秋も深まり、夜が長くなってきた今日この頃。ダイエットや仕事の効率アップにも良質な睡眠が大切なのはご存じの通り。では、もっと快適な睡眠を得るためには何をしたら良いの? そこで今回は睡眠の質を左右するアイテムのひとつ、枕について専門家にインタビュー。睡眠の質を高めるための枕選びのポイントや、快適な睡眠環境を整えるための具体策をご紹介。自分にピッタリ合った最高の枕を見つけるための参考にしてみて。
なぜ睡眠が大切なの?
快眠セラピストで睡眠環境プランナーの三橋美穂さんによると「睡眠は脳と身体の疲労回復をするための大切な時間。睡眠の深さと長さがとても大事なんです。たとえば5日間、4時間半しか睡眠を取らないと脳機能がうつ症状に近い状態になると言われています。さらに新陳代謝が低下して肌が荒れたりたるんだり、太りやすくなったり、病気にかかりやすくなるなど、身体が老化している状態になってしまうんです」
また、ロフテー広報・PR担当の笹本志乃さんは、「最近の研究では睡眠の量より質が大事だと言われていて、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えがうまくいくほど睡眠の質も高まります。さらに、人は寝返りをすることによって寝ている間の筋肉を緩和する効果もあるので、寝返りがスムーズにうてることも睡眠には大切なポイント。だから、寝具選びで枕は重要です」と語る。
枕が合わないってどういうこと?
自分に合った枕を探す前に、まずは今使っている枕が合っているかをチェックして。
●首にシワがくっきりついている
●朝起きると首や肩がこっている
●寝るときに枕と頭の間に手を入れたくなる
●いびきが出る
上記のような自覚がある場合は、枕が合っていない可能性が大。「立っているときの姿勢を自然に保てるものがベスト。よく合わないからと言って枕をしない人も多いけれど、実はこれもNG。頭が心臓より下がってしまうのでむくみや肩こり、首の横シワの原因になってしまいます」(三橋さん)
「枕は敷寝具と首の間を埋めることで、体に負担がかからないように首を支える役割です。5~8kgもある頭部を支えている首が負担なく休めるのは、寝ている間だけ。敷寝具と枕のバランスがとても大切なんです」(笹本さん)
自分に合っている枕を選ぶためには?
今まで気にせず使っていた枕が、実は合っていないのかも……? でも、心配しないで。これから紹介する枕選びのポイントを押さえれば、きっとあなたに合った枕が見つかるはず。各専門家が教える枕選びのポイントはこちら。
●三橋美穂さん(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)
三橋さんによると、頭部から首にかけてのラインが枕のラインに沿っていることが大事だそう。また、意外にも寝た瞬間に首筋が伸びて気持ちいいと感じる枕は合っていないんだとか。
「本当に合っている枕とは身体と枕の一体感を感じられるもの。枕を使っていることを意識していないくらい自然な感じがするはずです。枕は高さと形と硬さ(感触)が一番大事。2、3個くらい自分に合った枕を揃えておいて、夏はひんやりタイプ、冬はモコモコ素材のものを使うなど、季節や体調で使い分けると良いと思います。
また、肩コリに良い枕とか、首の美容に良い枕など、さまざまな効果を訴求している枕も、自分に合っていなければ意味がありません。“体型に合っている枕”を選ぶことが肩コリ、首シワ予防、イビキ防止など、すべてにおいて効果的なのです」
三橋さんに聞いたオススメの枕はこちら。
【1】 パーソナルフィット・ピロー
“人それぞれの身長にあわせて選ぶ枕”をコンセプトに、これまで1万人以上にアドバイスしてきた三橋さんが昭和西川と共同開発。身長150㎝以下対象のSサイズ、150~160㎝対象のMサイズ、160㎝以上対象のLサイズを展開。寝返りをサポートする“くぼみ”や肩の形状に合わせたカーブ、高さ調整シートで3段階調整可能なので、身長に合わせて睡眠時の正しい姿勢に導いてくれる。
価格/¥10,000(Sサイズ、Mサイズ) ¥12,000(Lサイズ)
問い合わせ先/昭和西川 0120-711-033
【2】 ハイブリッドエアー 快眠ピロー 癒やし
カバー、中わた、ソフトパイプ、ブレスエアーのこだわりの4層構造で、ソフトながらも優れた弾力性で頭と首をサポート。高さ調節可能な5つのポケット設計で、ファスナー付きの各ポケットはソフトパイプの出し入れができ、好みの高さに微調整できる。とろけるような寝心地と理想の寝姿勢を両立。
価格/¥24,800
問い合わせ先/ポーラお客さま相談室 0120-117111
●笹本志乃さん(ロフテー広報・PR担当)
「ロフテーでは、時代の変化とともに体型が細見になり、正座の機会が減ったことなどから背筋がすらっと真っ直ぐになったことで、背筋のS字カーブがゆるやかになっていることなどが分かりました。こういった調査もあり、個々に合った枕で理想的な寝姿勢を推奨しています。
人によって体型や骨格が違うので、オーダーで作ることをおすすめします。女性はやわらかめの素材、男性は少しかための素材が合うと感じる人が多いようです。コンサルティングシートに枕や睡眠の状況などを記入して頂き、頸椎弧(首のカーブの深さ)を計る機械で測定後、10種類の素材、1cm刻みでお好みの高さの枕をオーダーでき、個人に合わせた枕を選ぶことができます。また、横向き寝用の枕やお子様用、抱き枕など多数ご用意があります」
笹本さんに聞いたオススメの枕はこちら。
【1】 ロフテーオーダーメイド枕(中側地:頸部支持構造)
中央の3ユニットと両サイドの計5ユニット構造。連結されたユニット構造なので、ユニット間のすき間ができにくく、寝返りしてもずれない。首筋をやさしく支える中央の3ユニットは、真ん中のユニットが低めなので後頭部が自然にフィット。両サイドは高めに設計されているので、横向きでも楽な姿勢に。かため素材、やわらかめ素材は各5種類ずつ揃っている。
価格/オーダー制 ¥10,000~(1号~5号サイズ)
【2】 ボディピローセレクション S型寝姿勢
横向き寝姿勢による身体への負担を考えた抱き枕。一般的な横向き寝姿勢に最適なS型ボディピロー(写真)は、穴の部分にヒザや太ももを乗せることでさらに寝姿勢を安定。実は、40%を超える人たちが入眠時に横向き姿勢を取っているそう。横向きの不安定な寝姿勢は、肩や腰、関節にも負担をかけやすいので、ボディピローで安定した寝姿勢を保てる。
価格/¥16,000~(Sサイズ・Mサイズ)
問い合わせ先/ロフテーコンタクトセンター 0120-824-855
枕と合わせて取り入れて! 快眠のためのテクニック
自分に合った枕で眠ることも大切だけれど、実は睡眠時の環境も同じくらい大切。寝るときの環境で睡眠の質がかなり左右されるそう。そこで三橋さんと笹本さんが、快眠のためのテクニックをレクチャー。簡単なテクニックばかりなので、今夜からぜひ試してみて。
「だんだんと寒い季節になってきたので、加湿器やマスク、空気清浄器をつけて寝てみて。アロマやキャンドルを焚くのもオススメ。アロマならラベンダーやゼラニウム、シダーウッドなどが睡眠に良いと言われていますが、自分の好きな香りをブレンドするのも◎。キャンドルは炎の揺らぎを見ているだけでリラックス効果があり、マインドフルネスの状態になりやすいです。ベッドルームで焚くのも良いけれど、バスルームや脱衣所をキャンドルの明かりだけにして思いっきりリラックスして」(三橋さん)
「眠りにつく前の90分がとても大切。できれば寝る直前までのパソコン、スマホ使用は避けてください。部屋の照明は白熱灯より、やわらかくて暖かい色味のライトがおすすめ。また、寝る前の90分前までにしっかりお風呂に入ることも大切。身体の深部体温が上がると、上がった分だけ大きく降下し、熟眠につながります。温まった状態で外に出ると、温まった身体を冷まそうとします。その身体の仕組みが寝る準備につながり、寝つきが良く、質の高い睡眠を取ることができます」(笹本さん)
また、2人とも寝室でかける音楽は歌詞のないものが良いとのこと。歌詞のある音楽だと無意識に歌詞の意味を考えてしまうからなんだとか。
ほかにも、お酒を飲みすぎない、寝る3時間くらい前までに食事を済ませるなど、今すぐ取り入れられることばかり。
睡眠の質は、1日の過ごし方、さらにはライフスタイルにまで影響してくるもの。少しでも睡眠に不安を感じるなら、この枕選びのポイントと快眠テクニックで毎日快適な眠りを手に入れてみて。
Photo:Getty Images
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。特に枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)ほか、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)は2016年のヒット商品にも選ばれ、シリーズ100万部を突破した。