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バッグはどちらの肩にかけるか。どの脚から歩き出すか。毎日の動きを意識してみると、歩き出す脚がいつも同じだったり、バッグは必ず同じ肩にかけていたりと、癖があることに気がつく。こうしたさりげない動作が、私たちの体のバランスを日々少しずつゆがませる原因。

こういったゆがみを定期的に調整しないと、年を重ねるほどに直りにくくなってしまうそう。そこで今回は、骨盤(ペルヴィス)を柔軟に保つ大切さと、今すぐできるゆがみのケア方法を、骨盤から全身調整を行うスタジオ「b-i STYLE」を代表するkyoさんに教えていただいた。

多少のゆがみは、実は普通! そもそもゆがんでしまう理由とは?

日中を通して体を動かすだけで、多少のゆがみは必ず生じると教えてくれたkyoさん。中でも鍵を握るのは、動き出すときに一番力を使う「初動作」。「例えば座位から立ち上がるときに決まって右手で体を持ち上げていたり、後ろから呼ばれたとき必ず左側に振り向いたり……無意識のうちに動作に『クセ』というものがあります。極端な例では、テニスプレーヤーは利き手でラケットを握りますよね。そのため、日常的に生活をするときは反対の手を使う人が多いのです。そうすることで体のバランスを整えているのです」

体のバランスを整えるうえでケアするべきなのは、体の上半身と下半身をつなぐ骨盤。「目指したいのは、柔軟に機能できる引き締まった骨盤です」とkyoさん。「女性は本来であれば、毎月月経前に骨盤がふわっとゆるむものです。ところが職場でもプライベートでも忙しく過ごし、常に戦闘態勢の現代女性は、骨盤を締めてばかりいて、ゆるむ力が衰えています」。そのせいかkyoさんの生徒のなかでも「固まった骨盤」を持つ女性が圧倒的に多いそう。

とは言え、「ゆがみを整えて左右をぴたりとそろえることが目的ではない」と話すkyoさん。注意したいのは、"ゆがみすぎない"こと。そのために必要なのが「ゆるむ、縮む」の動作がちゃんとできるようになる日々のメンテナンス。例えば毎日ケアをせず、どんどん体をゆがませてしまうとどうなるのだろう。

「全身のゆがみとは、体の中心にある骨盤が傾いたり、前傾、後傾してしまったりすることが主な原因です。この骨盤の位置がずれてくると、体はそれに合わせてバランスを取ろうとします。例えばその上にある背骨も、新たな骨盤の位置に合わせようとして曲がっていきます。つまり体の中心となる骨盤が微妙にずれてくることで、全身に少しずつゆがみが生じ始めるのです。鏡をじっと見つめてみると、あごが片側に若干傾いていることに気づくかもしれません。これもゆがみのサインです。背骨や脚のゆがみをはじめとし、全身を整えていくためには、まず骨盤の左右差や本来の動きを取り戻していくことが大切なのです」

骨盤に柔軟さを与えて、普段の生活から生じるずれをメンテナンスしてあげると、「骨格が本来ある位置に少しずつ戻っていき、血流もよくなります」とkyoさん。血流がよくなることは、疲労回復やむくみ解消にもつながるため、骨盤を整えることはより快適な生活への近道であるともいえそう。

自分のゆがみ具合がわからない人におすすめ! 簡単にできる「ゆがみチェック」

かなりひどいケースでない限り、意外にも自分では気づきにくいゆがみ。まずは下記のリストから自分に当てはまるものがあるかチェックしてみよう。

・ 椅子の背もたれにすぐによりかかる
・ 机に肘をついてしまう
・ 文字を書くと右上がりになる
・ 座ると脚を組んでしまう
・ 生理痛がひどい
・ 電車では立っているのがつらく座りたいと思う
・ 机に対して斜めに座っている
・ かむときは片側を多く使っている
・ 寝つきが悪い/寝起きが悪い

kyoさんによると、この中で一つでもYESがある人は、ゆがんでいると思っていいそう。その他にもチェック方法は二つ!

●足が開く「角度」チェック

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How-To
床に座り、手を体の後ろに添え、脚をだらんと前に伸ばす。両足が40~45度開くのが理想。片方がもう片方より外側に開きやすい場合は、ゆがんでいるサイン。

Kyo’s Point
「力を抜いて行うよう注意しましょう。意識してしまうとそろえてしまうので、力を抜いて行うよう注意しましょう。本当にゆがんでいる人は足が外側を向かず、内側に向いてしまう人もいます。

開きやすい脚は、若干ではあるかもしれませんが、もう片方の脚よりも長さがあるはずです。7〜8割の人はこの『長い方の脚』を組む傾向にあります。骨盤がやや開き気味なので、大腿骨が少し外に傾いている証拠です。長い脚は可動域が大きいのでよく動く、つまりよく使う『効き脚』でしょう。一方で、短い脚は可動範囲が狭いので、どちらかといえば安定感が必要なときに使います。面白いことに、股関節はかみ合わせと連動しており、7〜8割は『短い脚』のほうでかむ傾向にあります」

●両膝の「高さ」チェック

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How-to
鏡の前に座り、両足の裏をつけて、かかとを引き寄せる。このとき両膝の高さに大きな差がなければ○。ここで片方の膝だけ高く上がっている場合は、体がゆがんでいる証拠。

たったこれだけで違いが出る!? 今日からできる3つの簡単ゆがみエクササイズ

①おなかを思いっきりふくらませる「骨盤呼吸」

kyoさんが教えるさまざまなメソッドの中にあるのが、骨盤呼吸。「“骨盤呼吸”というのは腹式呼吸がベースで、骨盤底筋を呼吸に合わせ意識的に吸っておなかを膨らませゆるめ、吐いておなかを引き締め、骨盤底筋を引き上げるように努力して行う呼吸法です」

骨盤底筋を締めて息を吐く腹式呼吸は、骨盤の本来の弾力を蘇らせ、柔軟に動かす方法なのだとか。

腹式呼吸を繰り返し続けると、妊娠後最も気になる「妊娠線」ができにくくなるそう。「線が残りやすいのは、妊娠したときに赤ちゃんの成長が著しいので急におなかがふくらむことで起こります。このエクササイズを繰り返し行うとおなかを膨らせるのが上手になり、赤ちゃんを産むときに楽と感じられる方が多いです。赤ちゃんを産むときに必要となる動きに耐えられる、ふわっとゆるむ骨盤に矯正されていきます」

②トイレで出す。経血のコントロール

b-i STYLEの生徒さんにもおすすめしているというのが経血のコントロール。「そうすると、自(おの)ずと骨盤底筋は鍛えられます。ポイントは子宮内に『ためる』という動作です。コントロールを一切せず、ナプキンに経血を垂れ流してしまうと、膣の収縮機能が衰えてしまいます。妊娠中は赤ちゃんを育む期間で骨盤底筋は支える役割。出産時は産道としてゆるめる力が大切なのです」

③オフィスでもできる! 骨盤を左右、前後に振って回す

Step 1.

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How-to
吸う息とともに骨盤を前に出し、吐く息で骨盤を後傾させる。前後1セットを計3回

Step 2.

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How-to
片方のお尻をあげるようにして左、右と交互に骨盤をあげる。左右1セットを計3回

Step 3.

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How-to
Step1と2を組み合わせるようにして骨盤を右回り、左回りと交互に回す。右回り・左回りを1セットとして計3回行う

Kyo’s Point
「頭から先に回ろうとせず、骨盤を軸に体を回すことがポイントです。1分ほどあればできてしまう、簡単なエクササイズです。1日1回が目安ですが、1回以上できる場合は、行っても大丈夫です」

今日からできる! 骨盤を整える上で押さえておきたいポイント

・ 「振る・ゆする」の動きで、骨盤をゆるめる時間を設ける
・ 靴底の減りをこまめにメンテナンスする
・ 自分の「初動作」に気付いて、左右差が生じないように左右両方を「初動作」に利用

いつも右肩にバッグをかけている、かむの毎回左側がメイン、机に置くのはいつも右ひじ……など自分の何気ない動作に偏りがあることに気付くのもなかなかおもしろいもの。あとは「いつも使わないほう」をたまに「初動作」で使ったり、上記の方法でメンテナンスするだけ。日々のシンプルなケアで骨盤を整えることで、毎日のちょっとした不調を解消してみては?

■お話を伺ったのは……
kyo(きょう)さん
ボディワークプロデューサー。東京・外苑前にあるスタジオ「b-i STYLE」代表。1983年より幼児体操から大人の健康作りの体育指導をスタート。2001年よりフィットネス業界にて骨盤を中心に全身を整えるプログラムをスタート。2005年よりビューティ・ペルヴィス®と命名したオリジナルメソッドを展開。指導者の育成・教育にも努める。2005年より現職に。『いつまでも美しくいたければ女は骨盤を立てなさい』(日本文芸社)など著書多数。

b-i STYLE
住所/東京都港区北青山2-9-13 サイトウビル2F
tel.03-6434-7357
http://www.b-i-style.com/



Photo: Cedric Diradourian Credits: b-i STYLE