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セレブやアスリートの間でも愛用者が多いフォームローラー。でも、上手に使いこなせないという声も多い。前回は、フォームローラーの活用の意味について、パーソナルトレーナーの谷川アツシさんに簡単に伺った。今回はもう少し掘り下げて、フォームローラーで整えることができる「筋膜」について詳しく教えてもらうことに。さらに、後姿や二の腕の見た目にも関係する、前鋸筋と広背筋のリリースについてもレッスン!

悪い姿勢は、簡単に言えば「ヨレたアンダーシャツをずっと着ている状態」!

「筋膜とは、筋肉を包んでいる膜のことです。筋肉の全身図などを見ると、骨格に沿って筋肉がバランスよくついています。実はあれは、筋膜が筋肉や臓器をしっかり包んで、全身に膜を張り巡らせているから整って見えるのです。

筋膜がなければ、筋肉のメリハリはあんなにきれいに見えないのです。そのため“第二の骨格”と呼ぶ人もいます」と言うのは、パーソナルトレーナーの谷川アツシさん。

ところが、筋膜は常に綺麗に筋肉を包んでくれるとは限らないと言う。例えば、姿勢がくずれていて体に癖がついていれば、その部分に筋膜のヨレが起きてしまうことも。

「寒いときに着る肌着、薄い生地で少し伸縮性がある長袖のTシャツを想像してみてください。きちんと着ていれば窮屈ではないのですが、肩のラインがヨレていたりすると脇のあたりが窮屈になり、腕が前や上に動かしにくくなったりします。

さらにヨレが進めば、脇のあたりに痛みが出たりします。このシャツのヨレた感じが筋膜のヨレに似ています。体の癖でヨレてしまった筋膜があると、動きやパフォーマンスが低下したり、凝りや痛みなどが出ます。そのヨレを解消するのが筋膜リリースなのです」

今までの筋膜リリースというと引き剥がしたり、こすったりする方法が主体だった。しかしフォームローラーは、筋膜組織の機能に合わせて部分的に圧迫したり、刺激したりすることでリリースしていくという違ったアプローチを可能にした。

「一人で体のさまざまな部位にアプローチをかけられるという点も、フォームローラーの利点ですね」

すっきりしない二の腕の人におすすめの「前鋸筋&広背筋リリース」

「肋骨の隙間から肩甲骨についているのが前鋸筋(ぜんきょきん)です。主に肩甲骨を前方に引っ張る働きをしています。腕を前に伸ばす時によく使われています。

一方、脇から背中にかけて広がる大きな広背筋。クロールの際の腕をかく動作や、腕を前や上から後方に引く動作の時に働いています。この二つの部分が固くなると、肩の動きのパフォーマンスが低下することも。

二の腕のトレーニングだけではなく、前鋸筋&広背筋のリリースも加えると腕のパフォーマンスが上がります。さらに肩や背中、二の腕のシルエットがきれいに整う人も多いと思います」と、谷川さんはそのメリットを語る。

【前鋸筋&広背筋リリースのやり方】

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1 床に片側の体側だけを使って寝る。脇の下よりも少し下、のせて痛みや刺激を感じる部分にフォームローラーを合わせる。

<POINT> 

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当てるのは、脇の下より下の部分。まずは体側に沿わせるのがコツ。

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2 体の前に重心をかけて、8カウント圧迫する。その後、後ろに重心をかけて8カウント圧迫する。※秒ではなく、自分で拍を数えるのでOK(以下同)

3 前後で痛みが強かった方を、さらに1セット(8カウント)圧迫する。

<POINT> 

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「どうしても痛くて圧迫できないという人は、最初は肘をついてサポートしてもOKです。徐々に自重をかけられるようにするといいでしょう」と、谷川さん。

Tシャツのヨレを洗濯の「洗う、干す」で解決するように、筋膜のヨレも毎日のケアでリセットして。

編集部註:けがや重大なトラブルがある場合はフォームローラーの使用を控え、医療機関の受診をおすすめします。また過度に力を入れて行うなどにもご注意ください。

Photo:YohitakeKatanoText:Manabi Ito

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谷川アツシさん
パーソナルトレーナー

SCR認定機能的トレーニング指導士、JNWA認定、ノルディックウォーキングインストラクター、健康運動指導士、FNC認定パーソナルトレーナー。日本体育大学卒業後、アパレル業界を経てフィットネスクラブ勤務時からパーソナルトレーナーとして活動。現在は「姿勢を、美しく、健康に。」を提案しながらパーソナルトレーニング指導を行う。また、美しい姿勢づくりと全身の筋力アップ・シェイプアップに最適なノルディックウォーキングインストラクターの顔を持ち、活動中。http://spice-at-life.jp