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人を元気にする力、そして人を結ぶ力を持つフィットネス。
体を動かしたことがある人なら、きっともう運動が持つ力にはお気付きのはず。ニューヨークに住むランナー、カウンセラー、そして活動家であるアリソン・マリエラ・デシールも、運動が持つ力に動かされた一人。

幼い頃からランニングとは縁が深かったものの、長距離走を始めたのは大人になってから。ところが今ではランニングコミュニティーを二つも立ち上げ、運動の魅力とそのパワーを自ら発信するように。アリソンはこの二つのコミュニティーを通して、あらゆる外見や性意識を持つ人々の間に生まれる溝をできるだけ埋め、社会へ大切なメッセージを伝えることを掲げている。

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そんな彼女に、ランニングを始めたきっかけや感じた魅力、そしてコミュニティーを成長させていく上で大切にしていることを教えてもらった。

つらい気持ちを振り切って、マラソンを走ると決めたのが全ての始まり

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「私は幼い頃にランニングを始めました。父親にはハイチ・クレオール語で「粉でできた足跡 (Powdered Feet)」を意味するあだ名をつけられました。これは、アクティブすぎて姿すら見えない、目に映るのは粉でできた足跡だけ、という意味を持つ言葉です。

でも、私が長距離走を始めるきっかけは2012年のこと。とてもつらい心の病を負ってしまい、生きる価値がないと思ってしまっていた時期です。ある日、ソーシャルメディアを見ていたら、マラソンに向けてトレーニングをしている友達を見かけました。私は彼をフォローするようになり、その成長ぶりに心打たれたのです。何も失うものはないという思いで、私は当時の自分には無理だと思ったことに挑戦してみました。初めてのフルマラソンに挑戦し、白血病とリンパ腫の団体に$3,500の寄付を集められるよう呼びかけました。

そのとき、ランニングは私の人生に骨組みを与えてくれました。主導権を握って動ける感覚が芽生え、人生を全く違う観点から見ることができるようになった気がしました。そのマラソンを走り切ることが、私にとって土に種を埋めるような感覚でした。そして走りきる上で私がハーレムのコミュニティーから得た気づきをシェアしたいと思ったのです。

そんな思いを心に、私が2013年11月に立ち上げたのが、「ハーレム・ラン」。ランニングは人生を変えることができるーそんなメッセージをコミュニティーにいる人にだけでも届けようという気持ちでした。参加者を集めるのに4カ月ほどかかりました。毎週月曜日に誰かが来るのを待ちましたが、結局一人で走ることになる、という日々が4カ月ほど続きました。ですが、少しずつ「ハーレム・ラン」の立ち上げの意図や思いが広がり、月曜と木曜の夜にそれぞれ100人ほど集まるようになったのです」

「ランニングを続けていく上で私が大切にしてきたのは、メンタルヘルスです。実際に私自身も大学院でカウンセリング心理学を学び、卒業したばかり。私のゴールは、心のケアを体のケアと結びつけて、それをできるだけ多くの人に知ってもらうことです」

誰でも受け入れるオープンなコミュニティーを作る上で、心がけていること

Run 4 All Womenのフェイスブックページにはこう記してある。
「私たちは『女性』をこのようにして定義しています。いわゆる社会から『女性』と見られる人。社会から『女性』と見られる格好をしている人。女性らしい特徴も、男性らしい特徴も宿している人。今ある性別の枠組みに当てはまらない、流動的な人(ジェンダークィア)。トランスジェンダーの人々を受け入れている人。生まれ持った性別ではない性別の特徴を持っている人。男女両性を兼ね備えている両性具有者(アンドロジナス)。男でも女でもないと感じる人。女性と男性の中間形質を持つ人(インターセックス)。男性と女性に基づく振る舞いの両方を持つ人(バイジェンダー)。性的志向を探している状態の人(クエスチョニング)。社会からは『男性』と見られるような格好をする女性(ブッチ)。女性にも男性にも分類されない人(ノンバイナリー)。どのような性的志向も受け止める人(クィアポジティブ)。その他『自分は女性』と思う人全て」

この説明を見るだけで、性との関係性はどうであれ、どんな人も受け止めてくれるコミュニティーであることが分かる。そんな団体を総括する彼女に、コミュニティー作りにおいて大切にしていることを聞いてみた。

「自分の弱さをさらけ出せるのと同時に、自分の強さに気付ける場を設けることです。特にランニングなどのスポーツは、決まった人種や体形の人がランナーとして成功している事例もあるので、一見始めにくいと思う人も多いと思います。「ハーレム・ラン」と「Run 4 All Women」を立ち上げたとき、私は誰もがコミュニティーの一部であることを感じられる場を作りたいと思いました」

「多様性を大切にする刺激溢(あふ)れるリーダーを招いて、誰もが彼らと交流できる場を作ることにも注力しています。あとは、私たちのソーシャルメディアで多様性をしっかりと反映するよう徹底しています。世界を多様化していくには、まずそれを視覚的に確認できるコミュニティーがあると知ることが、大切だと感じるからです。

「ハーレム・ラン」も「Run 4 All Women」も、たとえ今抱えている不安や葛藤をシェアしたとしても、翌日も同じように接し合えるコミュニティーです。むしろ、そこから前進するためにインスパイアし合える場を作っています」

人と人とをつなぐには、体を一緒に動かすのが一番

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「スポーツは壁を壊す力を持っています。言語、人種、年齢、社会における立場を忘れて、同じ場で同じ瞬間に同じことを楽しめる力があります。ムーブメントの力はそこにあるのでしょう。それに正直なところ、一人で体を動かすのはなかなか難しいことです。誰かと一緒にやることで、自分のパワーに気付いたり、運動をきっかけに周りと深い絆を育むことができたりします」

一人で走るときの静寂さと、みんなで走るときの一体感。ランニングには、どちらも欠かせない要素。
「一人で走ることも、私の人生の大きな部分を占めています。一人で走るときこそ瞑想(めいそう)ができたり、考えを深めることができたり、問題を解決へと導くことができたりします。抱えている葛藤は、一人で走ることにより解決されることが多いです」

「その一方で、コミュニティーと走ることで人とつながることもできると感じています。一緒に何かを達成すること、限界を試すこと、そして自分の新たな一面を見つけることができるのも誰かと一緒に運動する醍醐味(だいごみ)です。この二つを上手に組み合わせることを、私は毎日のランニングで大切にしています」

■ Run 4 All Women
公式サイト:https://www.run4allwomen.com/
フェイスブック:https://www.facebook.com/Run4AllWomen/
インスタグラム:https://www.instagram.com/run4allwomen/

■ Alison Mariella Desir(アリソン・マリエラ・デシール)
公式サイト:http://alisonmdesir.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/alisonmdesir/



Credits: Alison Mariella Desir