Eye, Blue, Iris, Face, Eyelash, Close-up, Eyebrow, Organ, Green, Skin, pinterest

段々と視力を失うのは、避けられないことのように感じる。こっそりと忍び寄る現代の健康危機にアメリカ版ウィメンズヘルスが迫る。

目には目を。一目惚れ。美しさは見る人の目の中にある。何世紀にもわたって受け継がれてきたこれらのことわざは、目は世界を見て理解するためだけのものではなく、人間らしい最も鮮烈な経験に欠かせないものであることを思い出させてくれる。最近の研究において大多数の人々が、視力を失うくらいなら手足や記憶を失ったり致死的な病気を患ったりすることを選ぶと答えたとしても不思議ではない。でも、私たちの視覚が、皮肉にも自分たちの手によって危険にさらされている。

主な原因は電子機器への依存。視力を奪いかねない黄斑変性症に関連する近眼や近視の症例が急速に増加している。「今世紀に入ったばかりの頃は、黄斑変性症の患者は人口の1~2%に過ぎなかった。その確率が今では50%近くにまで上る」 と語るのは、アテネ・ジョージア大学の神経科学者ジム・ストリンガム博士。「主な原因は環境的なもの」 とする彼は、私たちがスクリーンに釘付けになる時間の長さを指摘する。

一般的な女性の場合、それは1日10時間。でも、それがたった2時間でも、90%の確率でコンピューター視覚症候群 (CVS) を発症することを数々の研究結果が示している。デジタル眼精疲労とも呼ばれるCVSには、視界不良、ドライアイ (スクリーンを見つめていると瞬きの回数が66%も減るため)、上半身の痛みや頭痛といった様々な症状がある。61%もの成人が経験するというこのCVSを 「新たな手根管症候群」 と呼ぶ専門家までいる。オフィスで働いていてもいなくてもかかる伝染病だ。

この原因の一端は、電子機器が発する高エネルギーの青色光。網膜内の細胞にダメージを与え (これが黄斑変性症を引き起こす可能性もある)、睡眠を邪魔する。止むことのない忙しさに疲れ果て、夜はコンタクトレンズも外せないというのに、足元がふらつきイライラするなんてとんでもない。慢性的なストレスも視界を悪化させる。俗に言う逃げるか戦うかの状況に、目が拡張してより多くの光を取り込むため、光に対して過敏になるからだ。

でも、希望の兆しはある。専門家によると、電子機器を放棄せずとも視力問題の80%が治療または回避可能。日々の電子機器の使用習慣にいくつかの変更を加えるだけでいい。

大切な視力を守るためにするべきことはかなり初歩的。長時間にわたって近くで物を見つめると、目の筋肉が疲労困憊の状態に陥る。一般的な筋肉痛と同様、その不快感は一時的で、凝視するのを止めれば治まる。でも、そもそも目を疲れさせる必要がどこにある?トップドクターおすすめの防止策で先手を打とう。

パソコンのスクリーンから50~60㎝離れる

腕を伸ばして距離を取れば、目を細めることもない。ストリンガム博士は、これで頭痛も目の疲れも減ると言う。

頭上の照明を暗くしてブラインドを閉める

明るい照明や日光はスクリーンに反射して目を刺激する。モニターやスクリーンに貼り付ける反射防止フィルターを使い、液晶画面の眩しさを軽減しよう。

携帯端末の文字を大きくする

液晶画面に映し出される文字はハッキリしないピクセルの集合体。懸命に読もうとすることで目が疲れる。スクリーン上の文字は、普通の位置からでも読める一番小さいサイズの3倍の大きさにセットすべき。

20・6・20のルールに従う

20分ごとに、6m先の何かを20秒間見ること。ニューヨーク市の検眼医学博士モニカ・グエンは、これが 「目の筋肉をリラックスさせ、焦点を近くから遠くに移すことが一時的に困難になる仮性近視の症状を緩和する」 と説明する。

目を潤す

目がヒリヒリしたり乾いたりする場合には、2~3時間ごとに保存料を含まない (更なる刺激を防ぐため) 市販の人口涙液目薬を使ってみよう。改善が見られなければ、医師の処方を受けること。

眼科の年次検診を受ける

今まで目に問題を抱えたことがなかったとしてもだ。近視、遠視、乱視の発見、メガネやコンタクトレンズの度数矯正はもちろんのこと、問題が悪化する前に治療を受けることもできる。

市販の老眼鏡を使ってみる

視力に問題がなくても、パソコンの使用に老眼鏡を使ってみること。「目の筋肉は、焦点を合わせることで大忙し」 とストリンガム博士。「眼精疲労や目の疲れ、その結果としての頭痛を防いでくれる」

ほうれん草を食べる

2017年に実施されたとある研究では、6ヶ月間毎日ルテインとゼアキサンチンのサプリメント (1日当たり大きなボール2杯分のほうれん草または1週間で170gのほうれん草を5回食べるのに相当する量) を飲んだ人には、プラシーボを飲用した人に比べて、眼精疲労が29%、目の疲れが28%、そして頭痛が34%少ない結果となった。ストリンガム博士によると、網膜がこれらの栄養素を吸収し、目にダメージを与える青色光を遮断するために使っているそう。

目の筋肉強化とストレッチ

眼科医主導のエクササイズを数回重ねる視覚セラピーは、目が疲れを感じることなく長時間焦点を維持できるよう、目と脳の連携力を高めるもの。ミネソタ州ミネアポリスの検眼医学博士で視覚セラピースペシャリストのネイサン・ランゲモが、おすすめのエクササイズを教えてくれた。

1日3回、親指を立てて両手を前に伸ばす。頭を固定したまま手をゆっくりと前後、左右、斜めに動かし、両目で親指の先を追ってみる。

目を常に潤すために

2秒間、目をやさしく閉じる。2秒間、目をギュッとつむる。目を開く。このエクササイズを1時間に1回行えば、目の表面を常に潤しておくことが可能。

この記事は当初、アメリカ版ウィメンズヘルス2017年11月号に掲載されました。

紹介する商品の選定はウィメンズヘルス編集部にて行っていますが、商品へのリンクはアフィリエイトパートナーから提供されている可能性があります。商品購入の際には、ウィメンズヘルスが収益の一部を受け取ります。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text:Aviva Patz Translation:Ai Igamoto Photo:Getty Images