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糖質制限の影響ですっかり悪者のイメージが付き、食卓から排除される傾向にある糖質。そのせいか米を食べない人が増えているそう。でも、米には体にいい要素がぎっしり。米食のメリットを、アスリートの食事指導やダイエット指導も手掛けるパーソナル管理栄養士の三城 円さんに教えてもらった。

米は生きるためのエネルギー源。糖質以外の栄養素も含んでいる

「糖質を減らすためには米を食べないのが一番分かりやすく、簡単な方法です。でも、米は糖質以外にも体に必要な栄養素を含んでいます。糖質という一つの栄養素だけに着目した考え方は改めるべきだと思います」と三城さん。

ご飯一杯(150グラム、252キロカロリー)に含まれる糖質は約55.7グラムです。でもこの他に、牛乳ならコップ半分程度(100ミリリットル)のタンパク質、セロリ1/3(30グラム)ほどの食物繊維、キャベツの葉にすると2枚分相当(75グラム)のビタミンB1、亜鉛や鉄分、脂質などの栄養素も含んでいる。

「ご飯を食べないなら、これらの栄養素を補う工夫をすべきですね。というより、これらも考慮した上で、ご飯の量を加減すべきです。それをしないで単にご飯を排除していれば、体にトラブルが起きるのは当たり前です」

水分が豊富! 消化もいい! 米の実力に再注目しよう

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「栄養だけではなく、水分を多く摂るためにも米食は重要です」と三城さん。

炭水化物は水分を多く含む食物。分子式(CmH2nOn)が、炭素(C)に水(H2O)が付いているように見えることから、かつては「含水炭素(がんすいたんそ)」とも呼ばれていたそう。

「精米された米は15パーセント程度の水分を含んでいます。水と合わせて炊くことで含水率はさらに増し、“おいしい”と思えるご飯は水分を60パーセント程度含んでいると言われています」

水分は、体重を増やす一因。米を食べなければ痩せるのは、糖質だけでなく水分が減るため。一方、水分は体を健やかに保つ重要な要素でもある。

「水分が不足すれば体が乾くので、当然肌も乾燥します。肌の乾燥は化粧品でカバーできますが、それは外からの一時的なケア。肌をつくる細胞そのものに内側から栄養と水分が供給されない限り、肌を健やかに保つことはできません」

また、米に含まれる食物繊維は快便にも役立ち、それが美肌にもつながるという。これには「米の消化の良さも関係している」と三城さん。

「消化が悪いものを食べていると胃があれて、腸内環境が悪化。発酵ではなく“腐敗”して便通が悪くなります。また、胃腸の機能が低下すると栄養素や水分を十分に吸収することができません」

食べ物から水を摂ることで、体への吸収率がアップする!

水分は水を飲めば十分! そう思うかもしれないけれど、それは間違った考え。三城さんによれば、体の中を潤すためには吸収率の高い、食物による水分の摂取が必要だそう。

「水を飲めば、瞬間的に大量の水分が体に入ります。でも、すーっと胃腸を通過してしまうので、多くを吸収することができず、排出されてしまいます。一方、食べ物に含まれる水分は、消化作用でゆっくり吸収されるので、排出されずに栄養素と一緒に体の細胞に届けられます」

おいしさは満足感につながる。米を減らすなら、「量と食べ方」を考えて

最近では「米は食べたい、でも糖質は摂りたくない」という人のための糖質カット炊飯器まで登場。糖質制限の傾向が、ますます進んでいるよう。

「糖質はうま味でもあるので、糖分を除いた分だけおいしさも減ってしまいます。“おいしい”という満足感は、ダイエットを続けるのに効果的。病気で糖質コントロールが必要な方は活用できる炊飯器ですが、できれば普通に炊いてほしいもの。血糖値が急激に上がらない食べ方として糖質制限が推奨されていますが、食べる米の量のほか、雑穀ごはんにするなど食べ方を工夫しましょう」

糖質制限を実践するときは、体重を減らすことばかりに注目しがち。でも私たち日本人の主食の米には、食べるべき理由がいっぱい! 減らすときは、米のメリットを損なわない“程度の加減”を忘れないで。



Photo:Getty ImagesText:Yuko Tanaka

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三城 円
管理栄養士

一般社団法人日本パーソナル管理栄養士協会代表理事、食の相談窓口 San-CuBic代表、一般社団法人日本ジュニア・アスリートサポート協会顧問。自身のダイエット、摂食障害の経験から食に苦しむ人を救うべく、「パーソナル管理栄養士」として独立。ダイエット指導や摂食障害のケア、アスリートのパーソナル食事コンサルティングを行う。分かりやすく、腑に落ちる解説で女性誌やマスコミから注目を集める。