心から夢中になれるキャリアや副業、人生の意義が見つからない? だったら、この話が役に立つかも。心理科学専門誌「Psychological Science」の中で、米スタンフォード大学の研究チームは、積極的に “情熱を探す” と余計見つかりにくくなることを明らかにしたそう。
基本的にこれは、興味のあることが自分の心に響けば、それを追い求めるのは楽になるという意味。その後、私たちはいくつかの困難にぶち当たり、諦め、それが自分の進むべき道ではないと考える。
さらに、私たちが持てる興味の数は限られているため、焦点が絞られてしまうと、さらに好きになったかもしれない分野でスキルを磨くことができなくなるらしい。
この理解を深めるべく、研究チームは470名の参加者を対象に5つの実験を行った。
最初の実験で研究チームは、“コンピューターに詳しい系” または “芸術や人文学に興味がある系”と見なされた学生たちを採用し、各分野に関連した2つの記事を読むよう両グループに依頼した。
その結果、自分の興味はコレだという固定観念を持っている学生は、自分の専門分野以外の記事を受け入れにくいことが分かった。
この研究文献の共著者で、イエール大学NUS (シンガポール校) 心理学助教授のポール・オキーフは、「視野が非常に狭く、ひとつの分野に専念しすぎていると、その分野を越えた物事に関する興味や知識が持てなくなる」 と説明している。
別の実験では、研究チームが面白いビデオを見せて、学生の宇宙に対する好奇心をあおった。最初のうちは、ほとんどの学生が興味を示していたけれど、同じトピックに関する難易度の高い科学的な記事を読ませると、彼らの興味はあっという間に消えうせた。
「その難しさが、やっぱり宇宙には興味がないということを彼らに気付かせたのかもしれない」 と研究チームは説明する。「これで成長理論を支持する経営者も、今後はより現実的に利益を追求しようと考えるようになるのでは。モノ主体のビジネスが一段と複雑かつ困難になる中で、そのような (現実的な) 考え方は、顧客の関心を維持するのに役立つかもしれない」
個人には何ができるだろうか?
自分の情熱を “見つける” 代わりに、“開花させる” 方がためになるのかもしれない。
「何かを見て、“あれ面白そうだな。私が力になれる分野かも” と思うなら、それに自分を投資する。しばらくやっていれば困難に直面するけど、時間とともに打ち込めるようなる」
スタンフォード大学の「Lewis and Virginia Eaton」名誉心理学教授キャロル・ドウェックも、この考え方に賛同している。
「私の学部生も最初のうちは、自分の情熱を見つけることに関して夢想的。でも、時間がたつにつれ、自分の情熱を開花させ、それを最後まで見届けることの方がよっぽど楽しくなってくる」 と彼女は語る。「自分自身と自分の将来がどう形になっていくのか、最終的には自分がどう貢献していけるのかが分かってくる」 そう。
※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Lucy Bode Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images
2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。