炭水化物を減らすと超気分屋になるのにはワケがある。
減量のために炭水化物を控えたことがあるなら、そのせいで気分屋になったり、イライラしたり、今にもクッキーを大食いしたくなったことがあるのでは? トロントの管理栄養士、ミカ・グロブマンによると、それは炭水化物がバランスの取れた食習慣に欠かせないだけでなく、あなたの気分をつかさどる大事な役割を担っているから。
幸いにも、悪魔にならずに炭水化物を減らし、体重を落とすことは可能。
炭水化物を減らすと不機嫌になる理由
炭水化物という言葉を聞いてまず浮かぶのは、おそらくパン、パスタやクッキーといった精製炭水化物。重度に加工され、カロリー、ナトリウム、糖質、脂質含有量の高いこれらの精製炭水化物は、低炭水化物ダイエットに走る人がまず最初に減らすもの。
「精製炭水化物を控えることで得られる予想外の利点は、合計カロリー摂取量の低下よ」、と言うのは、宅配ヘルシーフードのハロー・フレッシュ勤務の米国管理栄養士、レベッカ・ルイス。「これでカロリー摂取量は減り、体重は減るかもしれないけど、空腹感とムードを調整するホルモンの働きが邪魔されるの」
ハワイ・パシフィックヘルス360体重管理センターの認定内科医、リンダ・アネガワ医学博士によると、日頃から過剰な炭水化物やでんぷんを摂取していると、膵臓が余分なインスリンを送り込むことになり、そのうちに、高インスリン値が慢性化する可能性があるそう。炭水化物を急に断ち切ると、血中のインスリン値に突然負荷をかけることになる。これが頭痛や震えなどの身体的な変化、イライラや憂鬱感などの感情面での変化を招くことに。
さらに、脳は他の体器官よりも多くのカロリーを消費する。グロブマンによると、炭水化物を食べると、必須アミノ酸の一つであるトリプトファンを脳に届けるホルモン作用が起動。トリプトファンは、気分を高め、食欲を抑え、消化にも影響を及ぼす神経伝達物質セロトニンに変換される。炭水化物を減らせば当然セロトニン値は下がり、気分のアップダウンや食への渇望が激しくなる。
ルイスいわく、脳がこの炭水化物という主要栄養素を欠いていると、ホルモンが必死に私たちに炭水化物を食べさせて燃料を補給させようとするそう(だからやたら食べたくなる)。それに負けじと戦っていると、不安やストレスの原因となるアドレナリンやコルチゾールといった一連のホルモンシグナルが放出される。
「この飢えをさらに無視していると、攻撃性や怒りを増す神経ペプチドYという神経伝達物質が放出されると同時に、食べたい衝動が激しく長く続くようになって、無視することができなくなるの」、とルイス。
(冷静さを失わずに)炭水化物を減らす方法
グロブマンによると、「脳が機能するには毎日約130gの炭水化物が必要」。減量中に感情を抑えたければ、食事から炭水化物を削るにあたって注意すべきことがある。
1.少しずつ前進
フードレシピサイト、ヤムリーで栄養健康部長を務める米国栄養士のエドウィナ・クラークは、「劇的で急速な食生活の変化(炭水化物を突然一気にやめるなど)は、継続するのが難しく、苦い副作用を伴うことも頻繁にある」と言う。もちろん、食べ物を減らすなら栄養価の低い炭水化物からはじめるのが一番だけど、徐々に減らすことで副作用を最小限に抑え、体を新しい食習慣に慣らすことができるそう。コーヒーに砂糖を入れるのをやめたり、甘いおやつは一週間に二度までにすることからはじめてみよう。
2.正しい炭水化物を選ぶ
野生米、キヌア、全粒パスタ、野菜や果物など食物繊維が豊富なものを選んで、貴重な炭水化物の価値を高めよう。「食物繊維が消化プロセスを遅らせることで、体が食べ物をより効率的に扱うことができる」、とルイス。「そして食物繊維は血糖値の上昇を防ぐから、食べたいという欲望は減り、満腹感が高まるの」。
3.拡散する
クラークによると、炭水化物の摂取を一食に限ったりせず、一日を通して少しずつ食べれば、脳へのグルコース供給量も気分も安定するそう。グロブマンは、一食につき半カップ、またはこぶしサイズの炭水化物の摂取を勧めている。
4.トリプトファンを含むものをもっと食べる
ニューヨークの認定家庭医でサレルノ・センターの設立者、ジョン・サレルノによると、炭水化物を減らせば、トリプトファンの量も減る。だからこの優秀なアミノ酸を含む食品を多く食べることで必要量のセロトニンが脳に送られ、あなたのムードも安定化するそう。例えばチーズや七面鳥をメニューに加えれば、驚くほど気分が良くなるかも。
http://www.womenshealthmag.com/weight-loss/how-to-cut-carbs
Text: Krissy Brady Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images