Beach, Sea, Standing, Sky, Vacation, Fun, People on beach, Wave, Ocean, Summer, pinterest

妊娠中に体重を20キロ以上増やしてはいけないことは、アメリカではたいていの女性が知っていること。でも、妊娠中に体重が減るなんてことがあってもいいものだろうか? BMIの値別に指導される、妊娠期の体重の増減。もし、妊婦がワークアウトやダイエットを希望したら? アメリカン版ウィメンズヘルスが、プレママのための体重事情を取材!

米国産科婦人科学会 (ACOG) は、妊娠中のワークアウトは激しすぎず、落下などの危険性がないことが前提で問題ないとするものの、米・オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの母体胎児医学専門医マイケル・カコヴィックは、赤ちゃんがおなかにいる状態で積極的に体重を減らそうとするのはよくないと語る。

カコヴィックが指摘するのはBMIの値にかかわらず、妊娠中の女性にある程度の体重増加を推奨するACOGのガイドライン。BMI値が 「正常」とされる女性は10~20キロ、太りすぎの女性は8~15キロ、そして肥満の女性は5~10キロの体重を増やすことが勧められているのだとか。

●太りすぎ、または肥満の場合は?

肥満は流産や死産、そして妊娠中毒症をはじめとする妊娠に関連したさまざまなな合併症のリスクを高めるといわれる。

でも、BMIが女性の正常値より高いからといって、妊娠中に積極的にダイエットを行うのはよくない。カコヴィック博士によれば、特に体重を減らしたいからと食事制限を設けるのはNG。体が 「飢餓モード」に入り、カロリー摂取量を劇的に減らした時と同様に、カロリーが足りないときのエネルギー源となる物質のケトンが肝臓内で作られるからだそう。赤ちゃんの脳損傷と紐づけられるこのケトンが胎盤関門を越え、胎児に届いてしまうこともあるそうだ。

「肥満女性の体重増加を制限することはあっても、ダイエットを推奨するようなケースはまずない」 と語るのは、米カリフォルニア州サンタモニカのプロヴィデンス・セントジョン・ヘルスセンターに所属する女性健康エキスパートで産婦人科医のシェリー・ロス。

しかし、今までより健康的で栄養価の高い食生活を送ることで、肥満している女性の体重が妊娠中に減ることはあるという。「全般的に従来よりずっとヘルシーな食事をしていれば、肥満の女性が妊娠中に体重を増やすのは難しいかもしれない」 とロス。

カコヴィック博士によると「妊娠中の女性に影響を与える高血糖の一種である妊娠糖尿病と診断された肥満または太りすぎの女性にも、血糖値を改善するために医師が厳密な食事プランを指導することもある」と言う。これによって体重が減る、少なくともこれ以上増えない、ということもありえるそう。

「肥満」のBMI値に該当し、体重に関連した妊娠合併症のリスクを下げたいという場合には、食事やエクササイズを自分で変える前に、医師に相談するのがベスト。

●太りすぎではない場合

米・イリノイ大学シカゴ校医学部の臨床産婦人科助教授で低侵襲婦人科学長のジェシカ・シェパードいわく、「妊娠してから積極的に体重を減らそうとするのは、摂食障害の可能性を示唆する危険信号。妊娠中に期待されるのは、体重の増加であって減少ではないわ」。担当医に悩みを打ち明けるか、専門医を紹介してもらおう。

オーストラリア人モデルのションテル・ダンカンのように妊娠中も腹筋を割りたいフィットネスマニアは、「妊娠前に健康的なライフスタイルを確立し、おなかが出てきてからもそれを維持した方がいい」というのがカコヴィックの考え。それでも、医師に指示に従って体重を増やさなければ、やがて生まれてくる子供を危険にさらすことになりかねない。

結論として、「赤ちゃんのために強く健康な胎盤を作る唯一の方法は、ヘルシーで栄養価の高い食事を一貫して取ること」 とロス。赤ちゃんが生まれるまでダイエットはやめよう。

編集部註:妊娠期のダイエットや運動についての記事内のコメントは、アメリカ版ウィメンズヘルスが取材した医師の見解です。自己判断せずに医療機関、または医師のアドバイスを受けることをおすすめします。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Korin Miller Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images

Headshot of Nana Fukasawa
Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。