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30歳前後でも出産や運動不足、体重増加などでダメージを受けているという骨盤底筋。骨盤の下部にあり、見えない筋肉だからこそ、気づかないうちに衰えが進行してしまうのだとか。骨盤底筋にも詳しい、婦人科医でイーク表参道副院長の高尾美穂先生は、「自覚がある人はもちろん、自覚がない人も将来に備えて骨盤底筋のトレーニングは習慣化すべき」と指摘。誰でも簡単にできる骨盤底筋を鍛えるメソッドを、高尾先生がレクチャー!

筋肉を意識するのがなかなか難しい骨盤底筋

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「骨盤底筋を意識して」と言われても、正直どこの筋肉か分からないという人は少なくないはず。「骨盤の底辺にあって、尿道と腟と肛門に関わる筋肉」と言われても、どう動かしてよいのか悩んでしまうのでは。

「骨盤底筋を実感する簡単な方法は、尿を細かく切る感覚で力を入れることです。キュッと締めるあの感じです。それでも、上手にできない方もいます。単独で動かすのは非常に難しい部位なのです」と高尾先生。

ヨガの指導者としても活躍する高尾先生は、ヨガのメソッドを通して骨盤底筋にアプローチする方法をいろいろと提案している。

「骨盤底筋を単独で動かすのは難しいと思うので、骨盤底筋とつながっている筋肉を動かすことでアプローチするのもひとつの方法です。骨盤底筋は、体幹部のインナーユニットのひとつ。インナーマッスルを鍛えることで連動しますし、お尻の大臀筋(だいでんきん)、股関節外旋筋群(こかんせつがいせんきんぐん)、太ももの内側の内転筋群などにも連携しています。体感しにくい骨盤底筋はこれらの筋肉を使うことで、一緒に鍛えることが可能になります」

高尾先生から、今日からすぐにできるメソッドを2つ教えていただいた。

トイレを我慢する要領。骨盤底筋にも力を入れた「ヒップリフト」

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1 仰向けに寝て、膝を立てる。膝は閉じておく。
2 ゆっくりと床からヒップを持ち上げる。このとき、トイレを我慢する要領で、骨盤周りにキュッと力を入れながら行うのがポイント。
3 へそから膝まで一直線になる程度まで、お尻をアップして5秒間キープ。これを20回を目標に繰り返す。

仕事中でも実践! デスクでも内緒でできる「内転筋トレーニング」

1 いすに座り、背筋を伸ばす。深く座ると姿勢が丸くなるので、深く座りすぎないのがポイント。骨盤をしっかり立てて座る。
2 脚をそろえ、太ももの間にクッションや丸めたバスタオルなどを挟んでキープする。このときにおなかに力を入れ、トイレを我慢するようにキュッと骨盤底筋に力を入れる。難しい場合は、肛門を締めるようにしてもOK。長くキープできるようなら5分を目標に。5分間キープできない場合は、少しずつ時間を伸ばすことを目標に。

「どちらも無理なくできるメソッドです。一回だけではなく、毎日継続して続けることが大切です。無理なく習慣にしてほしいですね」と、高尾先生からのアドバイス

私たち女性の生涯に関係する、骨盤底筋。毎日少しのトレーニングで、生活や人生の質が変わるかもしれない。ぜひ、トライしてみて!



Photo: Getty Images Text: Manabi Ito Illustration: Kanao Eanami(asterisk-agency)

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高尾 美穂
産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター

女性のための統合ヘルスクリニック、イーク表参道副院長。文部科学省・国立スポーツ科学センターの女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバー。一般社団法人アスリートヨガ事務局理事、ドームのアドバイザーリードクターも務める。内科・婦人科・乳腺などを中心にクリニックでは診察を担当し、女性の健康をサポート。マターナル(周産期)ヨガを始め、ヨガセッションも積極的に行っている。また、プロアスリートのメディカル・メンタルサポート、女性アスリートに向けた、医学的知識の提供などにも積極的に参加。webサイト http://www.mihotakao.jp/ イーク表参道 http://www.ihc.or.jp/