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ゴールデンウィークの旅行を前に、ドライブやバスツアー、クルージングでの乗り物酔いを心配する人もいるのでは?
今回は、アメリカ版ウィメンズヘルスから乗り物酔いする理由と対策をご紹介。

車や船、飛行機に乗ると、警報が鳴っていなくても、あなたの耳は緊急非常態勢に入る。それぞれの耳の奥深くでは、液体の詰まった小さな規管が連なっている(三半規管)。頭が動くと、それに釣られて三半規管内の液体も動き、脳に「体が動いていますよ」という神経シグナルを送る微細な毛をスーッとなでる。

ランニングやウォーキングでは、この「体が動いている」というメッセージが、目で捉える情報と一致する。ところが乗り物に乗ると、耳は「体が動いている!」と言う一方で、目は「体が止まっている!」と言う。これは、身の回りの物体(飛行機の客室、車の後部座席で読んでいる本など)が、実際ほとんど動いていないから。

そのため、脳には相反する感覚シグナル(動いている、動いていない)が相次いで送られる。これで最も混乱するのは、前庭神経核と呼ばれる脳幹の一部。この前庭神経核が、嘔吐(おうと)中枢という神経細胞のかたまりを活発にする。

ご想像のとおり、嘔吐(おうと)中枢は消化管と直接つながっているため、この段階で吐き気がしたり、胃がムカムカしたりする。血の気が引いて、冷や汗もかいていることだろう。

一度もよおした吐き気は、簡単には消えてくれない。乗り物の種類にかかわらず、とにかく水平線を見つめること。これで運動センサー(耳と目)が、少しは同期するかもしれない。水平線が見えない場合は、椅子を後ろに倒し、目を閉じて、眠れることを願うのみ。(船上ではデッキの下に行かないで。頭が大きく揺れるため耳が動きを感じやすいのに、目に入るのは固定された壁だけ)

この三半規管理論に異議を唱え、乗り物酔いは、自分のコントロールが効かない動き(=自分の足を使わずに前進していること)に対する人体の自己防衛機能だと主張する専門家もいる。いずれにせよ、女性は男性よりも乗り物に酔いやすいので、入念な下準備を。

車で移動するときは、運転手に立候補しよう。運転すれば、自分の動きがコントロールしやすいし、「自分が動いている」ことを示す手掛かりも目に多く送られる。また、窓を開け、新鮮な空気を吸うと、吐き気が和らぐかもしれない。

処方薬でも市販薬でも、酔い止めを事前に飲んでおけば、いい加減な神経シグナルを止めることができるので、酔いにくくなるかもしれない。手首のツボを押す酔い止め用リストバンドを勧める人もいるけれど、科学的に効果が実証されたものではない。また、専門家にも理由は分かっていないけれど、固形のしょうが(例:ジンジャーエールではなくしょうがキャンディー)を摂取すると、胃が落ち着くこともあるみたい。
 

情報提供:
トーマス・A・ストフレゲン博士/米ミネソタ大学
ジェイムズ・ロック博士/ジョンソン宇宙センター
ピーター・ロナルド医学博士/米テキサス大学サウスウェスタン医療センター

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Laura Beil Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。