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心と体のヘルシーと幸福を真剣に見つめ、プロにアドバイスを伺う連載。今回は、まさに現代人の問題ともいえる、デジタルライフ疲労についてのお悩みにフィーチャー。IT技術の進化とともにメールやアプリなどを通じてコミュニケーションの速度は上がる一方。さらにはSNS上の人間関係も悩みの種、と語る人も。お付き合いといいながら、本当はそうは思ってなくても「いいね!」をしたり、コメントをしたり。次第にSNSの人間関係が苦痛になってしまうことも……。これらの“現代的な悩み”に対して、専門家がアドバイスしたのは「3つのR」。果たして、そのRとは?

【今回のお悩み】
友達は多いのですが、いつもSNSでつながっていて
気を使うことも多く、正直、疲れを感じています。

【ANSWER】
「デジタルライフ疲労」を感じている人は多いんです。
“デジタル以外のコミュニティーづくり”が大事

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携帯電話やパソコンといったデジタルライフは私たち欠かせないものです。最近気になるのが、その人自身よりもデジタルが主体になっていることです。

食事をするときには画像を撮ってアップ。素敵なものを見つけたら、コメントをアップ。みんな記録すること、配信することに熱心になりすぎていて、“今の感情”がおざなりになりがちです。

例えば、素敵な画像をアップしたものの、どんな味だったのか具体的には思い出せないということはありませんか。実際に食べているのに、記録はデジタルメディアの中にだけ残っていて自分の中には残っていない、そんな状態になっているのです。

「常に対応しなくては!」の気持ちが、疲れさせてしまう

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昨年、夏にアスタリール株式会社と協力してでデジタルライフ疲労についての実態調査(20~50代の男女約2万人対象)を行いました。デジタルライフによって、みなさんの体調にどんな変化が起きているかを調査したものです。

その結果、慢性的な疲労感や肩凝りや腰痛、眼精疲労、睡眠障害といった悩みを持っている人も見受けられました。そればかりか、イライラしたり、やる気が出ない、うつっぽいといった気持ちの問題を挙げる人も少なくありませんでした。

最近の風潮として、何か不調があるとすべてデジタルのせいにする、と指摘する人がいます。でも、ここまで急速に普及し、生活を大きく変えたツールは過去にはありませんでした。

とりわけ、人と人との結びつきを大きく変えたことは事実です。さらに、娯楽だけではなくビジネスにも密着したツールが故に、私たちの生活に深く浸透しました。その結果、体だけではなく、心にもさまざまな影響を及ぼすことになったのです。

携帯電話やパソコンは、ラジオやテレビのようにつけっぱなしで放置することはできません。メッセージが着信すればそれに対応。コミュニケーションツールでもあるので、相手の反応も気になってしまう。常に注目して対応するため、目や気持ちが疲労してしまうわけです。

調査では、6人に1人が8時間以上デジタルツールを使っていて、使う時間が長い人ほど、疲労感が大きいことが分かりました。

デジタル疲労をケアにも。「3つのR」が活躍する!

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ちょっとデジタルライフに関する説明が長くなりましたが、SNS疲れを感じている人も少なくありません。「既読」で返されたリプライを気にしたり、アップする情報のセンスを気にしたり……常に人の評価にさらされている状態です。

そんな状況の中にいると、デジタルライフだけが自分の世界、大事なツールと思ってしまうかもしれません。ですが、本当にそうでしょうか? デジタルライフがつらいと感じているなら、他のコミュニティーも持ってみることが大事です。

前にもお話した「3つのR」は、このデジタル疲労でも活躍します。

>>3つのRについては、こちらから!

単に休むのではなく、デジタルとは別の世界で新しい楽しみを持つことです。ヨガでもスポーツジムでも、料理教室でも、資格を取る学校でもいいでしょう。身体を動かしたり、体で感じることで、疲れがリセットできます。

そのままSNSを継続しても“それだけの生活”ではなくなるので、前のようなストレスは感じなくなるはずです。



Photo:Getty Images Text:Manabi Ito

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古賀良彦先生
精神科医

杏林大学名誉教授。日本精神神経学会認定専門医、日本臨床神経生理学会認定医・名誉会員、日本催眠学会名誉理事長、日本ブレインヘルス協会理事長。脳機能画像によるうつ病や統合失調症など精神障害に関する精神生理学的研究のパイオニア。うつ病や不眠の臨床研究などをはじめ、香りと脳の働き、塗り絵の脳への効果なども研究されている。『睡眠と脳の科学』(祥伝社新書)、『熟睡する技術』(メディアファクトリー)、『週末うつ』(青春出版社)など著書も多数。