一方、乱れた呼吸は体をメチャクチャにしてしまうそう。英国肺財団のスティーブン・スパイロ氏によれば、緊張していると必要以上に息を吐くので、二酸化炭素の血中濃度が低下する。その分、血がアルカリ性になるので、脳に危険信号が送発信されると、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの薬学専門家、サンジーブ・カンボジ博士は付け加える。
ひどい場合、呼吸の乱れは緊張をパニック症状に発展させてしまう。呼吸が早まると身体はすぐに過剰反応してしまうそう。カンボジ博士によれば、交感神経は中枢神経系が危険を察知した時に活性化するという。危険信号は次に恐怖を司る扁桃体へ送られる。そこから副腎が刺激されてから起こる連鎖反応で、アドレナリンとストレスホルモンのコルチゾールを出す。そしてphの偏りを脳が感じ取り、パニック反応が現れる。すると過呼吸や手足の指先が痺れるが起こる。
横隔膜呼吸
不安神経症を治す方法、それがダメなら対処する方法を知りたい。デニスは私の普段の呼吸リズムが浅すぎて、胸やおへその下まで届いていない、典型的な乱れた呼吸をチェックしてから、ベンソン氏の横隔膜を使った呼吸に似た息の仕方を教えてくれた。ツービートのリズムでまずお腹の中深くへ、次に胸へ息を吸い込み、すぐに短く息を吐く。
それから45分間、デニスが私のお腹に手を当てて指導する中数回に分けて練習が続いた。
「この呼吸法は、深い瞑想のように意識の変容をもたらすためのものです」とデニス。
「沸き起こってくるものを受け入れてください」と言われて、落ち着かない心を更にかき乱されたものの、それでも目を閉じた。
最初は集中できず、このおかしな状況に声を出して笑ってしまった。ブレスワークでは対処できない不安が滞っている場所で呼吸するのも難しかった。でも呼吸が整い、酸素が脳へ流れ込むようになると、繭の中へ沈むような気持ちになった。蘇ってくる記憶は、単純なイメージから、再び身体中を感覚が駆け巡るような強いものまである。奇妙なものだ。
セッション後の効果
二度目の呼吸セッションが始まって20分、よく知った感覚があった。苦しさが喉を上り、息が切れそうになる。実際、少し呼吸が乱れたけれども、デニスに励まされて胸のつかえへと息を吹き込むなんちゃって科学的な話はさておき、本当につかえを感じる。
そして私の心と身体が、半年間のカウンセリングでも触れなかったある出来事を思い出した。重度の敗血症性ショックで身体が弱り、点滴で与えられる痛み止めのおかげで、意識も朦朧としながら病院のベッドで寝ていた記憶。泣きたくなったのをこらえ、何度か声を出してから、再び記憶が遠のくまで呼吸を続けた。
それじゃあ、「緊張の解決法」はただ息をするだけなの?
一瞬だけパニックの発作が起こる寸前までいったような気もしたけれど、セッションが終わる頃には安心しかなかった。発作のあと付きまとっていた、ぴりぴりした苦しさとは無縁の世界にいた。
あの記憶はといえば、大学病院にいた期間が元々あった神経質さを心の病に変質させたきっかけだったということを驚くほどはっきり見せてくれた。以前は完全に自覚していなかったこと。
トランスフォーメーションかインフォメーションか
結局、最後のセッションから10日経った今、私は治ったのだろうかびくびくしたり、メールのやり取りで不安になったり、週の真ん中で急に気分が落ち込んだりするので、そうとは言えない。しかし、変化はなくとも知恵はついた。今の私には、呼吸を敵から味方に変える知識と力がある。
http://www.womenshealthmag.co.uk/health/stress/6533/how-to-deal-with-anxiety-i-tried-breathing-right-to-cure-my-panic-attacks/