健康のため、できるだけ意識して摂るようにしている水だけれど、目的に合わせてどの水を選ぶかまで意識している人は少ないのでは? 朝起きてすぐ、寝る前、ダイエット、美容……実はシーン別に飲むべき最適な水があるんだそう。
水の専門家・アクアソムリエが提案するシーン別“水の飲み方”を参考に、今日から新しい水の飲み方をぜひ取り入れてみて。
知って飲めばもっとおいしい! 覚えておきたい「水」の基礎知識
1日中同じ水ではダメ!? 生活シーン別に水を選ぶことの重要さ
ついついお気に入りのものばかり飲んでしまって、他の水には手がでない……そんな人も多いはず。山中さんによると「基本的に水を飲むことは大切ですが、朝一番と寝る前では飲む水を変える、ということも健康へのアプローチになる」とのこと。
では、どのシーンでどの水を選ぶべきなの?
●朝起きてすぐ飲むときは?
「血液濃度が高まっているので、ご飯を食べる前に、できれば水をコップ一杯飲むこと。季節によっては常温や白湯などでもいいですが、朝一番に少し冷えた硬度の高めの炭酸水を飲むとお通じが良くなります」と山中さん。「その日の体調や自分の体質を考慮して飲む」ことが一番大切だそう。
●食事のときに飲むなら?
レストランなどで水の種類が選べない場合を除いて、自分で選べるときは以下のことを気にしてほしいと山中さん。
「炭水化物や肉料理中心のメニューの時には中硬水以上の水を一緒に飲むようにしてください。野菜や海藻類が不足した食事にはミネラルも不足しますので、水でミネラルを補うことを意識しましょう。また、夜はお酒を飲むという人も多いと思いますが、アルコールは飲んだ杯数以上の水分が排出されてしまいます。つまり、飲むほどに脱水状態になるということ。
脱水を防ぐ、アルコールを分解しやすくする、という意味でもお酒を飲んでいる最中からお酒と同量以上の水を飲むことが大事。コーヒーや紅茶は利尿作用があるので、必ず水を飲んでください」
●寝る前に飲むなら?
睡眠は体を休めるためにも必要なもの。その睡眠を邪魔しない水の飲み方ってあるの?
「寝る前に臓器を余計に動かしたくないので、できれば軟水を飲みましょう。脱水症状を防ぐためにも、入浴時間が長い人は水を持ち込んでゆっくり飲んで」
1日の中でシーンに合わせて飲む水を変えることは体にとってたくさんのメリットが。そうなると、フィットネス女子としてはスポーツ時にも飲む水を変えるべきなのか気になるところ。この点についても山中さんに伺ってみた。
スポーツドリンクだけじゃない。水をスポーツの味方にするには?
スポーツのお供はこれ! と、毎回スポーツドリンクを選んでいるフィットネス女子に対して、山中さんは「運動にもよりますが、スポーツドリンクだけでなく水も取り入れてみて」と提案。
「軽いランニングやジムでのトレーニングで大量に汗をかかないような場合には、あえてスポーツドリンクを選ばなくても、水でミネラルを補給できます。基本的には汗をかく前に飲んでおけば良いですが、もし余裕があれば前日から水を飲んで体内の水分バランスの調整をして。水分不足の状態が続くことは体の負担になるので、前の日から意識して飲めればより良いですね。ただし、前日に飲めなくても当日のガブ飲みは避けましょう」
また、ただ水を飲むだけでなく「水の種類まで意識できれば、もっと体のためになる」と山中さん。
「普段飲み慣れているものを飲む、ということも大切ですが、例えば中硬水以上のミネラルウォーターは筋肉の働きを調整するミネラルが多めに入っているので、運動中などはおススメです。また、粉末などは軟水に溶けやすいので、プロテインなどを飲む人は軟水で作ってみて」
これからはスポーツ時にも水を飲もう! と思ったフィットネス女子に、さらに山中さんは「水は飲み方、飲む量まで意識を配ってほしいですね」と言う。
喉が渇いている状態が当たり前に……。水の飲む量&飲み方を知れば体が変わる!?
自分では気を付けて水を飲んでいるつもりでも、思ったより水分を摂れていない人も多いんだそう。その原因は“水分”に対する認識の違い。
「人は1日2.6リットルの水分を排出しています。肺と皮膚から900ミリリットルは出ていて、この他にも尿や便などで排出されています。水を飲むことももちろんですが、食事などから、いかに効率的に水分を摂れるかということが大事。
コーヒーや紅茶、緑茶、ウーロン茶なども水分だと思われがちですが、これらは利尿作用があり、水分を排出してしまいます。もし飲むなら麦茶や利尿作用のないハーブティーなどがおすすめ。
また、水の飲み方にも注意が必要です。冷やし過ぎるとむくみの原因になりますし、一気に飲むのも体にとっては負担。必要な量を1日7、8回に分けて飲むのが良いでしょう」
さらに山中さんは「水の飲み過ぎも不足も、体にとって負担になってしまう」と言う。
「1日に飲むべき水の量は、1.5リットルから2リットル。1日3リットルまで、という話がありますが、それ以上飲むことはあまりおすすめしません。飲み過ぎると消化の妨げになるので、むくんできたなと思ったら水を飲むのをやめるか体を動かして。
ただし、むくみを気にして水を飲むのを控えるのは大きな間違い。きちんと必要な量の水を飲んでいないとそれが原因でむくんでしまうこともあります。水を飲みすぎる必要はありませんが、必要な量はしっかり飲むようにしましょう。
水分不足の状態を作らないためにも一度にたくさんの量を飲むのではなく、200ミリリットルずつくらいの量をこまめに飲む、ということが大切です。また、喉の渇きを感じてもそのまま飲まずにいると、喉の渇いている状態が普通になり、喉が渇いているということに気がついていないことも。
喉の渇き以外に頭痛やだるさを感じる時などは、水分不足による軽い脱水症状の可能性があります。脇が濡れているかも確認してみて。乾燥肌の人も要注意。水は体内の大事な器官から先に巡るので、肌に巡るのは最後になります。そのため万年の水不足は乾燥肌を招くことも。
また、尿もチェックポイントです。ビタミン剤などを飲んでいる場合を除いて、濃い色の尿は水分不足のサインかも? 気を付けてみてください」
いつもの自分の状態が、実は水分不足だったなんてことも……。脱水症状を招かないためにも、正しい“水分量”を意識することはフィットネス女子には不可欠と言えそう。
飲むほどキレイに!? ダイエット&美容に役立つ水の飲み方
女性が気になるダイエットや美容も「最適な水を選んで飲めば、手助けしてくれる」と山中さん。ここでもただ水を飲めば良い、というわけではないそう。
「ダイエットで食事制限をする人も多いと思いますが、食事を減らすとミネラルが不足してしまう可能性も高くなります。体の組織を正常に動かし、健康を維持するためにも、ミネラルは摂らなければいけないものなので、ノンカロリーでミネラルが摂れる硬水を飲むようにしましょう。
また硬水によく含まれるサルフェートは、コレステロールの排出を促進する胆汁の働きをサポートする働きがあるので、ダイエットを手助けしてくれます。
また、美容にはシリカが含まれる水がおすすめです。シリカには骨の繊維を繋げる働きがあり、骨密度を高めてくれるだけでなく、コラーゲンの生成や毛髪を強くしてくれる働きがあります。ぜひ自分に合った水を探してみてください」
私たちの生活と切っても切れない関係の“水”。当たり前のように毎日飲んでいるものだからこそ、正しい飲み方を知って、おいしく、そして健康でキレイになれる“自分に合った水”をセレクトして。
今回お話を伺ったのは……
アクアソムリエ 山中亜希(やまなか・あき)
2004年、ミネラルウォーター専門店「AQUA STORE」の立ち上げと同時にイタリアにてアクアソムリエの資格を取得。2008年より、アクアソムリエを養成するミネラルウォーターの専門スクール「AQUADEMIA」を開校し、校長に就任するとともに、「AQUA STORE」のディレクターとしても活動。ミネラルウォーターの正しい知識・情報の普及のために、セミナーや講演、企業へのコンサルティング業務などを行っており、海外からもセミナーの講師として招聘されている。
Photo:Getty Images