思わぬ体の変化も? 添加糖分を1ヶ月摂らなかった私に起きたこと
フルーツはデザートと考えるべきでしょ、なんて真剣な面持ちで言う人たちを私はずっと笑いものにしてきた。チョコレート....
フルーツはデザートと考えるべきでしょ、なんて真剣な面持ちで言う人たちを私はずっと笑いものにしてきた。チョコレートケーキはデザートだし、バナナチョコアイスもデザート。でも、ピーナッツバターを塗ったリンゴやフローズングレープまでデザートだなんて、思ったこともない。
そんなライターのロビンが、ブルーベリーを乗せたプレーン味のギリシャヨーグルトとシナモンを寝る前のスナックにして、31日間も添加糖分 (人工甘味料を含む) なしの生活を送った。その結果をご紹介。
少し話を戻そう。ディナーの後に必ずと言っていいほどアイスクリームが欲しくなる私は、昨年末までに認めがたいほど何度もその欲に屈してしまった。
そこで、 “アルコールフリーの1月” (毎年1月は健康のために禁酒しようという欧米諸国中心の社会運動) ならぬ “添加糖分フリーの1月” に挑戦して、その状況を何とかしようと考えた。
ポイントは、“添加” 糖分だけを除き、フルーツや他の食材に含まれる天然糖分はOKにしたこと。米国農務省は、添加糖分からのカロリー量は全体の10パーセント以下に抑えるよう勧めている。つまり、1日1,600キロカロリーの食生活で摂取できる添加糖分は最大40グラム (直近のデータによれば、平均的な成人はこの上限を約30パーセント上回っている)。
バナナの糖分にはカリウムや食物繊維が含まれているのに対し、炭酸飲料などに含まれる果糖 (フルクトース) たっぷりのシロップには栄養価がまったくない。米国栄養アカデミーの広報で公認管理栄養士のアンジェラ・レモンドも 「果糖には体のためになるものが何も入っていない」 と言う。しかも、糖尿病、自己免疫疾患、がんといった恐ろしい病のリスクが高くなるというから警戒が必要。
だからといって、人工甘味料 (アスパルテームやステビア) やアルコールに含まれる糖分 (エリトリトールなど) の方がいいとは必ずしも言えない。米国食品医薬品局に承認されたものは基本的に安全とはいえ、これらの代替糖はガスを発生させ、お腹の張りや下痢の原因となるとレモンドは注意を促す。人工甘味料によって、ますます甘い物が食べたくなることを示す研究結果もあるという (私が大人になってから甘党になったのも、炭酸飲料を飲む習慣があったから?)
このチャレンジの目的は、欲望の奴隷とならないように味覚を “リセット” することにあった。レモンドによると、私はいいところを突いていたらしい。「人間は日頃から食べているものを欲しいと思うものだから、食べる物の種類を少しずつ変えていけば味覚も変わる」
その過程で他にもいい変化が見られれば、それに越したことはない。
そう思いながら、大晦日の夜に最後のクッキーを食べた。果たして、添加糖分を1ヶ月摂らなかった私に起きたこととは?
Text: Robin Hilmantel Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images
原材料リストを熟知するのに多大な時間を費やした
健康・栄養の分野を何年も担当してきたので、キャンディーやクッキーだけ避けていれば済む話じゃないのは分かっていた。甘くないのに実は糖分たっぷりの食品はたくさんある。それでも添加糖分の名前(50以上!) を学び直す必要があったし、知らない名前をグーグルで調べるのにも膨大な時間を費やすことに。
レストランでは各メニューの原材料リストを求めるうざい客と化したけど、そのどれもが絶対なくてはならないステップだった。
56種類の添加糖分
アガベネクター
廃糖蜜
甘蔗糖
粉砂糖
デーツシュガー
糖化モルト (麦芽)
フロリダクリスタル
ガラクトース
ゴールデンシロップ
粉砂糖
マルトデキストリン
マスコバド
精製シロップ
砂糖
バルバドスシュガー
ブラウンシュガー
キャラメル
コーンシロップ
デメララシュガー
ジアスターゼ
フルクトース (果糖)
グルコース
ブドウ糖
転化糖
マルトース (麦芽糖)
オーガニック粗糖
ライスシロップ
トリークル
大麦モルト
バターシロップ
キャロブシロップ
固形コーンシロップ
デキストラン
エチルマルトール
フルーツジュース
固形グルコース
高果糖コーンシロップ
ラクトース (乳糖)
メープルシロップ
パノーチャ
ソルガムシロップ
中白糖
テンサイ糖
サトウキビ糖クリスタル
カスターシュガー
結晶果糖
D型グルコース
濃縮サトウキビジュース
濃縮フルーツジュース
ゴールデンシュガー
ハチミツ
麦芽シロップ
モラス (糖蜜)
粗糖
スクロース
イエローシュガー
作り置きマスターになった
料理は好きだけど、言い訳を見つけては宅配ディナーを頼んでいた私 (犬の散歩があるから、エクササイズの日だから、仕事で疲れすぎちゃって etc)
でも、ほとんどのレストランがそれこそ常に添加糖分を使うことを知った以上、テイクアウトも諦めなければ。ということで、生まれて初めて自炊を始めることに。
料理するのが嫌いなら、添加糖分フリーチャレンジはたぶんあなたに向いていない。でも私はいつの間にか、インスタントポット (全自動の圧力調理器) やスタンドミキサーを使って作り置きに励む日曜日を心待ちにするようになった (料理を面倒くさがる人に言われても、説得力がないのは分かっています)
牛肉と大麦のスープ、ココナッツカレーチキン、ケールソースパスタといった、本当に美味しい料理を食べに帰宅するのは最高だった。準備は日曜日に済んでいるので、今夜は何にしようと頭を悩ませてメンタルパワーを無駄にする必要が突然なくなった上に、平日のディナーを夫と私の2人分用意するには予め何品作っておけばいいのかも、計画的な食事に必要な物資調達の詳細も、全部あっという間に分かるようになった (2人いれば食の好みは違うけど、自分で作った物なら何だって食べられた)
週末は外食が定番の夫婦だったけど、それができなくなったので、手作りのピザなどでスペシャルディナーを楽しみ、時々友達をご招待した (この1ヶ月で交流関係に若干の打撃があったのは否めない)
作り置きは間違いなく続けるけど、これからは糖分の少ない料理もレパートリーに加えられそう。
添加糖分フリーのスナックを買い置きして命拾い
……なんてちょっと大げさかもしれないけれど、実は会社に持って行くべき添加糖分フリー食品の量を大幅に少なく見積もり、強烈にお腹が空いてしまうという前途多難なスタートを切っていたのだ。
それ以降、定番のスナックをまとめ買いして、いつでも取り出せるようにデスクに隠しておくようになった。
原材料名を明かしてくれるレストランを数件見つけたのも重要なポイント。お弁当が作れなかった日に何を食べればいいか決めることができたから。
いざとなれば、コンビニでバナナとプレーン味のギリシャヨーグルトが買えることも分かっていたけど。
活力レベルに大きな変化は見られなかった
添加糖分フリーの生活で調子が良くなったかどうか、周囲の人に何度も聞かれた。1~2週間は風邪を引いていたので、実際は……あんまり。肌にもこれといって良い変化は現れなかった (このチャレンジで肌ツヤが良くなることをすごく期待していたのに)
とはいえ、糖分を加えていない手作りディナーの方が、以前のテイクアウトより食後の満足感が大きくて、寝る前に甘い物が欲しくなり、食品棚や冷凍庫を漁ることがなくなったのは事実。
以前の食生活に戻って好きな物を好きなだけ食べた後には、軽い二日酔いみたいな不快感が何日も続いた。
私は感じなかったけど、レモンドによれば、数あるメリットの中でも特に活力レベルや血糖値が安定したと感じる人もいるんだそう。ただ、これには個人差があり、以前の食生活の内容も影響する。
それでも3キロ減った
ハッキリ言って体重を減らすつもりはなかったので、お腹が空けば食べていた。前述のピザだって3回作った (そのうちの1回はピザ耳に具材も詰めた!)。ランチとディナーにはほぼ毎日自家製のパンを1切れ (砂糖と一緒に炭水化物までやめるのは不可能。私はロボットじゃないし)。甘い物が食べたければ “デザート” まで食べていた (前述のブルーベリーとヨーグルト)
それなのに、チャンレジ開始から2週間で2.5キロ減り、最後の2週間でもう1キロ減った。1月が終わる頃には、ヨガの先生にスリムになったと言われるまでに。レモンドいわく、添加糖分をやめると体重が減ることはよくあるけど、絶対ではないらしい (それまでにどれだけ添加糖分を摂取していたかにもよる。私の場合は大量だったってことね!)。実際に体重が減った場合は、お腹周りに変化が出やすいんだとか。
甘党はどうなった?
1月も終わりに差し掛かると、ココナツバーみたいなスナックが以前よりも超甘く感じられるようになり、シュガーフリーのナチュラルピーナッツバターでさえご馳走に思えてきた。
嬉しいことに、チャレンジを終えた今でも、昔みたいに毎晩必ず甘い物が猛烈に食べたくなることはない。いざとなったらフルーツで満足している自分がいる (これ本当に私?)。さらにパンやスープのように香り高いものを食べると、一瞬で添加糖分の有無が感じ取れるようになった。
これほど久しぶりなら、アイスクリームも耐えられないほど甘ったるく感じるのではと興味が湧くのは当たり前。でも、いざチョコチップクッキーアイスを食べてみると……本当に美味しかった。まあ何というか……女の子からアイスクリームを取り上げたところでねぇ……。
※この記事は当初、アメリカ版ウィメンズヘルスに掲載されました。