5年くらい前までは、食事を抜くことはダイエットにおけるタブーのトップに来るものだった。でも、今では最も人気があり、研究でも効果が証明されている体重を減らす方法。

間欠的ファスティングとも呼ばれるインターミッテント・ファスティングとは、食べる量を一定期間ごく少量にする断食方法。身体によい効果があるだけでなく、血中のグルコースレベルを下げたり、インスリン耐性を下げたり、炎症や循環器系のリスクも下げる効果があるそう。

なぜ? どのような仕組みなの? さまざまな説はあるけれど、専門家によると断食をすることで細胞をゆるやかなストレス下に置くことになるそう。これには運動が筋肉や心臓を刺激して、強くして、病気にかかりにくくするのと同じような効果がある。

さらにそれだけでない。「研究では、減った体重が同じでも、他のダイエットに比べて脂肪が減る割合が多いことを示唆している」とアラバマ大学の栄養科学を教える、コートニー・ピーターソン助教授。12時間ファスティングをすると炭水化物からのエネルギーがなくなり、脂肪を燃焼しはじめるため。

ただ、最近の研究では、1日置きのファスティングを6ヶ月実践した場合、普通のローカロリーダイエットと同じで体重を6%落とすことができたが、38%の人が途中で挫折したという結果に。ファスティングの離脱率は、ファスティング以外のダイエットの離脱率よりも10%も多かったそう。そして、似たような問題はこれ以外の研究結果でも出ているという。

では、離脱する人が多い上に、空腹時間が長いダイエットをわざわざやるべきなの?

実は身体へのよい影響だけでなく、実際にファスティングが好きだという人もいるそう。そして、ファスティングは体重管理に一番簡単な方法と考える人も。ナショナル・インスティテュート・オブ・エイジングの神経科学者、マーク・マットソン博士はこのインターミタント・ファースティングを1990年代から研究していて、自身もこのファスティングを実践している。「一度慣れると、実はそんなに大変なことではない。身体は慣れるもの」とマットソン博士。他にも、ビヨンセやシリコンバレーのテック系の人々の間でも、インターミタント・ファースティングは人気だそう。

まず初めに、この新しいファスティング方法はカロリーを減らすことがポイントではなく、カロリーをいつもの3食と間食、という配分ではない形でとること。そして、いつもの3食と間食という食べ方は、食べ物がいつもあるわけではない時代を考えると、そもそも人間に合っていない、とう説も。

ファスティングが週に2回の断食なのか、ある一定の時間枠で食べるというやり方なのかに関わらず、カロリー計算は必要がないのがうれしいポイント。ファスティング期間中のメニュー(たとえば1日500kcalにして鶏肉と野菜を食べる)を決めて、それ以外の日は健康的な食事を摂ればOK。ただ、成功のカギは、普通の日に食べ過ぎないこと。

研究者によると、ファスティングしている日に比べて普通の日は、10%から15%多くカロリーを摂ったという。ただ、ファスティングをしているので全体として摂取カロリーは減ったそう。

Diet note on plate with fruits and vegetables, hands tied with measuring tape
Motortion//Getty Images

お腹は空かないの?

確かに、期間中にお腹が空くこともある。でも、それはいつもではないし、耐えられないようなものでもない。「日が経つと空腹感が増すというわけでもない。調査結果によると、むしろ満足感や満腹感が増した」とクリスティン・ホッディー博士。ホッディー博士は、ファスティングの研究もしており、一部の被験者は他に考えることがあったため、空腹だということを忘れたそう、と話す。

空腹感も時間が経つにつれて耐えられるようになってくるという。研究によると、一日おきのファスティングの参加者は、空腹感を1から10までで示した場合、最初の数日間は8だったが、2週間たつと、3まで下がったと言う。マットソン博士によると、3週間から4週間が分岐点で、これを過ぎると食べなくても空腹を感じないようになる。

どんな人におすすめ?

まだファスティングに関する長期にわたる研究はないけれど、効果は期待できそうな上に、リスクも低いとみられている。そして、もしやってみて合わなかったらすぐにやめればいいだけ。今回のファスティングに関してのアドバイスをくれた栄養士のケリー・グラスマンによると、期間を決めたファスティングは、ダイエットの停滞期を乗り越えさせてくれるかもしれない、と言う。ただし、一部の人には短期間でもファスティングは負担が大きいかもしれない。

ホッディー博士はまずは2週間試してみて、なにを食べてどんな気分だったか記録することをすすめる。もし、イライラしたりするなら、少し調整したり、別のダイエット方法にしたりしてみて。ホッディー博士がファスティングを試した時は、1回の食事を2回に分けて夫と一緒に夕食を食べるようにしたそう。どんな種類のファスティングでも脂肪燃焼に役立つので、夜ごはんを早めにして、朝までの空腹時間を長くするだけでも、効果はある、とピータソン氏。まずは、小さくてもいいから少し試してみるのも良いかもしれない。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text:Michelle Stacey Text:Noriko Yanagisawa Photo:Getty Images