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日本の女性に増えているスキニーファット。痩せているのに体にメリハリがなく、太っている……矛盾した状態はなぜ起こる? その原因と対策をパーソナル管理栄養士でダイエットコンサルタントの三城 円さんに教えてもらった。今、迫りつつある、新たな体形問題の最前線にようこそ!

体重が軽いのに、太っている!? 「スキニーファット」とは

スキニーファットとは、いわゆる“痩せ太り”のこと。体重が軽く痩せてはいるけれど、筋肉が少なく体脂肪率の高い状態のことをいう。痩せているのに脂肪が多い、一見矛盾するこの状態には「筋肉と脂肪の重さの違いが関係している」と言うのは、ダイエットや体形事情に詳しい管理栄養士の三城 円さん。

「人体における体の重さとなる水分や骨、筋肉、脂肪のうち、実は一番軽いのが脂肪で、水の重さを1とすると0.9ほどです。一番重いのが骨で水の2倍、次に重いのが筋肉で、水の1.2倍。脂肪が多くても骨密度が低くて筋肉量が少なければ体重は軽く、逆に骨密度の高い人や筋肉の多い人は、引き締まった体で見た目以上に体重があります」

日本中にいまだに蔓延。「体重至上主義」のダイエットは間違い

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日本の女性にスキニーファットが多いのは、体重至上主義のダイエットに原因があると三城さんは指摘する。

「多くの人が“目標体重”を目指して痩せようとします。でも、人によって骨や筋肉、脂肪の量が違うのだから体重は“目安”になっても、“ゴール”にはなりません」

「そもそも、痩せる=体重を減らすという考え方に問題があります」と、三城さんは続ける。

「痩せる目的は、健康的で美しい体にすること。体重が軽くても、脂肪が多ければ健康でもなく、美しくもありません。脂肪が適度に少なく、メリハリがあり、程良い筋肉がある状態の方が美しいと私は思いますし、パワーもあって魅力的に見えるはずです」

実際に三城さんはこの考えで、“脂肪を減らして筋肉を増やす食事”のアドバイスを行っているそう。そのため見た目の変化ほど、体重は変動していないこともあると言う。

糖質だけ抜くのはNG。「脂肪を減らして筋肉を増やす食事」とは?

脂肪のもとになるのが、今、大注目されている糖質。

「過剰に摂取してエネルギーとして使われなかった糖質のほとんどが中性脂肪となり、皮下脂肪として体に蓄えられます。だからといって、糖質だけを極端に減らさないことです。太る要因は、まずエネルギー収支バランスの乱れによるもの。まずは、菓子パンやお菓子、清涼飲料を減らすことです。基本の食事をしっかり食べていれば、お菓子の量は自然と減っていきますよ」

筋肉をつくるために、タンパク質の積極的な摂取も不可欠。

「ダイエットという前提なのでタンパク質やビタミン、ミネラルが多く含まれているの肉や魚、卵に大豆、乳製品を積極的に摂るようにしましょう。アスリートや競技に出る人ではないのであれば、まずはプロテインなどではなく、なるべく食事で摂取する工夫をしてほしいですね」

糖質制限中の場合は、タンパク質不足に注意!

筋肉をつくるのに必要なタンパク質。でも「タンパク質が不足している人が、意外と多い」と三城さん。

「特に糖質制限をしている場合は要注意です。糖質を減らした分のエネルギーを補うだけのタンパク質が摂れていないことがほとんどです。中には糖質を制限したら必要なエネルギー量が減り、筋肉が減って痩せた、というケースも。これだと、スキニーファットになってしまいます」

痩せるためにも筋肉は必要。ワークアウトをしたり、日常生活の運動強度を上げよう

筋肉がないと必要な運動量が確保できず、代謝の悪い“食べなくても太りやすい体”になってしまう。

「ダイエットの相談に訪れる方の中には運動が苦手、嫌いという人も多くいます。忙しい毎日の中で運動を取り入れることは非常に難しいこと。そこで姿勢を良くしたり、歩くスピードを上げる、階段を使うなど日常の運動強度を上げること。さらに余力ができた際は、家でスクワットをする、週1程度でジムなどに通って、程よい筋肉をつけるトレーニングすることをお勧めしています」

食事を減らすだけでは、筋肉が減ってしまい、スキニーファットにまっしぐら! ダイエットは「食事」と「筋肉量をアップする運動」がセット、覚えておいて。



Photo:Getty ImagesText:Yuko Tanaka

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三城 円
管理栄養士

一般社団法人日本パーソナル管理栄養士協会代表理事、食の相談窓口 San-CuBic代表、一般社団法人日本ジュニア・アスリートサポート協会顧問。自身のダイエット、摂食障害の経験から食に苦しむ人を救うべく、「パーソナル管理栄養士」として独立。ダイエット指導や摂食障害のケア、アスリートのパーソナル食事コンサルティングを行う。分かりやすく、腑に落ちる解説で女性誌やマスコミから注目を集める。