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アスリートやモデルが愛用し、ジムなどでも見かけるフォームローラー。見よう見まねで使ってみても「今いち体がすっきりしない」「痛いだけで本当に効いているの?」という人も。だけどきちんと使えば、体や筋膜にアプローチできて、疲れや凝りをケア。むしろ最近は、フォームローラーをじっくり使って入念に体をほぐすトレーナーやジムも。プロたちが手放さずに使うには理由があった! そこで、フォームローラーがまだ知れわたる前から指導に使っていたパーソナルトレーナーの谷川アツシさんに、使いこなすためのコツを取材。第1回は女性の悩み深い部位の一つである、肩甲骨……胸椎近辺のほぐし方について。

NBAの選手やオリンピックのアスリートたちが抱えていたり、選手たちのバッグの口から飛び出している筒状のアイテム。「フォームローラー」と呼ばれるコンディショニンググッズだ。日本でもフィギュアスケートの浅田真央さん始め、スキージャンプ選手の高梨沙羅さん、嵐の松本 潤さん、女優・モデルの中村アンさんなどもフォームローラーを使ったコンディショニングを行っているという。

噂を聞いて購入してみた、という人も多いのでは。でも、「買ってみたけど、使い方がよくわからなくて、結局三日坊主に」「テキスト通りにやると痛くて我慢できず、続かなかった」という声も多く聞かれる。

「トレーニング指導をしていても、同じようなお話をよく伺います。持っているのに上手に活用できないという方が多い。でも、うまく使えば、筋膜を整えることができます。

姿勢などのフォルムが整うのはもちろんのこと、運動のパフォーマンスが上がったり、体の凝りや疲れをケアする力もあります。使わないのはもったいないですね」と言うのは、早くからフォームローラーを使ったコンディショニングに取り組んでいる、パーソナルトレーナーの谷川アツシさん。

現代人ならケアは必須! 肩凝りさんや猫背、呼吸が浅い人向きの「胸椎リリース」

胸椎は上半身の軸となる部分。ところが、パソコンやスマートフォンでの作業が多い現代人は姿勢が崩れている人が多く、それによって全身のバランスが悪くなることも。また、運動パフォーマンスが低下したり、呼吸が浅くなったり、凝りや痛みなどの不快感が出る人もいる。そんなバランスが崩れた人のために、胸椎のあたりを整えるメソッドを谷川さんに教えてもらった。

「床と背中の間にフォームローラーをはさみ、仰向けに寝ます。フォームローラーの位置は肩甲骨の下。このラインから3段階に程度に分け、徐々に首の方向に向かってそのまま上げていきます。肩甲骨と背中の筋肉の間にフォームローラーをはさむことで、胸郭が自然と開きます。

多くの人は肩甲骨そのものにフォームローラーを当てると思いがちですが、肩甲骨を下から圧迫して、胸郭を開く(胸が広がっている状態)のがポイントです」と、谷川さん。

胸椎リリースのやり方】

1 肩甲骨の下にフォームローラーを当て、位置を確認する。

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2 仰向けに寝て、1で確認した位置にフォームローラーを入れる。そのまま動かさず8カウント×2セットじんわりと圧迫する。※秒ではなく、自分で拍を数えるのでOK(以下同)

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3 次に、肩甲骨の真ん中にフォームローラーを置く。と同じようにはさんで、そのまま動かさず、8カウント×2セットじんわりと圧迫する。

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4 肩甲骨の上部にフォームローラーを当てる。2と同じようにはさみ、そのまま動かさず、8カウント×2セットじんわりと圧迫する。

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5 フォームローラーを肩甲骨の下から上方向に(2から4の位置まで)、前後に4往復させる。このとき大きく動かさず、3~4センチぐらいの小さな前後運動で刺激。ヒップを持ち上げて行うのがポイント。

谷川さんは、フォームローラーを使うときによくある間違いについても指摘。
「乗りかかって大きく動かす人がいますが、大きく動かすと筋肉の表面しか刺激されません。小さな動きのほうが筋膜に、よりアプローチできるのです。

圧迫する際、少し痛みを感じるかもしれませんが、痛気持ちいいならば少し我慢。体が緩んで、リセットされやすくなります」

フォームローラーを使った筋膜ケアは、できれば毎日と谷川さんは言う。「シワが残ってしまった服を手で伸ばそうとしても、なかなか難しいものです。けれど、シワが浅いうちなら手で軽く押さえたり、服を払うだけでシワが消えますよね。体も同じです。

ダメージが蓄積しないうちに筋膜をケアするほうが、ずっと効率的。本来、トラブルがなければ、フォームローラーで刺激しても痛みを感じることはあまりありません。ダメージをため込めばそれだけ痛みや違和感を感じやすくなります。お風呂上りや寝る前の習慣にするといいですね」

テクノストレスを受けやすい現代社会。胸椎コンディショニングを習慣化して、軽やかな体をキープしてみて。

編集部註:けがや重大なトラブルがある場合はフォームローラーの使用を控え、医療機関の受診をおすすめします。また過度に力を入れて行うなどにもご注意ください。

Photo:Yoshitake KatanoText:Manabi Ito

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谷川アツシさん
パーソナルトレーナー

SCR認定機能的トレーニング指導士、JNWA認定、ノルディックウォーキングインストラクター、健康運動指導士、FNC認定パーソナルトレーナー。日本体育大学卒業後、アパレル業界を経てフィットネスクラブ勤務時からパーソナルトレーナーとして活動。現在は「姿勢を、美しく、健康に。」を提案しながらパーソナルトレーニング指導を行う。また、美しい姿勢づくりと全身の筋力アップ・シェイプアップに最適なノルディックウォーキングインストラクターの顔を持ち、活動中。http://spice-at-life.jp