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現在日本でも注目度が高まっている、「尻トレ」。そのブームの立役者とも言えるのが、トレーナーの岡部 友さん。スポーツを通じて社会に貢献する女性として、多くの読者から岡部さんを推薦する声が挙がった。岡部さんがトレーニングを通して、日本の女性たちに伝えたいこととは?

トレーナーになろうと思ったモチベーションは、「危機感」から

「私のモチベーションは、危機感です。アメリカの大学にアスリートのトレーナーになるための勉強をしに行き、一時日本に帰ってきたときに、日本女性の姿にショックを受けました。あまりにも運動が足りていないし、みんな自信がなさそうに同じような服装をしている気がして」

岡部さんは、日本女性の持つ優しさが、黙っていることで優しいと勘違いされているように見えるそう。トレーニングを通じて自信をつけ、自分の意見を言って、それを貫ける女性が増やし、世界に出ていける人を増やすことが、彼女がトレーナーとして取り組もうとしていることでもある。

「みんながトレーニングジムに通って運動するのが当たり前になってほしいのですが、まずはジムに通う自信がない人が多い。そこに対してのアプローチも必要だと思っています」

目指すのは、「自分基準」での体づくり

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岡部さんがパーソナルトレーナーとしてスタジオを始めたのは、今から10年前。

「トレーニングや体づくりを通じて自信をつけてほしい」という思いで、マンションの1室からスタートした。

「当初はダイエットや減量を目的とし、体重を落としつつ筋肉を落とさないプログラムを作っていたのですが、痩せることでは解決しない体のラインの問題が見えてきました。日本の女性は細いので、グラマラスになるには痩せるだけではダメなんですね、特に筋肉をつけるべきところは強く使える筋肉にし、筋肉を肥大させたくない部分はトレーニングの方法でコントロールします。ウエストや胸のラインをきれいにすることで、女性らしい体つきになるんです」

現在のようにトレーニングする女性が増えてきたことで、痩せればいいという女性は減り、体重を減らせばいいという考え方も変わってきたものの、まだまだ、誤った健康知識に振り回されている人が多いという。

「正しい知識をつけて、自分で考える力をつけてほしい。トレーニングなどもそれが自分に必要かどうかを判断して、自分基準で体づくりをできるようになってほしいと思います」

1聞いて10を分かる人になりたい!

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岡部さんのトレーニングのユニークなところは、体づくりだけでなく、その人が抱える根本的な問題に向き合い、解決する手助けをする点。

「お客様の中には、幼少期の出来事、旦那様やお姑さんとの問題など、向き合わなければいけない問題を抱えているケースがあります。体が変わっても、それらの問題を解決しないと、結局ストレスでリバウンドしてしまう、ということもありました。でも、トレーニングのように継続しないと結果が出ないものに向き合うことで、他のことにも向き合えるかもしれないという自信が生まれ、実際に解決すべき問題に向き合うことができたというお客様が多いですね。そのような問題は、ご自分でも気付いていない場合も多いのですが、トレーニングしていると見えてきます」

岡部さんはクライアントが抱える問題が見えてきたとき、「本当の問題はここじゃないの?」と、ズバッと言ってしまうこともある。それは、自分のために生きてほしいという想いから。年齢も関係なく、多くの女性が岡部さんに話を聞いてもらうためにスタジオを訪れてきた。

「ご本人にとっても難しい問題を話してもらえるくらい深い仲になれ、信頼していただけることがうれしいですね」

「私は人が好きなのかな。相手の言葉の裏側を読むというのは、コミュニケーションでも大切だと思うんです。1聞いて10を分かる人になりたくて。信頼関係が生まれるのもそういうことからだと思います」

「私のメソッドは、まず自分を認めるところから始めます。他人のようになりたい、じゃなくて、今の自分よりよくなることを目標にする。自分のビフォーより良くなる。それで生まれた自信を他のことに使おうという指導をしています。ですから、そのきっかけを作る可能性があるトレーニングは重要ですし、絶対に結果を出そうと思っています。何かのために努力して、変えようと思っているなんて、そのこと自体がすごいことですよね。そこに関わることは責任重大だと思って仕事しています」

トレーニングをブームで終わらせないために

10年前から日本女性にもっと運動を習慣化してもらい、自信を持ってほしいと指導を続けてきた岡部さんだが、現在のトレーニングブームには少し不安も感じているそう。

「おしゃれなイメージだからトレーニングするとか、褒められたいという承認欲求で行うトレーニング、インスタのネタのためのトレーニングにならないように、自分と向き合うトレーニングの方が楽しいし、ずっと続くと思うんです」

2020年の東京オリンピック・パラリンピックと共にこのブームが去ってしまってはいけない! と、女性たちに正しい知識を直接伝える機会を多くつくろうとしている。

「月に250本のレッスンを続けていても、日本の女性全員に会うことができないと気づいたんです。だから仲間を作って、同じメソッッドを伝えてくれる人を増やしました。仲間が頑張ってくれている時間に、私は全国を回ってセミナーを開催するなど、より多くの方に正しい知識を伝える活動をしています」

岡部さんの導きによって、体が変わり、心が変わり、自信に溢れた日本女性が今日も日本中で増えている。



Photo : Kento MoriHair& Make-up : Yuki Ishizawa

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Kiriko Kageyama
エル・グルメ編集長/ウイメンズヘルス編集長

『エル・オンライン(現エル・デジタル)』のファッションエディターを経て、フリーランスに。女性ランナーによる企画集団「ランガール」を設立。その後女性誌立ち上げやWebメディアの立ち上げを経て2017年にウィメンズヘルス』日本版ローンチ時から編集長に。2023年夏よりエル・グルメ編集長も兼務。趣味は料理を作って友人たちに振る舞うこと。