「食べる」、「話す」など一日中と言ってもいいほど休まず動かしている口。だから、口内炎ができてしまうとなかなか治らないという人もいるはず。
そこで今回は、口内炎の原因と対処法について東京医科歯科大学・顎口腔(こうくう)外科学分野の原田浩之先生にお話を伺った。
原因の特定は難しい……。でも、口内炎はなぜでできる?
「口の粘膜に起こる炎症を口内炎といいます。一般的にもっとも多くみられるのが、慢性再発性アフタという直径2~3mmの粘膜欠損です」と原田先生。
口内炎ができる理由はさまざま。病院へ受診しても原因を特定することは難しいとのこと。
原田先生によると、「主な原因として考えられるのは、口内を噛み、粘膜を傷つけてしまったなどの機械的刺激、細菌やウイルスへの感染、風邪、胃腸障害、過労やストレス、環境の変化、栄養不足などがあげられます。特に栄養面ではビタミンB不足、最近では亜鉛が不足して口内炎ができるとも言われています」
自宅でできる4つの対処法
口内炎は病院で診療を受けるほどでもない、と思っている人も少なくないのでは? そこで、今回は自宅でできる対処法を原田先生がレクチャーしてくれた。
1. 口の中を清潔にする
口内炎ができたら、口の中を清潔にしよう。食事の後には歯をみがき、うがいを頻繁に行うこと。
2. 刺激のあるものを食べない
早く治すためには、口の中を安静に保つことが大切。刺激物を食べず、傷口を保護するように努めること。
3. 軟こうやシールを使う
口内炎治療軟こうや口内炎用シールなどを使うと痛みがやわらぎ、傷の修復が早まる。
4. 蜂蜜を塗る
抗炎症作用があるので、蜂蜜を塗ると早く治ると言われている。特に、マヌカハニーには抗炎症作用があり、早期治療につながるという報告もあるそう。
病院に行くタイミングは? 何科に行くべき?
原田先生は、「口内炎は口の中の安静を保っていたら、通常2週間以内で治ります。2週間以上治らない場合は、“口腔(こうくう)外科”と記載されている病院に受診するのが良いでしょう。口の中の異常を見て、口内炎と判断したらうがい薬と軟こうを出します。口内炎であればよいですが、がんや自己免疫疾患であるベーチェット病というケースも考えられます。また、水疱瘡(ぼうそう)ができる天疱瘡(てんぽうそう)や結核などの可能性もあります」と話す。
2週間以上治らない、定期的に口内炎ができるといった時は受診を検討しよう。
今日からできる、口内炎予防法
1. 歯のケア
毎日の口内ケアが、口内炎を作らないことにつながる。口の中の清潔を保つためには、食事後には歯磨き、うがいはこまめにしよう。
2. ストレスをため込まない
疲労やストレスは免疫力を低下させるので、リフレッシュすること。十分な休養をとり、疲れはその日のうちに解消しよう。
3. 生活習慣を整える
十分な睡眠をとり、生活リズムを整えることが大切。食事面ではビタミンB群 や亜鉛を多く含む食事を意識すること。最近では、アミノ酸の一種であるグルタミンを摂ると口内炎予防に効果があると言われているそう。
できてしまうと、意外と気になる口内炎。おいしく食事をするためにも日々の生活習慣を整えよう。
■今回お話を伺ったのは……
原田 浩之(ハラダ・ヒロユキ)先生
東京医科歯科大学 顎口腔外科学分野 教授北海道大学歯学部卒業後、北海道大学歯学部附属病院、千葉県がんセンターを経て、2015年より現職。専門は口腔癌の診断と治療。
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2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。