Fit Girlsも知っておきたい! 「隠れ痔主」にご用心!!

14 February 2018

Fit Girlsも知っておきたい! 「隠れ痔主」にご用心!!

お尻がなんだかムズムズ、かゆかゆ、たまには痛みも覚える。知らないうちに下着やトイレに血がついていた……。見て見ぬふりをしていたけれど、それは痔の持ち主である「隠れ痔主」の兆候かも。Fit Girlsにも関係する痔の基本について、日本初の肛門科女医である山口トキコ先生にインタビュー。

痔は大きく分けて3タイプ。そして「あの噂」は都市伝説だった!?

痔と聞くと私たちは、「お尻が切れて痛む」「イボができる?」と思いがち。「痔は大きく3つに分けられます」(山口トキコ先生)

1 男女問わずなりやすい痔のNo.1、「痔核(イボ痔)」

「肛門まわりにイボ状の腫れが現れ、男女問わずいちばん多い痔のタイプとされます。「内痔核(ないじかく)」と「外痔核(がいじかく)」があり、内痔核は肛門内部の直腸(粘膜)と肛門上皮(こうもんじょうひ)の境界である歯状線(しじょうせん)より体内内部のクッション状の部分がうっ血して、大きくなったものです。また、内痔核はその腫れ(脱出)の度合いでⅠ~Ⅳ度に分類されます」

 【内痔核の症状分類】

Ⅰ度/初期の段階で、痔核が飛び出ることがなく、痛みもない。排便時に出血する程度。

Ⅱ度/排便時に痔核が肛門から出る(脱出)ものの、自然に戻る状態。

Ⅲ度/肛門から痔核が出て(脱出)、指で押し込まないと戻らない。この段階では専門医の受診が必要。

Ⅳ度/常に肛門から痔核が出て(脱出)しまい、指で押し込んでも戻らない。専門医の受診が必要。

※このほか、脱出した内痔核に血栓ができて傷む「嵌頓(かんとん)痔核」、肛門外側に血栓(けっせん)ができる「血栓性外痔核(けっせんせいがいじかく)」があります。

「外痔核は、歯状線よりも下がうっ血して大きくなったもの。つまり内・外痔核はできる位置の違いでもあります。どちらも大きな原因のひとつに、排便が関わります。排便時にいきむ、便秘でかたい便が肛門を通過して痛める、下痢で何度も便が肛門を通過してダメージを与えるなどです。また、血行不良で静脈叢(じょうみゃくそう)のうっ血も症状を悪化させるので、冷えとも関係します」

 気になるのが、出産するときに痔になりやすい、冷えや座りっぱなしで痔になる、という噂。「出産すると痔になるわけではありません。もともと痔をもっている方が、妊娠でお腹が大きくなり、その分、お尻に負担がかかって痔が進行する可能性はあります。また、妊娠中は手術ができないことが多いので、痔の症状が進む方もいます。

 冷えや座りっぱなしは、もちろんお尻にはよくないですよね。ただ、それだけで痔になるとは限りませんし、個人差があります。ほかの痔の原因もそうですが、お尻に悪いことが重なって痔になるわけで、特定の原因が痔に直結するとういうことでないのです」


2 痛みがあって治りにくい、女性に最も多い「裂肛(れっこう)」とは

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「最も女性に多い痔のタイプと言われ、『切れ痔』『裂け痔』とも呼ばれます。歯状線より下、肛門の出口側にある肛門上皮(こうもんじょうひ)が切れる痔です。便秘のかたい便や勢いよく下痢便が通過することで、肛門上皮が切れます。なぜ女性に多いのかというと、ダイエットなどにより食事量が減り、そもそも便の量が減ってしまったり、十分な食物繊維や水分が摂れないため、便がかたくなります。過度なダイエットで便の量が減ると腸の働きが鈍くなるため、便秘に。そのため、女性に多く見られる痔と言われるのです」

裂肛は悪化しやすい痔だそう。「痛みを感じやすい痔なので排便を我慢するようになり、それが便秘につながることも。便秘だとかたい便が出ることもあり、もっと患部が切れ、痛みをさらに感じて、痛みが続くことに。この負のスパイラルが続き、悪化しやすくなるのです」。排便時には強い痛みと少量の出血を伴う裂肛。「初期の裂肛でも便がかたければ、繰り返し痛みます」


3 市販薬では治せない! 肛門内外がつながる「痔ろう」

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「歯状線にあるくぼみ、肛門陰窩(こうもんいんか)に細菌が入り込んで化膿し、肛門とお尻外側がトンネル状態でつながってしまうのが、痔ろうです。肛門の周囲化が化膿してうみが溜まって腫れて痛み、場合によっては38~39℃の熱が出ることもあります

 原因は肛門陰窩に下痢便が入り、便に含まれる細菌に感染することで起こります。体力が落ちて免疫力が弱っていると大腸菌などに感染し、化膿しやすくなります」。注意したいのが、痔ろうは自力では治せないこと。「市販薬では治らず、専門医の診察が必要です」


4 女性に意外と多い、いわばお尻の血豆。「血栓性外痔核(けっせんせいがいじかく)」

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「肛門付近に痛みを覚え、腫れが出ます。血栓性外痔核の患者さんは、毎日の診察でよく見かけます。それほど多いわけではありませんが、女性に意外と多いように感じます。常時痛みを感じることが多く、お尻を拭いたり歩いたり、スポーツをしたときに擦れて痛みを覚える方も。これは肛門付近の静脈の血流が滞ったり、流れなくなったことで血栓、つまり血豆のようになったことで起こります。

 血栓なので自然に治ることもありますが、専門医からは軟膏を処方します。ただし、肛門の外にできたものなので、中に押し込もうとしてもできません」


痔主にならないために。お尻を守る生活習慣とは

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冷やさない! 湯船に毎日浸かって温める

毎日、湯船に浸かって入浴すれば肛門がキレイにキープできて、全身の血流がよくなるのでうっ血もケア。ただし、痔ろうや肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)のように、化膿している場合はよくなることはないので、注意を。また、からだが冷えやすい人は、環境や洋服にも気を配って。

便秘&下痢、いきみすぎを避けよう

便秘や下痢は肛門を傷つける原因にもなるので、まずはならないように注意。そしてトイレタイムやスポーツ時などには、いきみすぎにも気を配って。なかにはゴルフのスイングをした瞬間に患部が擦れて出血した、という人も。もちろん、必要なときもあるので、肛門の“ご機嫌”や痔なのかどうかにも関係。つまりはバランス次第。 

食事にもひと工夫。お尻にやさしい食べ物を

食事量や水分量が少ないと、便が痩せ、腸の働きが低下して便秘になりやすい状態に。栄養バランスのよい食事をして、水は1日1.2~1.5ℓを目安に摂取。また食物繊維が不足すると便のカサが減り、腸を刺激しづらくなるので、1日20~25gを目標に。水溶性・不溶性どちらの食物繊維も摂って。さらに、アルコールの摂り過ぎは下痢や肛門のうっ血を起こしやすくし、香辛料の摂り過ぎは排便時に肛門を刺激。どちらも控えめに、適量を心がけて。

同じ姿勢を取り続けない。運動も大切!

座りっぱなしや立ち続けなどの同じ姿勢は肛門がうっ血して、お尻の負担に。同じ姿勢が続くときは適度に身体を動かして、血行をよくしてみて。また、適度な運動も血流改善につながるので、自分に合った強度でトライ!


痔はこの症状だから病院へ、というものではなかった!

「痔ろうや手術を必要とする状態を除けば、痔は『この症状だから医療機関を受診しなければならない』という指針がありません。要は本人の希望次第。例えば痛みがあって気になる、肛門に痔があるのが見た目として恥ずかしいから、と受診される方も。

また、痔だと思っていたら、お尻の皮膚のたるみでできるスキンタグだった、という場合も。病気ではなく、見た目の問題なので気になる場合は医師と相談しながら切除するかどうかを決めます。ただし、痔やスキンタグではなく、別の病気である可能性もありますので、痔と決めつけないことも大切です」

一方、痔になって腫れて出血すると、即手術というイメージも。だけど山口先生の病院の場合、実際に手術が必要なケースは全体の1~2割程度。意外に少なく、その前に痛み止めや必要な薬剤で治すことがほとんど。

気になる診療も問診や触診のほか、病院によってはデジタル肛門鏡を使い、モニターに患部を映してくれるので、本人もどんな状態なのかを見ることが可能に。

痔=お尻の風邪。そう思うと怖くない!

「痔は特定の要因でなるわけではありません。体力が落ちていた、このところ暴飲暴食が続いた、睡眠不足に加えてシャワーばかりで身体を冷やしていた……。いろいろなことが重なって痔に。つまり、『お尻が風邪をひいた状態』。誰でも身体に悪いことが重なれば風邪をひきますが、治すことはできます。そして風邪をひきにくい生活を心かげるように、お尻に優しい生活をすれば痔になりにくくなります」

 

薄着でスポーツシーンでは力むことも多いFitガールにとって、痔は他人事ではない問題。まずは隠れ痔主にならないケアと生活を、そして痔主になったらオープンリーにドクターに相談して、快適なお尻ライフを!

 

 

山口トキコ(やまぐち・ときこ)先生

日本大腸肛門学会専門医、指導医、評議員。日本外科学会専門医。東京女子医科大学卒業、同大学大学院修了。東京女子医科大学附属病院で研修後、社会保険中央総合病院(現 東京山手メディカルセンター)に勤務。2002年にマリーゴールドクリニックを開院、院長に。日本初の女性肛門科専門医として知られ、痔や快便に関連する著書も多数。http://www.marigold-clinic.com

 

マリーゴールドクリニック

東京都港区赤3-2-2 日総第24ビル4F

Tel 03-3582-3131

診療時間:9:30〜12:30、16:00〜17:30(月〜火曜、木〜金曜)

9:30〜11:30(土曜)

休診日:水・日曜、祝日

Photo:Getty Images

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