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そろそろインフルエンザの予防注射などが始まる季節。これからの時季、風邪やインフルエンザなどの感染症が気になるところ。予防にはワクチン接種も大事だけど、大切なことの一つが感染症などの外敵と戦ってくれる免疫機能全般を高めておくこと。そんな免疫機能に深く関係しているのが、なんと“腸内細菌”だと話してくれたのは、順天堂大学医学部免疫学講座准教授の竹田和由先生。免疫学専門の竹田先生に、腸内細菌の最新事情についてインタビュー!

正しく理解してる? そもそも「免疫力」とは

「腸内細菌には、便通をよくするなどさまざまな働きがあることがわかってきています。免疫機能を活性化させることもその一つです」と教えてくれたのは、ナチュラキラー細胞(NK細胞)や腫瘍免疫などを扱う免疫学が専門である竹田和由先生。「まず、腸内細菌と免疫の関係をお話する前に、免疫の基本をお話しましょう」

「免疫とはそもそも、体の中に入ってきたウィルスや細菌などの異物から体も守る機能です。よく“免疫力が高いから元気で風邪をひかない”という人がいますが、これは半分正解で、半分間違いです。

免疫は悪いものから体をブロックする働きもありますが、過剰に守りすぎると花粉症などのアレルギーやリウマチなどの免疫疾患になってしまうこともあります。バランスが必要です」

竹田先生の解説によると、免疫には大きく2タイプ存在すると言う。

獲得免疫……ターゲットを覚えていて、強い攻撃力がある。インフルエンザや肺炎などにも立ち向かう。ワクチンで活性化する。
自然免疫……どんな敵とも戦う最初の切り込み隊。ちょっとした敵は素早く倒すが、強い敵には負けてしまうことも。

「この二つの免疫は、どちらも重要です。ですが、例えばインフルエンザなどではワクチンを打ってピンポイントでウィルスを予防し、さらに自然免疫を高めておくことで感染症全般を広く予防することが重要になります。

自然免疫の代表として有名なのは、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)です。このNK細胞は、ストレスや加齢に弱くて、ダウンしやすい傾向を持っています。20歳を境に減り始めると言われていて、さらに寒い季節にも低下するとも言われています。また、マラソンなどハードな運動をする人もNK活性が低下しやすいとされています。

NK細胞は感染症はもちろん、がんなどと戦う細胞なので活性できる環境を作っておくことが大事です」

腸壁から免疫細胞に「活性を指令する」

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では、どうすればNK細胞を活性化できるのか? そこに関係してくるのが“腸内環境”だ。

「NK細胞の活性アップには、キノコや発酵食品が有効とされています。発酵食品の中でも乳酸菌は免疫細胞に直接作用して活性化し、体全体の調子を整える作用があることが分かってきています」と、竹田先生。

竹田先生によると、腸内には「M細胞」と呼ばれる特殊な細胞が存在しているという。その細胞は乳酸菌などの腸内細菌の持つ成分や、腸内細菌が作り出す成分を腸壁内に取り込む働きを持っている。

「乳酸菌などの腸内細菌が腸壁に刺さったり、M細胞を介して吸収されることで、腸壁内のリンパ管に潜んでいる免疫細胞に指令が送られます。リンパ管にいた免疫細胞のマクロファージが指令を受けて活性化され、続いてNK細胞の活性化が起こると考えられています」

腸内環境というと、便秘や肌荒れに関わるなどと思いがちだが、実は、全身もまるっとサポートしていたのだ! 次回は私たちが気になる「免疫力の上げ方」について、竹田先生にさらに伺う。乞う、ご期待!!

Photo:Getty ImagesText:Manabi Ito

Headshot of 竹田和由先生
竹田和由先生
順天堂大学大学院医学研究科准教授

東北大学大学院歯学研究科博士課程修了。アメリカ留学後、新潟大学医学部医動物学講座助手などを経て、順天堂大学医学部免疫学講座講師などを経て現職。専門は免疫学(NK細胞、腫瘍免疫)。