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世の中は空前の“もち麦”ブーム。コンビニのお弁当コーナーを見ても、「もち麦入り」という文字は増える一方。「白米のみのおにぎりより、もち麦入りのおにぎりのほうが健康によさそう」となんとなく手を伸ばしている人も多いのでは? でも、もち麦がなぜヘルシー食材なのか、知らない人も多いはず。今回は、新たなスター食材“もち麦”の正体や栄養的なメリット、ダイエット効果など、気になる疑問について管理栄養士の浅野まみこさんにお話を伺った。

自宅でご飯を炊くとき、白米だけで炊いている? もしダイエットをしていたり、便秘に悩んでいたりするなら、いつもの白米にもち麦を加えてみて。実はもち麦は、玄米や押し麦よりも“ある栄養素”が豊富。そんな、もち麦に含まれている栄養素の正体とは……?

“もち麦”と“押し麦”。どっちも麦なのに、なにが違うの?

よく耳にする“もち麦”や“押し麦”というワード。でも、「もち麦と押し麦の違いは何?」と聞かれたら、正確に答えられるだろうか。そんな身近な2つの麦の違いとは?

「麦には“うるち性”と“もち性”の2種類が存在します。押し麦(大麦)はうるち性、もち麦はもち性です。この2つの麦の大きく違う点は、押し麦に含まれている食物繊維は主に不溶性なのに対し、もち麦に含まれている食物繊維は水溶性が多いということです」

麦は麦でも、含まれている食物繊維の種類が違う、と浅野さん。それでは不溶性と水溶性とでは、どのように働きが違うのだろうか。

「そもそも食物繊維とは、消化されずに体外に排出されるもの。なかでも不溶性食物繊維は文字通り水に溶けず、腸管を刺激し腸の動きを促しながら、体外に排出されます。いっぽう、水溶性食物繊維は、水分を含み胃腸でジェル状になります。後から胃に入ってきた糖や油の吸収を抑える働きをします。水溶性食物繊維を意識的に摂取することで、糖の吸収を緩やかにし、余分な油脂を排泄させ、食べても太りにくくする効果が期待できますね」

食物繊維は便秘の症状を悪化させる可能性がある

一般的に、「食物繊維を摂れば、便秘が改善される」と考えている人が多い。しかし、食物繊維をたくさん摂取しても、便秘が改善されない可能性も高いと浅野さんは言う。

「便が大腸にとどまっている状態を便秘と呼びます。大腸は消化器官であり、吸収する臓器なので、大腸に便がずっととどまっていると、便の水分がも吸収されていき、便がどんどん硬くなってしまう。その状態で大量の食物繊維を摂ると、腸管刺激動にはなったとしても、便がさらに固くしてしまう可能性が高く、便秘は解消しずらいことがあります。

いっぽう、水溶性の食物繊維は水分を含みゼリー状になるので、固まっている便に水分を与えて、柔らかくしてくれるんです。よって、便が出しやすくなり、便秘の改善につながるんです。便秘が気になっている人は、食物繊維の摂取と合わせて、水分を摂ることを意識してみましょう。また、食物繊維の中でも、水溶性食物繊維を積極的に摂取してみてください」

ほとんどの野菜に含まれている食物繊維は不溶性!

食物繊維のなかでも、浅野さんが意識的に摂取したいという水溶性食物繊維。食物繊維といえば野菜に多く含まれているけれど、野菜からの摂取は可能なの?

「野菜は、水溶性食物繊維よりも、不溶性食物繊維を含む野菜のほうが多いので、水溶性食物繊維を意識するには、コツが必要です。多く含まれるのは、モロヘイヤやオクラなどぬるぬるした野菜、ごぼうやサツマイモ、海藻類、そして、大麦です。大麦の中でもち麦はさらに食物繊維量が豊富で、精白米の約25倍、玄米の約4倍の食物繊維が含まれています。また、もちもち、プチプチした食感のもち麦は、押し麦に比べて、水溶性の食物繊維βグルカンを含んでいることがわかっています。もち麦が注目されている理由はここにあると思います。さらに、もち麦に含まれている水溶性食物繊維は、β-グルカンという種類が中心。β-グルカンは、食後の血糖値上昇を抑える働きや、糖を絡めて体外に排出し、コレステロールを低下させる働き、排便促進効果などもわかってきています。 もち麦はご飯に混ぜて食べることはもちろん、サラダやスープに入れて食べることもできます。お米と違って調理方法がたくさんあるのも、もち麦の魅力。さらにもち麦は、満腹感を得やすいので、ダイエットしている人にはぴったりな食材です」

聞けば聞くほど魅力的なもち麦。次回はそんなもち麦のアレンジレシピをご紹介!



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Photo: Getty Images

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浅野まみこさん
管理栄養士

総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにおいて糖尿病の行動変容理論をベースに栄養相談を行う。現在は食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングをはじめ講演、イベントなど多方面で活躍中。銀座の飲食店のヘルシーメニューの考案やNHK「おはよう日本」、TBS名医のTHE太鼓判など、メディアや雑誌に多数出演。「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動をしている。『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)。『血糖値は食べて下げる寝て下げる』(共著、アスコム)など著書多数。 http://e-vita.jp/ ■Instagram @asanogohans  ■Twitter https://twitter.com/eiyoushi_mami ■Blog https://ameblo.jp/evita/