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今日も帰りが遅くなって、選べる食事といえばコンビニやデリバリーくらい。また、まだオフィスや出先で、淋しい内容の食事になりそう。深夜に帰宅したら簡単なもので済ませたい……。そんなボディコントロールと栄養のピンチをむしろチャンスに変えて、身体と心にとっていい時間に。そのためのTipsをアスリートの栄養指導も手がける気鋭の管理栄養士、三城 円さんが指南!

「身体にいいものを」。意識はよくても、選ぶものが間違い!

「例えば22時などの遅い時間帯では、『身体にいいものを選ぼう』と思うでしょう。この意識はとてもよいのですが、そこから実際に食事や食材を選ぶときに間違ってしまう人が多いんです。どのシチュエーションでも多いのが、炭水化物が多めなこと。結果、脂肪の蓄積につながります。一方、身体を作るタンパク質、脂肪の燃焼に関わるビタミンB1、B2は圧倒的に不足します。まずはこれを覚えておきましょう」(三城 円さん)

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CASE1:コンビニにて

そうそう、野菜が不足しがちだからサラダ。お腹空いたけど、もう遅い時間だからお弁当やおにぎりはやめて、小さめのパンにしよう。あっ、新作の小さい菓子パンとジュースにしようっと。遅い時間のコンビニでありがちな選択です。

「まず、身体に必要なエネルギーと栄養素が不足しています。コンビニのサラダは、思ったほどビタミンやミネラルが摂れません。製造の過程で水にさらすため水溶性ビタミンは水に溶け出てしまいます。また、コンビニのサラダは色が淡いものが多いですよね。淡色野菜がほとんどなので、緑黄色野菜も摂りたいところ」けれど、緑黄色野菜も網羅するのは難しそう。「そんなときは温野菜。これならどちらも摂りやすくなります」

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CASE2:オフィスや自宅にて

オフィスや学校ではちょこちょこお菓子を食べ、空腹をごまかす。夜にはお腹が空くあまり、かなりがっつりとしたメニューを選んでしまい、その結果、翌朝にお腹が空かない……。こんな「負の食事スパイラル」に陥っている人も多いのでは。また日中は少しずつ食べているから夜は控えようとする一方、心が満足しないからケーキなどのスウィーツを自分へのご褒美に。

「このパターンで間違っているのは1日3食が絶対、と思っていること。お昼頃に昼食、15時頃におやつタイムをはさんだとしても、22時まで何も食べないのは、あまりに時間が空きすぎです。ちょこちょこおやつを食べても、脂質や糖分を摂っているだけなので、身体に必要な栄養は摂れていません。

そこでまずは『分食』を覚えましょう。これは、1日の食事を数回に分けて摂ること。食事と食事の時間が6時間以上空いてしまうなら、その間に量を減らした食事をはさみます。例えば遅い夕食になるときは、18〜19時に、おにぎりやサンドイッチなど手軽に食べられるものをチョイス。おにぎりならシャケ、サンドイッチならツナや卵の具材を選ぶとタンパク質も摂れます。

そして帰宅したら、不足している食物繊維やビタミンを補うために野菜ときのこ入りの温かいスープやみそ汁を飲みます。1日の食事の中でタンパク質が不足しているなら、肉や魚、豆腐などを入れても。スープなら22時以降でも胃にあまり負担にならず、空腹のまま眠りにつくことも避けられます。

朝食は、英語で「breakfast=断食を断つ」という意味のとおり、昨晩の食事からの時間を考えると、かなり空いています。にもかかわらず、何も食べずに出かけるのは、ガソリン切れで走っている車のようなイメージ。朝食の欠食は避け、前夜の残りのスープでもバナナでもよいので食べる癖をつけましょう。そのためには、夕飯の比重が大きくなりすぎないことも大切です」

飲み会は? おやつは? デリバリーは? そんなときの考え方

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CASE3:デリバリーをするとき

最近ではヘルシーなメニューも増えつつあるフードデリバリー。とはいえ、脂っぽいものがあるのも確か。「デリバリー食はどうしても脂質や塩分が多く、カロリーも多いメニューになりがちです。まずは1週間のうち、何回デリバリーで食事を摂るかを考えます。回数が多い場合は、大量に食べないように気をつけます。脂っぽいメニューやピザは全部食べるのではなく『この分は明日』と、最初から分けておきましょう。

例えば中華料理をチョイスするとき。野菜と肉(タンパク質)が摂取できて、さらにビタミンA、B、鉄分が摂れるレバニラ炒めなどがおすすめです。このとき、多めのご飯がついているようなら、1食分として100~150g程度に、レバニラも1/3程度、キレイな箸で取り分けておきましょう。塩分や油分が多いデリバリー食は『外食と同じ』と考えるとイメージがつかみやすくなります」

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CASE4:飲み会や会食にて

自分の意思ではどうにもならいない、飲み会や会食。こってりとした食事やアルコールが出ることも多々。「このときも『炭水化物が多く、タンパク質やビタミンが不足しがち』という原則を思い出しましょう。飲み会や会食がある日は分食にして、事前にゆで卵や豆、プロテインなどでタンパク質を補給しておきます。これなら会食でタンパク質が不足してもある程度はフォローできます。帰宅後どうしても小腹が空くときは、野菜ときのこの入った温スープでカバーしましょう。

不足するタンパク質は3食の中で摂る、と考えてもよいでしょう。夜は外食で肉を食べそうだなと思ったら朝は卵、昼は魚を選び、同じタンパク質でも動物性、植物性がまんべんなく摂れるようにするとベスト。

もしお店が選べるようなら、実は居酒屋やバルなどが活用大です」。居酒屋とバル、その共通点は? 「メニューの豊富さです。例えば居酒屋の刺身盛り合わせなら、白身と赤身の魚が食べられます。ホッケなどの焼き魚も選べます。焼き鳥の盛り合わせは肉だけではなく、砂肝やレバーもあるので、鉄分も補充できます。

バルではチーズと生ハム、肉の盛り合わせをチョイスすれば、タンパク質の補給に。しかもバルの盛り合わせは赤身肉が多く、これも嬉しいところ。温・焼き野菜や、野菜ときのこの煮込み料理などで不足しがちな野菜類も食べられます。他人がオーダーした、自分が食べたくない脂っぽいものは手をつけずに他の人にお任せする、ということも可能です。何を食べるかも重要ですが、同じくらい何を食べないか、ということも大切です。

もし会食などで、しっかりと食べてしまったら翌日の朝食はソイラテ(タンパク質、脂質)とバナナ(タンパク質、カリウム、ビタミン)などにして調節するなど、数日のタームで調整するのがおすすめです」

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CASE5:おやつタイムにて

ついつい無意識に手をのばしてしまうおやつ。こんなジャンキーなものは口にしたくないのにと思いながらも口淋しかったり、ちょっとしたお腹の減りで手に取ってしまったり。

「食べるなら15〜16時がよいでしょう。この時間は、血糖値を下げる働きをするホルモンであるインシュリンの分泌が高まっているので、脂肪がつきにくくなっているからです。また、おやつ断ちをしたり、ヘルシーなおやつで心が満足しないなら、私は質のよいチョコを少し食べるのもアリだと思います。

ずっと我慢したままだと、将来のドカ食いにつながります。本当に自分が食べたいものを少しだけ食べて、心も満足する。それがおやつタイムのコツです。ただし、ケーキ1個、菓子パン丸ごとはカロリーや栄養素の面からおすすめできませんので、カカオポリフェノールが含まれるチョコのようなものの方がよいかもしれません」

マジメな人ほど突き詰めて、食事が乱れてしまう?

「厳しい食事制限を2~3カ月続けても、習慣化しなければ意味がありませんし、一生続きません。また、マジメな人ほど食事のコントロールや運動を集中的にやってしまい、『こうしなければダメだ』と思い込んで、ストレスや人間関係のトラブル、生活リズムの乱れで、食事バランスが一気に崩れしまいがち。

するとイライラしてゆとりがなくなるものの、心が満足できる食事ができないため、ますますイライラすることに。食事は人の、人生の楽しみ。自分がきついと感じず、そして身体と心にいいリズムや方法を自分で見つけてほしいですね。そのために食事を3食や1週間でとらえる、分食をする、足りない栄養素をどこかで負担なく補う、ということを試してみてください。食が変われば、毎日が変わります。毎日が変われば、人生が変わりますよ」

Fitガールズにとっても密接な、食と栄養と身体の関係。日々を、自分を、そして未来を上向きのスパイラルにするためにも、食のTips、生かしてみて。

三城 円(さんじょう・まどか)さん

管理栄養士。一般社団法人日本パーソナル管理栄養士協会代表理事、食の相談窓口 San-CuBic代表、一般社団法人日本ジュニア・アスリートサポート協会顧問。自身のダイエット、摂食障害の経験から食に苦しむ人を救うべく、「パーソナル管理栄養士」として独立。ダイエット指導や摂食障害のケア、アスリートのパーソナル食事コンサルティングを行う。分かりやすく、腑に落ちる解説で女性誌やマスコミから注目を集める。www.san-cubic.jp

Photo:Getty Images