Footwear, Leg, Human leg, Dress, Fashion, Shoe, Joint, Textile, High heels, Human body, pinterest

自宅でも簡単に、しかも続けられる「ながらエクササイズ」。第2回目は、下半身エクササイズの後に必ず行うストレッチについて。柔軟性が低下したり、こわばった下半身をケアする意味もあるストレッチは、デイリーな習慣にしたいもの。前回に続き、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんが、このストレッチの意味についても語る。さらに、本来は大人世代の問題と言われていた、サルコペニアやロコモティブシンドロームなどの、筋肉や歩行にまつわるトラブルが若い世代にも迫ってきていることについても言及。現代生活のしわ寄せが下半身にきたことを、肉体とメンタルのプロはどう見る?

デスクワーク中心の生活で、私たちの下半身の筋力は想像以上に低下していると指摘するのは、多くのアストリートから絶大なる信頼を得ているフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん。週に1回のジムよりも目標は毎日、最低でも週に3回は“何かをしながら=ながら”でもいいので、下半身エクササイズを行うべきだと言う。

「“サルコペニア”という言葉を知っていますか? 加齢や生活習慣で筋肉が著しく低下してしまう現象のことを言います。本来は高齢者の問題とされていましたが、若い人でも筋肉を使う動作や運動習慣が低下すれば起こります。

現代の生活習慣をそのまま続けていると、サルコペニアや移動機能が低下するロコモティブシンドロームを誘発しやすい環境にあります。たまにジムに通って運動するだけではその不足分は残念ながら解消できません。日々、“ながら”でもいいので意識して筋肉にアプローチをかけることが重要です。そういう生活習慣の積み重ねが、10年後に大きな差になるのですから」

筋肉低下している人が多い、下半身を中心にアプローチするプログラムを中野さんに考えてもらった。今回は、そのプログラムと一緒に行うとより効果的なストレッチを紹介してもらうことに。

運動後に毎回行うストレッチ。ストレッチだけでも効果的!

Leg, Stretching, Physical fitness, Hand, Sitting, Floor, Knee, Flooring, Performance art, Exercise, pinterest

今回のプログラムは、下半身の筋肉を強化するエクササイズの後に行うストレッチ。筋肉トレーニングだけでなく、「+ストレッチ」が筋肉の質を変えてくれると中野さんは言う。

「筋肉は使わないと筋肉量や機能が低下するだけではなく、柔軟性もなくなります。筋肉を使うトレーニングを行った後は、収縮した筋肉をほぐす効果がある“静的ストレッチ”を行うといいでしょう。静的ストレッチには筋細胞の自己修復作用に関係するので、運動後に行うことに意味があります」

中野さんはこのストレッチについて、毎日行うこともすすめる。「下半身の筋肉トレーニングを週に3回行い、運動後に静的ストレッチを加えます。また、筋肉トレーニングを行わなかった日も入浴後など、筋肉がほぐれている状態であれば静的ストレッチは有効です。『エクササイズ後+入浴後』を毎日行っても構いません」

まずはここからマスター。3つの下半身ストレッチを習慣に!

以下の3つのストレッチを習慣にしてみよう。コツをしっかりとつかんで、アプローチしている筋肉を意識することが大切。

【太ももの後ろ】
アプローチする筋肉:ハムストリング
反り腰にならないように、いすに浅く座る。膝を90度に曲げる。右脚を伸ばして(膝は軽く曲がっていてOK)、爪先をまっすぐ上に向ける。ゆっくりと右手で右足の爪先をつかみ、左手は左ももの上に置く。そのまま20~30秒静止して、ゆっくり戻る。逆の脚も同様に。ストレッチしている間は自然な呼吸を心掛ける。

Line art, White, Arm, Sitting, Head, Leg, Standing, Cartoon, Elbow, Joint, pinterest

【太ももの前】
アプローチする筋肉:腸腰筋(ちょうようきん)・大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
いすの座面に、体の右側だけ浅めに座る。左膝を90度に曲げる。上体を真っすぐに起こして右脚を後ろに曲げて、右足首を右手でつかむ。左手でいすの座面をつかみ、体がぶれないように安定させる。そのまま20~30秒静止。ゆっくり戻して、逆の脚も同様に。ストレッチしている間は自然な呼吸を心掛ける。

White, Sitting, Line art, Leg, Arm, Joint, Human leg, Shoulder, Standing, Finger, pinterest

【お尻全体】
アプローチする筋肉:大臀筋(だいでんきん)
いすに浅く腰掛けて、右足首を左脚の膝に乗せる。息を吐きながらゆっくりと上体を前に倒していく。このときに背中を丸めないように意識しながら、腰が伸びているのを感じる位置まで前傾させる。そのまま20~30秒静止。逆の脚も同様に行う。ストレッチしている間は自然な呼吸を心掛ける。

White, Sitting, Line art, Arm, Leg, Standing, Human leg, Joint, Finger, Shoulder, pinterest

現代的な生活で、柔軟性も失いがちな私たち。まずはこのストレッチを習慣化して、しなやかな筋肉を育んでみて。



Photo:Getty Images Illustration :Kanao Enami(asterisk-agency) Text:Manabi Ito

Headshot of 中野ジェームズ修一さん
中野ジェームズ修一さん
PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー

米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。卓球の福原愛選手やバドミントンの藤井瑞希選手、伊達公子選手など、多くのアスリートの個人トレーナーを歴任。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。『下半身に筋肉をつけると「太らない」「疲れない」』(大和書房)、『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『医師に運動しなさいと言われたら最初に読む本』(日経BP社)など著書も多数。ベストセラーも多い。