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高血圧やがんなどに結びつけられることもあり、何かと悪者にされがちなコーヒー。でも紅茶のほうがコーヒーよりいいという説は本当なの? 

さまざまな研究結果や見解が飛び交う中で、「飲んで気分や具合が悪くならない限り、どちらとも食生活に取り入れて差し支えはないでしょう」と話すのは、公認管理栄養士のジェス・コーディング。コーヒーや紅茶を「健康のために」と諦めてしまう前に、アメリカ版ウィメンズヘルスがあらためてコーヒーと紅茶のメリット、デメリットをおさらい。

寿命や記憶力、そして社交性にうれしい影響をもたらしてくれるのが、「コーヒー」

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眠気覚ましによく頼りにされるのが、コーヒー。でもアメリカ・バンナー大学医療センターの臨床栄養士、ニコール・ハーンによると、「これまでの研究結果から見ると、コーヒーが糖尿病や高血圧、肝臓病などの慢性疾患の予防に役立つ可能性を示しています」とのこと。

内科学専門誌『JAMA Internal Medecine』に掲載された、50万人を対象にした2018年の研究では、コーヒーを1日最大8杯飲んだ人ほど、10年間の研究期間中に死亡するリスクが低いことが判明したそう。

コーヒーは記憶力や脳機能を"守る"効果もあると言われている。「1日最大3杯のコーヒーで、アルツハイマー病のリスクが65%低くなることを明らかにした研究もあるくらいです」とハーンは続ける。

さらに、気持ちを高めてくれる効果も期待されるコーヒー。「人と人が交流する場には、大抵コーヒーが用意されていますよね。"コーヒーを飲みながら人との関係を築く"という行為が、精神的にプラスの効果を与えることもあります」とコーディング。

「コーヒーの摂取はがんにつながる可能性も……」は、根深い?

2018年、カリフォルニアの裁判官が下した判決は、「コーヒーの販売元は、商品にがんの警告表示をするべきである」。理由としては、焙煎されたコーヒー豆に含まれるアクリルアミドという化合物が、がんになったネズミから発見されているためだそう。

でも、ハーンに言わせれば、これはかなり大げさな対処だとか。「コーヒーでがんになることを示す証拠はほとんどありません」。コーヒーには体内の炎症と特定のがんの成長を防ぐポリフェノールと抗酸化物質が含まれているそう。そのため複数の研究から、子宮体がんと大腸がんのリスクを下げることが分かっているのだとか。

ちなみに、米国がん研究所も上記判決には異議を唱えているのは留意しておくべき点。

免疫システムの強化から、がんのリスク低下や骨の丈夫さまにまで影響する、「紅茶」

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健康志向の人には広く知られれている、紅茶のメリット。コーディングによれば、「日常的に紅茶を飲むと、体重を減らすのに役立ち、免疫機能をサポートし、心臓病や脳卒中のリスクが減ると言われています」

紅茶好きは骨密度が高く、骨折のリスクが低いことも考えられるそう。また、緑茶には脳の保護作用とリラックス効果もあるという。「緑茶に含まれるアミノ酸のテアニンは、神経伝達物質のGABA(γ-アミノ酪酸)を放出するため、精神的にリラックスした状態になりやすいのです」と言うのは、バンナー大学医療センターフェニックスの循環器系集中治療室(ICU)に所属する公認管理栄養士、アシュリー・アマラル。

紅茶の最大のメリットは、主に消炎作用と豊富な抗酸化物質。「緑茶や紅茶には、コーヒー以上の抗酸化物質が含まれています」とアマラル。「その上、紅茶には環境ストレス要因から体を守るカテキンとフラボノイドも含まれています」

紅茶とコーヒーに潜むデメリットは、「カフェイン」の摂取量で決まる

「カフェインは刺激物なので、体内の複数の機能に影響を与えます」とアマラル。「神経系に影響を与えてしまうと、神経質になったり、じっとしていられなくなったりなどの可能性があります。心拍数や血圧が上昇し、胃に不快感を覚えることも」

米国農務省が定義している1日のカフェイン摂取量は、400mg未満。それ以上摂取すると、副作用のリスクが高まるとされている。カフェインの濃度は、飲み物の種類やサイズによって大きく異なるけれど、一般的なカフェインの含有量は以下の通り。

・コーヒー1杯につき、約92mgのカフェイン
・紅茶1杯につき、約47mgのカフェイン
・緑茶1杯につき、約29mgのカフェイン

1日の摂取量を400mgに抑えておけば、カフェインは比較的無害としているそうだ。中にはそれ以上飲んでも平気な人もいるけれど、アマラルが言うようにカフェインの代謝速度は人によって異なり、カフェインに人一倍敏感なタイプもいるので、一概には言えないそう。

コーディングいわく、「カフェインに非常に敏感な人は、緑茶や紅茶でもイライラしてしまう」のだとか。カフェインフリーだからといってハーブティーを選ぶ人もいるけれど、妊娠中や持病のある人、そして薬を服用中の人は健康上のリスクや他の物質との相互作用がないか、医師に確認することが特に大切。

こうして見ると、紅茶もコーヒーもかなり優秀。カフェインにさえ気を付けていれば、どちらを飲んでも体にいいと言えそう。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Christine Yu Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images