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ダイエットが思うように進まない? 特に、目標に掲げた体重のラスト数キロに近づくほど、落ちにくくなると感じる人は少なくないのでは。それには明白な理由があった! トレーニングと栄養のエキスパート二人が分析する、この落ちづらい体重の謎。ダイエットを邪魔する「意外な障害物」を巧みに回避して、戦略的にボディメイクを進めるコツ、大公開!

もっと効率よく! もっと失敗なく! マイナス5キロのためのトレーニング

ジェシカ・ゴメスやナタリー・インブルーリア、そしてデビッド・ベッカムを指導してきたパーソナルトレーナーのテーガン・ヘイニング。著書にフィットネス・ダイエットプランを記した『The 7 Day Quickie』がある、セレブを顧客に持つトップトレーナーのうちの一人だ。

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●「ホルモンやストレス」とうまく付き合う
「コルチゾールは人間のストレスホルモンで、量が増えるとおへそ周辺や脇腹に脂肪がつきやすくなる 。ちなみに、通称DEXAスキャンと呼ばれる二重エネルギーX線吸収測定法は、体のどこに脂肪が多いかを見せてくれる」と、ヘイニング。「ストレスを解消すれば、落としたい体重の最後の5キログラムが突然ダウンしてもおかしくない。体がため込んだ水分を手放し、食べ物に安らぎを求めることがなくなる。よく眠れるようにもなるはずだから。ストレスを管理する術を学ぶのは大切なこと。1日3回深呼吸し、て心を落ち着かせるだけでもOK」

●「あの重さ」でトレーニングすれば、運動後も体が燃え続ける!
ヘイニングいわく、「有酸素運動は脂肪を燃やすけど、それは運動している間だけ。でも、自重トレーニングやウエート・トレーニングを加えれば、ジムを出た後も脂肪が燃え続ける。

これは、運動で破損した筋肉を修復するために、体がもうひと仕事しているから。筋肉に燃料を注ぐためには脂肪をエネルギーに変える必要があるので、必然的に代謝が活性化する。だけど、重いウエートを上げる必要はない。上げるのに60~70パーセントの力を必要とするくらいがちょうどいい。その重さで、各種目を10~12回ずつ行って」

●トレーニングの効果を最大限に引き出す。種目間も「しっかり休む」! 
「ジムではみんなあれこれ大急ぎでこなそうとするけど、私はクライアントにゆとりを持たせるようにしている」と、ヘイニングは語る。

「マシンとウエート・トレーニングを使ってサーキットトレーニングをするにしても、休憩するのを怖がらないこと。魔法が起きるのは休憩中! トレーニング間に30秒の休憩をはさんでみよう。長く感じるけど、この30秒間がありがたく感じるはず。この時間に筋肉が再び酸素を取り込んで強さを取り戻してこそ、それぞれのセットで最大限の効果を引き出せるようになる」

●筋肉を作り、脂肪を燃やすのに必要なのは「睡眠」。脱・午前様の入眠
「起きたときの気分で1日が決まる。イライラや怒りを感じていると、一日中その気持ちを引きずってしまい自分のためにならない」と、ヘイニングは指摘する。

「成長ホルモンが分泌されるのは寝ている間。引き締まった筋肉を作り、脂肪を燃やす役割のホルモンなので、睡眠時間の不足=成長ホルモンが足りなくなり、最後の5キログラムが落とせない人はたくさんいるはず。眠りにつくのが深夜1時? ベッドに入る時間を毎日15分ずつ早めて、22時には寝るようにしよう!」

●体重に一喜一憂しない。「体重計以外の計測法」を持とう!
「筋肉がついて脂肪が減っても、体重が変わらないこともある。でも、みんな体重計の数字一つで、ものすごくガッカリしたりイライラするはず。そのうち体重を減らす努力が無駄に思えてきて、卵でタンパク質を補給する代わりに朝からチョコレートクロワッサンを食べてしまう」と、ヘイニング。

「ダイエットの進み具合を体重計よりも正確に測る方法がある。メジャーを使う、写真を撮る、今は穿けないジーンズを穿けることを目標にするなど。トレーニングを3カ月続けた後に、これらを使って成果をチェックしてみよう」

●塵も積もれば山となる! その1杯は通算何杯目?
ヘイニングは飲酒についてもアドバイス。「日々の小さな行いも、積み重なるとどうなるか考えてみよう。『夜はワインを2杯だけ』と言うクライアントがいるけれど、1週間でグラス14杯ってことだよね。

これも、最後の5キログラムがなかなか落ちない要因の一つなのでは? お酒を飲むのを週1~2日に控えれば、10~12杯はカットできる。こうした小さなことでも、体重に1~2キログラムの違いが出る」

●トレーニングできない=失敗ではない。マインドセットを変えて!
ヘイニングは「多忙な時期は、毎日ワークアウトしようとして自分にプレッシャーをかけ、できなければ失敗だと考えがち」と、マインドセットについても言及。

「週2~3日ワークアウトして満足する方が、時にはいいことも覚えておこう。

週3回ワークアウトできれば十分。現状維持につながる効果的なエクササイズをすればいい。新しく掲げたゴールは達成できないかもしれないけど、描いていたトレーニングプランから大きく外れずにモチベーションを高く維持できるはず」

あの手この手で。専門家がアドバイスするヘルシーな食の知恵

栄養のプロであるクロエ・マクラウドは、胃腸の健康を専門とする公認管理栄養士兼スポーツ栄養士。

●“食事日記”を作ったり、目に見えるゴールを設定する
「“食事日記”はビックリするほど役に立つ。すべてを書き留めれば、口に運ぶ全てのものがはっきり分かるようになるわ」とクロエ。

「モチベーションが下がり気味なら、ボディメイクのゴールを思い出して。目に見えるリマインダーを作るのもいいアイデア。携帯電話の待ち受け画面を、数カ月後の休暇の旅先に変えたりするとかね」

●食べたいものを我慢しすぎない。時には好きな物を召し上がれ!
クロエいわく、「制限や排除するものが多すぎると、ワインやピザなどの食の楽しみを逃しているような気分になる。しばらくすると、これ以上逃したくなくて、誘惑に 『ノー』と言うのが難しくなる。

自分のクライアントには、ダイエット中でもある程度は好きなものを食べるように、いつも話している。その方が、ずっと気楽に新しい生活習慣を維持できるはず。本当に欲しいときは食べてもいいと知っていれば、普段から 『いらない』と言うのも簡単になるわ」

●「週末だから」を言い訳にしたドガ食い、ストップ! 「小さな工夫」を考えて
「ダイエットの停滞期に入ったクライアントの一人は、月曜から金曜日までの食事を100パーセント完璧にコントロールしていたの。それが土曜日になると、ジム後に朝から旦那さんとケーキを食べ、友達とランチをして、夜はワインボトルを半分空けていたわ」と、クロエ。

「これだと、平日とは比べ物にならないほどのカロリーを1日で摂ることになる。こうした場合は、どこに“小さな工夫”を起こせるのか考えてみて。このクライアントのケースでは、朝のケーキを諦めるのは嫌だったので、ランチを軽くしたり、週末のスナックを減らす工夫を考えたのよ」

●猛烈な炭水化物への欲求。ヘルシーな炭水化物はむしろアリ!
「どうしても炭水化物が食べたくなるのは、ヘルシーな炭水化物を1日のうちのどこかで摂っていないから。例えば、ランチにツナサラダを食べたとするでしょ。

すごくヘルシーなランチだけれど、炭水化物が含まれていないので、夕方になっておなかが空いたり、炭水化物が欲しくなったりすることが多々。ひよこ豆やキヌア、サツマイモなどの良質な炭水化物をランチに少し取り入れると、午後の強烈な食欲をコントロールしやすくなるはず。夕食後に甘い物が欲しくなるのも同じ理由よ」と、クロエ。

●「隠れたカロリー」にご用心。ヘルシー風食材は内容をよくチェックして
クロエが警告をするのが、“隠れたカロリー”。「ハーブなどを漬けた濃縮ドリンクのコーディアルのように、一見ヘルシーなものもあるわね。ヘルシーなように見えても、砂糖や人工甘味料が入っていれば、カロリー量は増えるわ。

スムージーやヨーグルトも風味がついていると、カロリー量がかなり高くなっていることもあるので気を付けて。ミルクたっぷりのコーヒーが好きな人は、1日2杯のところを1杯に抑えるか、サイズを小さくすることね」

●必要な量はたっぷり食べて、ライフスタイルを「再点検」!
「食べすぎていると体重はなかなか減らないものよね。でも、体が日々機能するためには十分な食べ物が必要なので、食べる量が足りていないと最後の数キロが減りにくいの」と、クロエは言う。

「だから毎日の食事量を減らすよりも、むしろ十分に食べるようアドバイスするケースが増えているわ。必要な量の食べ物がないと、体は毎日働けない。摂食量が不足すると体の燃料を万が一のために保存しようとするので、体重がなかなか減らなくなるの。

こうした場合は食べる分量やタイミング、活動量やトレーニングを再点検してみて。例えば朝起きて犬の散歩に行き、スピンクラスに通っているかなりアクティブな人は、仕事に行き、ヨガクラスに通うだけの人とは違った量のエネルギーが必要よね」

●細部も大切。でも、「全体」でも食を考えるクセづけを!

クロエの食材へのアドバイス。「豆類はダイエットに最も適した食品の一つ。食物繊維が豊富でGI値(グリセミック・インデックス、血糖値の上昇を示す指数)が低く、プロバイオティクスを含んでいるので胃腸にもすごくいい。

一日で考えるる場合は、質の高いタンパク質と最低5食分の野菜、特に緑の葉物野菜を重点的に摂取して。十分な水分補給も忘れずにね!」

マインドについて

マインドエキスパートであるグレン・マッキントッシュは業界を牽引する心理学者で、オーストラリア・ブリスベンの「Weight Management Psychology」の設立者。

●自分に正直になる

「まず、自分のケアがしっかりできているかを自分自身に聞いてみる。完璧じゃなくてもいいから栄養価の高い食事をしているか、定期的に体を動かしているか、睡眠時間は十分? もしそうなら、自然とベストな体重になるはず。最後の5キログラムや10キログラムを落とそうと頑張っているつもりだけれど、実際には体とケンカしているなんてことも。5年も目標に向けて頑張ってきたとすれば、あなたが本当に求めているのは、体重を5キログラム減らすことではなく、ボディイメージを改善することなのかもしれない。それには、現在の自分の体を愛と受容の心をもって受け入れることを学ぶしかない」

●マインドフルに食べる

「長期的に体重を最もうまく管理できるのは、直感的に食べる人たち。彼らは自分の体の声に耳を傾ける。お腹が空くのは、体が栄養のある物を食べたいと言っているから。満腹な気がしてきたら、それは食べるのをやめてという体本来のシグナル。直感的に食べる人々は、食べ物による影響を考慮する。“体に良いもの”、“体に悪いもの”、“食べていいもの”、“食べてはいけないもの” に分けるのではなく、それを食べると満足感が得られて元気が出るのか、それとも気だるさや疲労を感じるのかを考えるんだ。特定の食べ物を避けるのではなく、体の声に耳を傾けるだけ。意識を今に集中させ、一度止まって自分に聞く。“この食べ物は自分にとって良い選択だろうか?” 」

●あなたの魅力を取り戻す

「催眠療法はモチベーションを高めるのにもってこい。誰かにマインドをコントロールされるわけじゃない。催眠療法とは、資格を持った催眠療法士に導かれながら、より深いレベルで自分に合った新しいアイディアを受け入れるプロセスで、リラックス効果が非常に高い。まずは軽めの自己催眠を自宅で試してみよう。目を閉じて、数回深呼吸して、理想の一日を想像する。例えば、午前中の自分は職場でストレスを感じ疲れている。でも、午後は散歩に出掛けて気分スッキリ。リラックスした自分が、実際にそうしようねと自分に提案してるんだ」

●視野を広げる

「ほとんどの人にとって、生活習慣を変える理由はダイエット。だけど、これだとゴールを達成した瞬間にモチベーションを失うことが多いので、必ずしも長期的に役立つ考え方とは言えない。あなたの理由は大事だけど、体重計の数字からズームアウトして、健康や気分の改善など、自分のケアをしっかりするべきすべての理由に目を向けてみよう」

●感情的な摂食に注意する

「食べ物が目の前にあるから、誰かにもらったから、食べたい気分だからといった、偽りの空腹サインに気が付き、それ以外の理由でなら食べるのも直感的に食べるコツ。このような偽りの空腹サインを察知して、対処するようにしてみよう。感情的に食べても良い気分にはなれない (機嫌がさらに悪くなるだけ) ことを実際に認識し、それをシグナルとして使う。“食べ物が欲しい。でもお腹は空いていない。だから、この欲の裏側にある感情を探ってみよう” ってね。自分の感情が何なのか分からなければ、自由連想ライティングを試してみて。頭に浮かんでくることを何でも紙に書いてみる。1~2ページ書けば、問題の感情が見えてくるはず」

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Alex Davies Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。