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心と身体のヘルシーと幸福を真剣に見つめ、プロにアドバイスを伺う新連載。就職して2~3年、仕事において特に大きな不満はないものの「自分らしさ」が発揮できてなかったり、「やりがい」に悩んでいたり。もっと生き生きと仕事したいという悩みに対する、メンタルケアのプロの答えは……?

【今回のお悩み】

今の仕事では、自分らしさが発揮でないような気がしてやる気が出ません。

どうしたら、自分に合う仕事を見つけられますか?(25歳 会社員)

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【ANSWER】

仕事を始めて2~3年で考える「自分らしさ」は虚像。

自力で生活できる基盤ができれば、自然と見えてきます

「今の仕事は私のやりたいことが生かせない」「もっと生き生きと私らしさを生かせる仕事につきたい」

こう話す20~30代の女性は少なくありません。あえて、ちょっと厳しいことを言います。20~30代で、“自分らしさ”なんて考える必要はありません。

というより、考えている場合ではありません。「自分らしさって何だろう」と考えているうちは、その答えが見出せていないということです。見出せてないのに、考えても答えは出ません。

それよりも目の前にある仕事をきちんとこなし、家賃をきちんと払って、自分が稼いだお金で食べて生きていく、ということに力を注ぐべき。

仕事をし、自力で生きていくというのは、実はとても大変なこと。1年2年でどうかになるものではなく、能力がある人でも時間がかかるものです。ある程度仕事をこなせるようになり、その仕事で食べていけるようになって、やっと「もう少し自分の能力を生かせる仕事をしたい」という展開であれば分かります。

自分らしい能力を生かすという発想は、時間をかけてコツコツと基礎を積み重ねた人だけが到達できる世界なのです。

まずは仕事と生活を整える。「自分らしさ」はその先に

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私自身も医大を卒業して大学病院の勤務医になり、その後に自分のクリニックを持ちましたが、どんな仕事も懸命に、置いていかれないようにがむしゃらに進んできました。

「自分らしさ」を見直す時間など、当初はありませんでした。今、医師になって約30年経ち、やっと自分が目指した世界が見えてきたのです。仕事とはそういうものです。

野心を持ってはいけないとか、転職を考えてはいけないというわけではありません。ただ、安易に「自分らしさ」ばかり求めてしまうと、結局は何も手に入れられない人生になってしまいがちです。 

世の中には、浅田真央さんや宇多田ヒカルさんのように若くして才能を開花する人もいますが、それは特別な人です。多くの人は、地道に生きてきた先に「私の生きがいはこれだな」というふうに整理できてくるのです。

まずは20代であるなら、目の前にある仕事や生活をきちんと整えることです。仕事を持ちながらも親のスネをかじり、働いたお金はすべて洋服代にというような生活ではなく、自分の力で生きることを考えてみる。

ちょっと辛口ですが、自分らしさを考えるのはその先。今をきちんと生きれば、必ず先に見えてくるはずですよ。

Photo:Getty ImagesText:Manabi Ito

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海原純子先生
医学博士・心療内科医・産業医

昭和女子大学国際学部客員教授、日本生活習慣病予防協会理事(2017年~)、ハーバード大学客員研究員(2008~2010年)。毎日新聞日曜版『心のサプリ』連載執筆中。『今日一日がちいさな一生』(あさ出版)、 『幸福力 幸せを生み出す方法』(潮出版社)、『困難な時代の心のサプリ』(毎日新聞社)、『ツイッター幸福論』(角川書店)など著書も多数。時事通信社の時事メディカルにて「Dr.Junkoのメディカルサロン」主宰。https://medical.jiji.com/salon/