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太陽には、80%のシワとシミ、そして皮膚がんの一番の原因という邪悪な一面がある。それを知っておきながら、どうやってアウトドアを楽しめと? でも、皮膚科医が自分の肌を守るために開発したスマートな対策を用いれば大丈夫。

皮膚科医たるもの、ありとあらゆる関連文献を読んできた (中には書いた人もいる)。数え切れないほどの商品を研究し、テストしてきた。そして毎日の診察の中で、過剰な紫外線による影響を目の当たりにしている。でも、外に出ては皮膚の健康を心配するという点については、皮膚科医も私たちと変わらない。

その膨大な知識をもとに、どんな対策をしているんだろう? 毎朝、そして海でも実行可能なステップとは? 23名の権威ある皮膚科医が、よくある日焼け止め習慣に賢く手を加える方法を教えてくれた。医学博士のように肌を守るための完全ガイドは、こともあろうに歯磨き粉から始まる。

日焼け止めを歯磨き粉の隣に置いておく

日焼け止めに洗面台のセンターポジションを与えれば、毎朝塗るためのリマインダーになる。「もう何年もこうしている」 と語るのは、ボストンの皮膚科医ラネラ・ヒルシュ医学博士。これは、科学によって裏付けられた習慣。最近の研究によって、歯磨き粉の隣に日焼け止めを置いている人が実際に日焼け止めを使う確率は、他の場所に置いている人よりも20%高いことが分かったそう。

SPF値を数学的に選ぶ

実験室の完璧なコンディションの中で日焼け止めのテストをする場合、科学者たちは (非現実的だという声もあがるほど) 日焼け止めを厚く塗って肌をカバーする。イェール医科大学の臨床皮膚科学助教授を務める皮膚科医のマクリーン・アレキサデス医学博士によると、「これまでの研究によって、人は日焼け止めを少なめに塗る傾向にあり、2時間で効果が消えてしまうことが分かっている。つまり、SPF100の日焼け止めを適量の半分だけ塗れば、その段階で得られるのはSPF50程度の効果。2時間後には、SPF30もしくは15にまで効力が下がる」

今回話を聞いた皮膚科医全員が、普段使いの日焼け止めには最低でもSPF30と答えた。とはいえ、この数字も日差しの強さによって変わるもの。「SPF値は、紫外線の防御率。ニューヨークに住んでいれば、SPF30で97%の紫外線をブロックすることと、SPF100で99%の紫外線をブロックすることに大きな違いはないかもしれない。でも、直射日光の強いフロリダに住んでいれば、SPF30以上の日焼け止めを使うことには大きな意味がある。防御率が1%でも高ければ、その分皮膚がんの発症リスクが下がるから」 とアレキサデス博士。

人が塗り忘れるスポットを知っている

一日中、人間の体をくまなくチェックしている皮膚科医たちは、皮膚がんが現れ、シワが出てくる部分を知っている。耳のてっぺんと後ろの他にも、手の甲、ひざ、足の甲の3ヵ所は目に付きやすいのに忘れられがち。ニューヨーク大学ランゴンメディカルセンターの臨床皮膚科学助教授で皮膚科医のドリス・デイ医学博士は、「首の横が、毛をむしり取られた鶏みたいになっている人が多い」 と言う。「首の中心はアゴが日差しから守ってくれるけど、横は無理なので、顔用のSPFを必ず首全体に塗っている」 そう。

足の指の間と髪の生え際も忘れられがち。「日頃から、耳の付け根やおでこのてっぺんに出来た茶色いシミを大量に目にするので、顔の外側から日焼け止めを塗るようにしている。鼻まで辿り着いたら、必要に応じてもっと塗る」 のがデイ博士流。生え際の産毛をクリームでべとべとにしたくなければ、パウダータイプのSPFが便利。

重ね塗りする

顔には小さじ1杯分、体にはショットグラス1杯分。こんな計量ガイドラインは、自分たちを含め誰も気にしていないと皮膚科医たちは声を揃える (今回話を聞いた皮膚科医の中で、実際に量っていた1名を除く)。十分なカバー力を得るために、ほぼ全員が代わりにやっているのが重ね塗り。

2層目は、日焼け止めを色んな方向に塗り込むそう。テキサス州サンアントニオのブカイ皮膚美学センター設立者で皮膚科医のヴィヴィアン・ブカイ医学博士によれば、「これで確実に塗り忘れが防げる」。ちなみに、塗る時はみんな裸。ボストン皮膚学研究所所長で皮膚科医のエミー・グレイバー医学博士は、「そうすれば、水着や服のラインに沿って焼けてしまうこともない。実際によくあるケース」 と説明している。まだ十分塗ったか分からない? 日焼け止めで肌がギラギラしていない限り、しっかりカバーされていると言えないそう。

コーヒーと抗酸化物質で一日をスタート

まずはコーヒーから。ニューヨークのマウント・サイナイ・アイカーン医科大学の臨床皮膚科学助教授で皮膚科医のホイットニー・バウ医学博士は、もっとコーヒーを飲めば悪性黒色腫の発症リスクが下がるという最近の研究文献を読んでから、コーヒーの量を225gから340gに増やしたという。

一方の抗酸化物質は、なんと45%もの確率でSPFの隙間から忍び込むと言われるフリーラジカルに対抗するための安全策。「フェルラ酸をビタミンCやEと組み合わせると、日焼け止めのSPF値が8%上昇することを示す研究がある」 と語るジョージタウン大学メディカルセンター臨床皮膚科学教授で皮膚科医のティナ・アルスター医学博士は、日焼け止めの下に、スキンシューティカルズのCEフェルリックセラムを使っているそう。

二度手間になるのが面倒なら、ワイルコーネル医科大学の臨床皮膚科学助教授で皮膚科医のダイアン・ベルソン医学博士がハマっている、強力な抗酸化物質が入った新しい日焼け止めを試してみて。デイ博士とアレキサデス博士は、抗酸化物質が豊富な地中海の食生活を取り入れ、紫外線によるダメージを体の内側から防ぐ努力をしている。

リップグロスを塗るのは日が落ちてから

グレイバー博士によると、「よく光る物は何でも拡大レンズのような働きをして、太陽光の浸透を助長してしまう。リップグロスを塗って外に出たがために、唇が日に焼けて膨れてしまう人は多い」。下唇の皮膚がんは一般的で、彼女の経験からすると転移しやすい。皮膚科医は日焼け止めリップクリームで日中を過ごす。

また、塗り直すのをためらう必要はない。唇は常に舐められて飲食に使われるので、日焼け止めが最初に落ちてしまう場所。ニューヨーク州立大学ダウンステート・メディカルセンターの臨床皮膚科学助教授で皮膚科医のエイミー・ウェクスラーは、「顔に普通の日焼け止めを塗るときに、口を閉じて唇にも軽く塗る」 そう。

車をアップグレード

数々の研究結果が、車の窓を通り抜ける紫外線によって大きなダメージが生じることを示している。ある有名な研究は、顔の左側が (衝撃的なまでに) 風化している一人のトラック運転手に着目 (左ハンドルの車)。別の研究では、(左ハンドルで運転する) アメリカ人の顔の左側と左腕に皮膚がんが増加していることが判明したそう。「自分の病院でもそうだ」 と言うのは、ニューヨークのマウント・サイナイ・アイカーン医科大学所属の臨床皮膚科学助教授で皮膚科医のエレン・マーマー医学博士。「紫外線を余計に受けるからという理由だけで、前癌のケースが体の片側で10件、反対側で0件なんて本当に信じ難い」 と驚きを隠せない。

JAMA眼科学誌に掲載された最近の文献によると、サイドウィンドウを通して車内に侵入する紫外線A波の量は、紫外線A波を95%ブロックするように作られているフロントガラスを通過する量の平均1.25倍。紫外線A波は、皮膚がんと明らかな皮膚の老化に関連している。皮膚がんと日焼けの原因となる紫外線B波は、どの窓でも十分にブロックされる。

車中で充実した時間を過ごす皮膚科医たちは、窓に取り付ける紫外線A波用保護フィルムにこだわる (窓のスモークに関する規定があるので、事前にチェックが必要)。通勤のために毎日2時間運転しているという、ニューヨーク医科大学の臨床皮膚科学教授で皮膚科医のアリエル・カウヴァー医学博士は、 「車内にこもる熱まで減らしてくれるセラミックフィルムを使っている」 そう。

外付けのフィルムを使わないとしても、ダッシュボードからパウダータイプの日焼け止めを取り出し、露出した肌に使ってからエンジンをかけるのが皮膚科医。うだるように暑い車内に置いておいても大丈夫。「手に塗るのを忘れないで」 と呼びかけるのは、カリフォルニア州サンディエゴの皮膚科医キンバリー・バターウィック医学博士。「特に女性の手には、老化によるシミがたくさんできる。ハンドルの上部を掴んで運転する人が多いのかも」

※この記事は当初、ウィメンズヘルス2017年5月号に掲載されました。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Kayleigh Donahue Hodes Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images