分がより落ち着いて、人とのつながりをもっと感じられたと話した。

3つのグループのどの参加者にもスマホで写真を撮ることでポジティブな気持ちになれたという結果が出ている。カメラアプリはぜひ入れておきたいもの。

5. 月の満ち欠けを知ってバイオリズムに活かして

スマホを使って自分ともっとつながろう、というのは「Material Girl. Mystic World」の著者ルビー・ワリントン。

「私は月の満ち欠けを知るためのアプリ、iLunaを入れている。このアプリを使えば月と自分の身体のサイクルを連動して見られる。だから、変動する気分や無意識の感情を理解するヒントとなってくれる」とワリントン氏。

6. モチベーション維持に使う

アナリシア・リンはヨガとピラティスをオンラインで提供するサービスの創業者。彼女は走る時にスマホでテレビのコメディーを見るのに使っている。ランニングはスマホを持って外でやることもすすめている。

「自分はフィットネスの専門家だけど、フィットネスを記録するようなアプリは一つも入れていない」とリン氏。「身体やエクササイズの観点から考えると、数字にこだわるのではなく、実際運動した時の気分などの方が大事だと考えるようになった。昔は、私のエクササイズは数字目標に左右されてきたけれど、今では違う。何キロ走った、何カロリー燃焼した、何キロ体重を減らしたなどにはこだわらない」。

「数値目標ではインスピレーションにはならないと思っている。寒い日にぬくぬくした布団から出て朝早くにウォーキングに行くモチベーションにはならないし、仕事で疲れ切った後にジムに行こうとも思えない。ではなにが、そういう気持ちにさせてくれるのか。それは、持続するようなプラスの変化。そして、そんな変化は自分の気持ちと関係しているのであって、数字と関係しているわけではない」とアナリシアは自分の経験を振り返って話す。

「エンパワーメントの意識、なにか辛さから解放されること。希望やインスピレーションを感じられること。つまり、楽しいことや嬉しいこと」そんな感情を大切にして。

そして、そういった感情、感謝や目的意識を助けてくれるようなもスマホは使えるそう。たとえば、ワークアウトする前に「なんで自分はこの30分間を運動に使うのか」と自分に問いかけるそう。こうすることで、ワークアウトに対して意味を与えることができる。そして、アラーム5分毎にセット。アラームが鳴ると、走っているその目的を思い出すことができて、さらに感謝していることも思い出すことができると言う。つまりスマホがハッピーな気持ちと、なんでそれをやっているかということを意識させてくれるそう。

うまく使えばスマホのようなテクノロジーもメンタルヘルスによい影響を与えてくれるということ。

http://www.womenshealthmag.co.uk/life-skills/gadgets/6593/reset-health-digi-life-using-phone/

Text:Claire Coakley Translation:Noriko Yanagisawa Photo:Getty Images