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忙しい日々が続くと、コンビニなどで簡単に食事を済ませる人も多いのでは。でも私たちの体は、食べたものでできていることを忘れないで。そこで覚えておきたいのが、食事を通して健康を維持したり、病気を予防する薬膳の考え方。今回は、薬石花房 幸福薬局の幸井先生に薬膳の基本的な知識についてお話を伺った。「未病を直す」と言われている薬膳で自分の健康を維持しよう!

薬膳とは

「中医学の理論に基づいて食物や生薬を使って作る料理であり、健康を維持したり病気を予防し、症状を改善する食事法です。日々の食事の中で体質を強化し、心を豊かにするのが目的です」と幸井先生。

薬膳と聞くと、漢方薬を使った専門的な料理だと思いがちだけど、実はそうではない。生姜、くるみ、山芋など、漢方薬に生薬としても使われている食材は少なくない。スーパーマーケットで手に入る材料だけを使って薬膳を作ることは可能だという。

薬膳を実施する上で、大切なのは食材を知ることと自分の体質を知ること。
自然の恵みである食品なら、薬膳と言えるので、どんな材料を使うかということには制限はない。むしろ、どのような状況で誰が食べるのか、何と組み合わせどのくらい食べるのかということがポイント。
「薬膳料理はさまざまな健康上の効果が期待できるからこそ、必要なのは、それぞれの食材がもっている性質と効用についての知識です」

なぜサプリメントではなく、薬膳がいいの?

「サプリメントは、一般的に栄養補助食品です。 不足している栄養を錠剤や飲料というかたちで補給します。一方で薬膳は足りない栄養を補うだけでなく、自分の体質に合った食事をとることによって、心身を養い、免疫力を高めてくれます」と幸井先生。

現代人が食生活に薬膳を取り入れるべき理由

飽食と言われている現代は、意識しないと必要以上に動物性の食品を食べがち。もちろん、動物性のタンパク質や脂肪が必要な場合もあるけれど、過剰な摂取は控えた方が良いそう。

「毎日の食事は、単に空腹感を満たすものではないので、偏った食事を続けてしまうと体調が崩れてしまいます。逆に体質や体調、季節、生活環境に合わせて食事が組み立てられれば、健全な体質は維持できます」

これを抑えれば、薬膳マスター! 薬膳を始めよう

1.食材を丸ごと食べる
捨てる部分にも薬効が多くあるので、含まれている栄養を残さず食べるのがおすすめ。
例:ごぼうの皮、エビの殻

2.環境にあった食材を食べる
採れる食材は、環境によっても違う。例えば、体を冷やす食材のトマトは暖かい地方で採れる。このように、それぞれの環境に適した特徴を持った食材が採れるので、自分が暮らす土地で収穫した旬なものを食べることも大切。

3.味による効能の違いを知る

酸味
体を引き締め、出過ぎる汗や、下痢、せきなどを改善する効果あり。摂りすぎると汗や尿が出にくくなることもあるので注意して。

主な食材:酢・レモン・キウイ

苦味
熱を冷ます働きをする「苦み」は、むくみや湿疹に悩んでいる人におすすめ。体を冷やしたり、乾燥につながるため、摂りすぎないようにする。

主な食材:レタス・にがうり・アスパラガス

甘味
疲労回復に効果があり、胃痛や頭痛などを緩和させる働きも。摂りすぎると余分な水分が増え、だるさや肥満の原因になることも。

主な食材:米・さつまいも・大豆

辛味
肺の働きを高め、発汗を促す。血行や肩こり、冷え性の方におすすめ。余分な熱を生み、肺から水分が奪われ「からせき」が出ることもあるので、摂りすぎには注意。

主な食材:ショウガ・にら・さんしょう

鹹味(かんみ)
腎の働きを強め、水分代謝を高める。便秘改善やリンパ腺の腫れなどにも良い。ただし、摂りすぎは腎の働きを弱め、生活習慣病の引き金になるので気をつけて。

主な食材:アサリ・イカ・わかめ

4. 体を温める食材と冷やす食材を知る

体を強く温める食材:ニンニク・トウガラシ・こしょう
体を穏やかに温める食材:しょうが・かぼちゃ・にら
寒熱に偏らない食材:米・キャベツ・りんご
体を穏やかに冷やす食材:セロリ・大根・梨
体を強く冷やす食材:きゅうり・ゴーヤ・すいか

5. 食材は季節を考えて選ぶ

冬の時期におすすめ食材は、ブロッコリー・マッシュルーム・エビ・ウナギなど。

未病を治すために、薬膳の知恵を活用してみては?
次回は、自分の体質を知るためのチェックテストと体質別の薬膳の取り入れ方をご紹介。

■お話を伺ったのは…
幸井 俊高先生

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東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。ジョージ・ワシントン大学経営大学院修了。日本人として18人目の中国政府認定の中医師。『漢方治療指針』『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』(ともに日経BP社)、『幸福薬局の若返り薬膳レシピ』『舌をみれば病気がわかる』(ともに河出書房新社)など著書多数。

薬石花房 幸福薬局
https://kofukuyakkyoku.com/



Photo: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。