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心と体のヘルシーと幸福を真剣に見つめ、プロにアドバイスを伺う連載。人間関係や仕事のストレス、プライベートやさまざまなアクシデントで訪れる、気持ちの落ち込みは誰にでもあること。でも、なかなか沈んだ気持から復活できなかったり、凹んで自分を責めてしまったり……というのが、今回のお悩み。そんなときこそ、しなやかに復活できる術を学び、実践するのがオススメと識者は言う。そのヒントとなるのが「3つのR」。気持と日々の暮らしにメリハリがつき、心の夜明けを迎えるためのレッスン、スタート!

【今回のお悩み】

ストレスを感じたときや落ち込んだとき、気持ちが凹んだとき、

なかなか回復できません。どうすればいいのでしょうか?

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【ANSWER】

落ち込むのは誰でもあること。当たり前のこと。

そこから、しなやかに復活する技を身に着けよう!

皆さん「ストレスがない生活を!」と考えますが、生きていけば必ずストレスはあります。

例えば朝メイクが決まらない、湿度も高くて満員電車が気持ち悪い、上司の機嫌が良くない、プレゼンが上手にできなかった、会社後の彼とのデートが急にキャンセルになった、衝動買いして後悔してしまった……と、1日を簡単に振り返っても、ストレスや落ち込みを感じることは山のようにあります。

ですから、ストレスをなくす、落ち込まないように過ごすということは、不可能に近いわけです。

最近では、ストレスがない生活を目指すのではなく、ストレスをいかに回避するか、ストレスや落ち込みでいったん下がった心をしなやかに戻す力=レジリエンス(resilience)が大事と言われているのです。

誰でも嫌なことや不快なことがあれば落ち込んだり、凹んだりします。でも、それをいつまでも引きずらず、しなやかに元の気持ちに戻すことが心理学はもちろん、ビジネススキルなどでも注目されているのです。

大事なのは、心と体のバランス。“3つのR”があなたを元気にします!

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ストレスに対してしなやかに対応できる力を持つには、ストレスを必要以上に蓄積させないことが重要です。そのために私が勧めているのが、“3つのR”です。

①REST(休養)

脳や体に疲労が蓄積していると、ストレスに敏感になったり、過剰に反応しやすくなります。まずは、脳や体の疲労を蓄積させないことです。そのために大事なのは、十分な睡眠や入浴にしっかり時間を取って、しっかり休養できる工夫をしましょう。

②RELAXATION(癒やし)

ホッと心が休まる時間を作ることです。例えば、好きな音楽や好きな香りのアロマテラピーで心を落ち着かせるなど、癒やしの時間を持つことも必要です。

③RECREATION(レクレーション)

みなさん、①と②は生活に取り入れている人もいますが、③のレクレーションも大事です。ストレスを感じることなく、夢中になれる楽しみを持つこと。例えば、ヨガやストレッチなどするのもいいでしょう。楽器の演奏や塗り絵、編み物といった趣味、散歩などもいいですね。理想は少し身体を動かしながら心も楽しめることを探すと、脳も心も同時にリフレッシュできます。

難しいことではなく、毎日できる「3つのR」を見つけよう!

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上に挙げた「3つのR」が大事とお話すると、皆さん、「新しい趣味にチャレンジしなくては!」「新しいスポーツを習わなくては……」と、一生懸命考えてしまいがちです。

でも、それは逆効果になることも。新しいことがいい刺激になれば良いのですが、難しいことや新たなるチャレンジはストレスで心が弱っているときは、逆に作用することもあります。あまり難しく考えず、今日からすぐにできること、そして明日も無理なく続けられることぐらいの「3つのR」を見つけてみましょう。

例えば、寝苦しい季節になってきたからこそ、サラッとした気持ちいい寝具に衣替えしてみるとか。お風呂に、好きな香りのアロマを加えてみるとか。お風呂から出たら無理がない範囲で1~2ポーズ、ストレッチをしてみるとか。

朝、少しだけ余裕を持ってコーヒーを飲む時間を持つとか、大げさではない、すぐに出ることで「3つのR」を見つけてみるといいでしょう。きっと心が落ち着く時間が増えて、心が凹む時間が次第に減ってくるはずですよ。

Photo:Getty ImagesText:Manabi Ito

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古賀良彦先生
精神科医

杏林大学名誉教授。日本精神神経学会認定専門医、日本臨床神経生理学会認定医・名誉会員、日本催眠学会名誉理事長、日本ブレインヘルス協会理事長。脳機能画像によるうつ病や統合失調症など精神障害に関する精神生理学的研究のパイオニア。うつ病や不眠の臨床研究などをはじめ、香りと脳の働き、塗り絵の脳への効果なども研究されている。『睡眠と脳の科学』(祥伝社新書)、『熟睡する技術』(メディアファクトリー)、『週末うつ』(青春出版社)など著書も多数。