10月11日はカミングアウトデー。LGBTQのフィットライフをサポートする「The OUT Foundation」とは?

11 October 2018

10月11日はカミングアウトデー。LGBTQのフィットライフをサポートする「The OUT Foundation」とは?

ジムに行けば、安心してワークアウトできるのが当たり前。でも中にはそのように感じない人がいるのも事実。例えば、LGBTQのコミュニティー。先進国であるアメリカでさえ、LGBTQのコミュニティーにおいては「100%安心して取り組める」と言い切れないのが実情。そこでウィメンズヘルスが見つけたのは、彼らが気持ちよくワークアウトできる居場所作りに力を注ぐフィットネス団体「The OUT Foundation」。現在は2,000人ものメンバーが所属。アメリカでは40州、世界では10カ国にも広まった「The OUT Foundation」の試みとは? 

今回は本日、10月11日の「カミングアウトデー」にちなんで、団体をけん引するウィル・ラニールのインタビューを公開!

2011年にニューヨークでこぢんまりと始まり、2017年に正式に非営利団体として立ち上げられたフィットネス団体、「The OUT Foundation(ザ・アウト・ファウンデーション)」。クロスフィットのトレーニングを軸とするこのフィットネスグループは、LGBTQをサポートするアメリカのフィットネス団体の中では最大級とされている。

彼らが大前提としているのは、LGBTQや彼らをサポートする人々が性的な差別に遭うことなく、気持ちよくフィットネスに取り組めること。地域ごとに開催しているワークアウトイベント「OUTWOD (Workout Of the Dayの略)」とLGBTQが安心して参加できるクロスフィット大会「OPEN+」の開催を主な活動とし、今年6月のゲイ・プライド・シーズンにはハッシュタグ「#infiltratewithlove(愛で埋め尽くせ)」とともに盛大なワークアウトイベントも催した。これら全てのプログラムを通してLGBTQの関連団体への寄付金を募り、LGBTQコミュニティーが健やかに生活を送れる環境を整えている。

「The OUT Foundation」の誕生ストーリーや、創始者であるウィルが「The OUT Foundation」とともに実現したい現在と未来、そして差別を伴わない“インクルーシブ”な団体を築く上で大切にしていることを聞いてみた。


始まりは「遊び感覚」だった

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「The OUT Foundation」創始者のウィル・ラニール。

 

「7年前の2011年が全ての始まりでした。まずは月1回、LGBTQの仲間を集めて一緒にワークアウトをしようと、ニューヨークで小さなワークアウトグループを作ったのがきっかけ。友達と遊ぶような感覚で参加してもらいました。するとどんどんメンバーが増えていって。メンバーが増えていくのと同時に私は主催するイベントを通して寄付金を募るようになり、ニューヨークを拠点とするLGBTQの団体に寄付をするようになりました」

寄付先を選ぶ上で第一に優先しているのは、LGBTQの子どもたち、そして青年層をサポートしている団体であること。青年に向けたプログラムを兼ね備えている団体、ホームレスへの福祉活動をしている団体、そしてHIV/エイズ団体もここには含まれるそう。その次に大切にしていることは、「誰もがスポーツを楽しめるように」といった「The OUT Foundation」に通ずるインクルーシブな思想を持っているかどうかだそう。

「そこからは全国でワークアウトイベントを開催するようになりました。参加者からは5年にわたり寄付金を募り、LGBTQ団体に寄付をし続けました。そこでようやく連邦所得税から免除される非営利団体の一種、501(c)(3)として『The OUT Foundation』を2017年に立ち上げることになりました。私が生きていく上で目標として掲げているのは、とにかく多くの人に影響を及ぼすこと。『The OUT Foundation』を通して、それを実現しています」


まずは学びと参加権を与えるところから

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「間接的な嫌がらせは、必要な知識が備わっていないところほど起きやすいものだし、実際に起きてしまっているのも否めない事実。だから私たちは声を大にして信念を主張すること、そして必要な教育を提供することが大切だと考えています。教育は基本的にオンラインやソーシャルメディア、そして施設での交流を通して行っています」

フィットネスをする上で自分のセクシュアリティやジェンダー・アイデンティティーに理解があるフィットネス環境があるのは最高だけれど、中には経済的な理由で参加できない人も。だからこそ「The OUT Foundation」は若い層に向けて、特別な取り組みを行っているそう。

「私たちが掲げるもう一つのタスクは、より幅広い層にフィットネスを提供することです。そのため、ゲイ・プライドの一環として設けているイベント#InfiltrateWithLoveのページからは、『Scholarship(奨学金)』」に応募ができるようになっています。参加費を支払うことができないLGBTQの若年層を対象とし、プログラムへ無料で参加できるのはもちろんのこと、栄養カウンセリングも無料で受けることができます」


築いていきたいのは、LGBTQが「居場所」と呼べる環境

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「私は物心が付く前からスポーツに触れてきました」と語るウィル。

「サッカーのフィールド、野球場、それから体育館が自分の居場所。どのスポーツにも片っ端から手を付けてきました。スポーツとフィットネスが私の人生を形作っているといっても過言ではないでしょう。その一方で、ゲイという性的関心を理由に幼い頃から苦労してきました。そんな中、私の心の支えになったのがスポーツでした」

「小学2年生の頃、初めて“Fag(ゲイに対する差別用語)”と呼ばれたことを今でも覚えています。小学5年生にはほぼ毎日“Queer(ゲイに対する差別用語)”と呼ばれ続けました。それでも引きこもったりはしないで、心と体をより健やかな状態に持っていけるようランニングやテニスに打ち込みました」

「だから私と似たような経験をしたことがある、もしくはしている人たち、あるいは同じような経験をする可能性がある人たちにこのコミュニティーをささげたいと思っています。私が『The OUT Foundation』で目指すゴールはそこです。チームの一員になることから生まれる喜びを味わってもらい、自分の体でできることに驚いてもらいたい。そして周囲になんと言われようと自分の運命は自分の手で変えることができる、と感じてもらえたらうれしいです」

現在、「The OUT Foundation」の参加者のおよそ7割がLGBTQで、3割がLGBTQをサポートする人たちなのだとか。


まだ改善を必要とするアメリカのフィットネスシーン

ウィルによると、フィットネスシーンは必ずしもLGBTQにとって安全な場所であるとは限らないそう。

「アメリカはとても広い国。だからそれぞれのフィットネスシーンや地域によって考え方が違うのも当然です。LGBTQコミュニティーに属するほとんどの人が『安心して』ワークアウトに取り組めてはいるものの、まだ安全と言い切れない場所があるのも事実です。特にトランスジェンダーにとっては問題も多いですね。多くのフィットネス施設は『必要な対策はとっている』と言いますが、私たちはまだ納得していません」


スタンスはただ一つ。「差別を一切許さない」

「どうすればより包括的な社会を築けると思う?」とウィルに問いかけると、意外にもシンプルな返事が返ってきた。

「私たちのアプローチはただ一つ。『差別を一切許さない』という姿勢を保つことです。かみ砕くと、二つの選択肢しかありません。誰も除外されない環境を作り上げていくか、古びた考えをどこまでも引きずるか。さまざまなビジネスにおいて一刻も早く前者を選ぶことができれば、時代はどんどんいい方向へ向かっていくでしょう。人を嫌うことや差別する必要はどこにもないのだから」

参加者たちが「また来たい」と思える環境が築けているのは、そもそもそれぞれのメンバーが「差別を一切許さない」という考えを念頭に置いているから。

「どのプログラムでも、『みんなが仲間の一員だと感じられること』と『仲間のつながり』の二つは、絶対に妥協しません。プログラムに参加し、『大きな変化を築いていく過程の一部になれた』『仲間ができた』と感じてもらうことができれば、目標達成ですね。そして『The OUT Foundation』は現在アメリカでは40州、世界では10カ国で運営をしています。ざっくり言ってしまえば、たった一つのプログラムに参加するだけで、私たちが築き上げてきたグローバルな家族の一員になれるということ。私はそれが一番クールだと思っています」

「もちろんプログラムにワークアウトは含まれるので、運動もしっかりこなしています。ただし、フィットネスは私たちのメッセージをより多くの人に届けるための『飾り』なのです」


日本でも主催は可能! 海外のイベントへの参加も大歓迎

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OUTWODのウェブサイトの「Events」ページに飛ぶと、“Host an OUTWOD (OUTWODを主催する)”というメニュー項目がある。ウィルに聞いてみたところ、「日本のジムでもぜひ主催して!」とのこと。この際、通っているジムに掛け合ってみては? また、ウェブから予約さえすれば海外での「OUTWOD」への参加も大歓迎だそう!


2019年はフィットネスの「場」を増やし、「メディア」でつなぐ

今後について聞いてみると、「2019年はぐんと成長する年になりそう」とウィル。「来年は、地域のLGBTQ青年団体と手を組んで、『School’s OUT(スクールズ・アウト)』というプログラムを始める予定です。内容としては13歳〜17歳のLGBTQの子たちに向けて数日間にわたるプログラムを提供して、フィットネスを目いっぱい楽しんでもらうというもの。また、ポッドキャストやYouTubeチャンネルなどメディアも活用していけるよう準備しているところです。視聴者は毎週そこからLGBTQのフィットネスコミュニティーにおけるインタビューやトピックがチェックできるようになる予定です」

今後の発展も楽しみな「The OUT Foundation」。アメリカを訪れる際にはOUTWODの開催時期もチェックして、LGBTQの未来をサポートしてみては?

■ THE OUT FOUNDATION
ウェブサイト:https://www.theoutfoundation.org/
インスタグラム:@outwod | @theoutfdn 
フェイスブック:http://www.facebook.com/theoutfoundation.org

Photos: Sam Auburn Photography

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