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東京駅から北陸新幹線に乗って富山まで約2時間、そこから高山線で特急に乗り換え、1時間ほどで到着するのが、岐阜県の飛騨古川。映画『君の名は』の聖地としても知られるこの町で、究極の自然療法ともいえる薬草のパワーに触れる旅へ。

趣のある町並みに洗練された宿や店が溶け込む、飛騨古川

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白壁の家が並び、その前には瀬戸川という細い川が流れている飛騨古川の街並み。冬以外の時期にはこの川に1000匹の鯉が泳いでいるという。多くの寺社、江戸・明治から続く2大酒造「蒲酒造場」や「渡辺酒造店」や、この地域の三寺まいりでも使用される和蝋燭の専門店など、歴史ある建物の中に、Uターン、Iターンした若い世代がオープンしたおしゃれなカフェなどがすんなり馴染んでいるのが面白い。

「暮らすように旅する」が叶う宿

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こちらは、一軒貸しの宿「IORI STAY」。白壁の町並みの中の一軒家をそのまま借り、暮らすようにして飛騨の旅を楽しむことができる。1階には蔵を改造したリビングダイニングキッチンとバス、トイレ、2階には和室が2部屋あり、最大で6名が宿泊できる。朝ごはんは近隣のカフェが届けてくれるというサービスつき。さらにユニークなのは、「飛騨の観光をもっと楽しく、ローカル感あふれるものにしたい」という思いから考案されたというオプションツアーやワークショップ。地元のお母さんたちに郷土料理を学ぶワークショップや、電動自転車を使ったE-バイクツアー、居酒屋を案内してくれる「居酒屋クロール」など、地域を深く知ることができるプランばかり。この宿は飛騨地域で現在11軒あるそう。

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「IORI STAY」
https://iori-stay.com/ja/

江戸時代から続く、手作り和ろうそく店

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毎年1月15日に行われる「三寺まいり」と呼ばれる伝統行事に欠かせないのが、この「三嶋和ろうそく店」の手作り和ろうそく。お店の歴史も古く、現在の店主は7代目だという。歴史を感じさせる店先から一歩中に入ると、右手には畳の上に並んだ紅白のろうそく。左手にはろうそくの工房があり、毎日店主自らここでろうそくを作っているそう。石油系のパラフィンという材料で作られる西洋ろうそくに対し、和ろうそくの原料はハゼの実やい草の髄といった植物100%。炎が大きく、消えにくいのが特徴で、風がなくても炎が大きく揺らぐ様子を、地元のお年寄りは「神様が喜んでみえる」と表現するそう。ろうそく1本130円ほどから購入できるので、お土産としてもおすすめ。

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「三嶋和ろうそく店」
岐阜県飛騨市古川町壱之町3-12
tel. 0577-73-4109
営業時間/9:30~17:00
定休日/水、1/1~1/3

飛騨古川の二面性が融合した、最先端のモノづくりカフェ

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飛騨地域は広葉樹が多いことから、木工が盛ん。土産物店にもカッティングボードやお椀、コースターなど木製のアイテムが並ぶ。飛騨古川にある「FabCafe Hida 」では、オリジナルの木工アイテム作り体験と、地元の食材を使ったフードとドリンクを楽しめる。古い民家を改装した店内は、手前にFabスペース、その奥には酒蔵を改造したカフェスペース、さらにその奥には木工作業所がある。レーザーカッターを使ってスプーンを作ったり、木片に写真をプリントしたり、木製のスタンプなども30分程度で作れるという。

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FabCafe Hida / 飛騨の森でクマは踊る
岐阜県飛騨市古川町弐之町6-17
tel. 0577-57-7686
営業時間/10:00 – 17:00
https://fabcafe.com/hida/

イメージを覆す、食べておいしい「蕪水亭」の薬草ランチ

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飛騨古川駅から古い街並みを散策しながら歩くこと10分。明治3年に創業して以来、飛騨古川の迎賓館として地元の人々からも愛されてきた歴史ある料理旅館「蕪水亭(ぶすいてい)」。古くから多くの薬草が自生するこの土地の特色を生かし、料理を通じてお客様に元気になってほしい、という思いから始めたという薬草料理は、ランチだけの利用でもいただける。

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長年薬草の研究を続けた薬学博士、村上光太郎氏の教えに従い、主人が研究を重ねたという薬草料理は、魚介もふんだんに使い、いずれも食べやすく、薬草であることを忘れてしまうほど。女将が料理に使用されている薬草を説明してくれるのも興味深く、知的好奇心も刺激される。

薬草ランチ¥2,500(税抜き) のほか、薬草会席などもある。

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食後には、薬草の効能を学びながら、自分だけの薬草茶を作るワークショップもぜひ参加してみてほしい。テーブルにずらりと並べられた薬草茶について、一つ一つの効能の説明を受けた後、自分の体に今必要な薬草をセレクトし、オリジナルブレンドティーを作ることができる。白髪を黒くする薬草、二日酔いに効果的な薬草、美肌にいい薬草など、馴染みのある植物にも知らなかったパワーがあると知り、日本のメディカルハーブ、薬草への興味が増すはず。今後、飛騨古川の町中に薬草製品を扱うショップもオープンする予定だというから、楽しみ。

オリジナルハーブティーワークショップ¥3,000(税抜き)(要予約)

「蕪水亭」
岐阜県飛騨市古川町向町3-8-1
tel. 0577-73-2531
https://www.busuitei.co.jp/

少し足を伸ばせば、世界遺産の白川郷へ

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飛騨古川を訪れたら、少し足を伸ばして立ち寄ってみたいのが、世界遺産に登録された合掌造りの集落でおなじみ、白川郷。今も村人が暮らす合掌造りの家屋の間にはカフェや土産物店も点在するので、散策するだけでも楽しい。昔は養蚕を行なっていたという屋根の内部、建物の3階部分まで入ることができる見学施設もあり、時間が止まったかのような家屋の内部から村を眺めるのも一興。
https://shirakawa-go.gr.jp/

美意識が行き届いた空間で、絶品イタリアンをいただける宿

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飛騨エリアで今、注目の宿のひとつが、高山駅から車で10分ほどの場所にオープンした「オーベルジュ飛騨の森」。イタリアやオーストラリアでシェフとして経験を積んできたというオーナーが腕を振るう料理は、目にも美しく、豊富に揃ったワインと共にいただけば至福。焼きたてのパンにとろとろのスクランブルエッグとカリカリベーコン、マッシュルームのラグーを組み合わせた朝食の一皿も、満足度が高い。

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「オーベルジュ飛騨の森」
岐阜県高山市新宮町3349-1
tel 0577-34-6575
1泊2食付き 1名¥12,400〜
https://www.hidanomori.jp/

雄大な自然の恵みと、観光地として開発されすぎていない、穏やかな時間の流れ、そして薬草や木工など、地域に受け継がれてきた伝統。訪れるとなぜだかほっこり落ち着く、飛騨の旅。次の休みのプランに加えてみては?

Photo : Maho Yamaguchi

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Kiriko Kageyama
エル・グルメ編集長/ウイメンズヘルス編集長

『エル・オンライン(現エル・デジタル)』のファッションエディターを経て、フリーランスに。女性ランナーによる企画集団「ランガール」を設立。その後女性誌立ち上げやWebメディアの立ち上げを経て2017年にウィメンズヘルス』日本版ローンチ時から編集長に。2023年夏よりエル・グルメ編集長も兼務。趣味は料理を作って友人たちに振る舞うこと。