【山の日特集】ドクターに聞く、「人生初登山」は どんな山に登ればいい?

11 August 2018

【山の日特集】ドクターに聞く、「人生初登山」は どんな山に登ればいい?

今年の8月11日は「山の日」。興味はあっても、初めてだとどんな山に登ればいいか分からないという人も多いはず。やっぱり初めてでも富士登山? それとも? ビギナーの最初の第一歩について、日本登山医学会認定国内山岳医の資格も持つ東京女子医科大学本院 総合診療科・女性科(女性内科) 准教授の片井みゆき先生にインタビュー。


最初の山は、「ポピュラーな低山がおすすめ」です

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山ガールブームは少し落ち着いたものの、登山にハマっている女性はまだまだたくさん。

「私も山にチャレンジしてみたい」と思っている人も少なくない模様。そんな山ビギナーの人たちに「どんな山に登ってみたいか」話を聞いてみると、ダントツで多いのが富士山。また、「登ってみたいけれど、どこがいいかよくわからない」という声もよく耳にする。

「登山が初めてという方は、山道を歩くことも初めてなので、まずは1,000m前後の低山クラスからスタートするのがベストでしょう。低山であれば、高山病などのリスクは低くなります」と、片井先生。

「富士山は3,000m以上なので高山病などのリスクもあり、本来は初めての登山には向かない山です。ですが、ビギナーの方でもトライできるのは、途中に山小屋がたくさんあること。また登山者も多く、何か問題が起きたときにも救助などの対応がしっかりしているという点では、安心な部分はあります。

でも初めて登山靴を履き、重たいリュックを背負って長時間登山すると予想しない事態も起こります。靴擦れや肩や脇がリュックで擦れることもあります。体調や体力、体質などによっては、2,000mを超えると高山病にかかる人もいます。

そう考えると最初の一歩はできれば富士山ではなく、もう少し身近な低山からデビューしてステップアップする方が山をより楽しめるのではないかと思っています」


最初に登る低山でおすすめなのは、高尾山のような山

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低山といっても山国の日本には、該当する山がたくさん。どういう視点で選べばいいもの? 静かで自然が美しい、人があまり居ない穴場な山を……と、思いがちだけど、初心者はある程度人気が多くて休憩所にお店や山小屋などがある山を選んだ方が、いざ困ったときに良いと片井先生は言う。

「低山=低いからどこでも安全と思いがちですが、そうとは言い切れません。逆に、あまり人が立ち入らない山も多く、行ってみたら標識も曖昧。岩場にあるのは細いロープだけで、安全路が確保されていない山もあります。

低山で道に迷い、遭難してしまうケースは少なくありません。逆に標高が高くて道は険しいのですが、北アルプスや南アルプスの方が標識などの設備は整っているなどのケースもあります。ですから、低山ならどこでもいいという訳ではありません。登山デビューとして選ぶなら、都内であれば高尾山などがおすすめです。

でも、高尾山は混んでいるのでは……と思う人もいるかもしれませんが、実は高尾山の登山コースは7つあります。びわ滝という水場を通る「6号路コースは」、ちょっとした沢登り感覚も味わえて山らしい風景を満喫することができます。全長3.3㎞、約1.5~2時間弱のコースです。稲荷山コースも登山道に慣れるための良い練習になります。

例えば関東エリアであれば他に、茨城・筑波山、神奈川県・丹沢の大山、箱根の金時山。関西エリアであれば、兵庫・六甲山、京都・鞍馬山あたりもおすすめです」


最初は「単独行よりも、山の経験者と一緒に」!

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高尾山は登山道の整備をされた、比較的安全な山。だけど、登山デビューのときは山の経験者と一緒に登るのがおすすめと片井先生は言う。

「初心者だと歩くスピードがハイペースになったり、逆に休憩は座り込んで長くなりがちです。登山は、特に飛ばしがちな出だしはスピードを抑えめに、歩き方は歩幅を小さめになど、普通に歩く場合と少し異なります。

例えば、山で人にすれ違うときの立ち位置や優先順位、装備、ゴミは持ち帰るなど、“山の常識やマナー”があります。経験者と一緒に、そうした登山のポイントを体感しながら歩くといいでしょう。

また、靴を買うときは必ず登山用の厚手靴下を履いてサイズを合わせたり、腰が痛くならないリュックの背負い方や、ベルトやアジャスターの合わせ方などのアドバイスなどをもらうのもよいですね。

低山であっても、事故や遭難の危険性はあるので、山へ行くときには必ず『登山計画書』(*)を提出する習慣をつけましょう。登山をするときには家族や友人や職場の人など、万が一戻って来なかった場合の異常に気づいてくれる人に『どの山に何時に登って、何時に下りてくる』などの情報を伝えておくことも必要です。登山計画書のコピーを渡しておくのがベストですね」

*公益社団法人日本登山・スポーツクライミング協会による「登山計画書」の様式例
https://www.jma-sangaku.or.jp/sangaku/?ca=4

 

■お話を伺ったのは……
片井みゆき(かたい・ゆみき)先生
東京女子医科大学本院 総合診療科・女性科(女性内科) 准教授。信州大学医学部、同大学院医学博士課程修了後、同大医学部附属病院内分泌科へ。その後、ハーバード大学医学部フェローなどを経て、東京女子医科大学にて性差医療の現場で治診療を行う。内分泌代謝専門医、甲状腺専門医、女性ヘルスケア専門医として女性特有の疾患などに詳しい。また、北アルプスが近くにあった大学時代から登山を始め、山岳診療や救助に携わる山岳医の資格も持っている。

Photo:Getty Images Text:Manabi Ito

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