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不安な気持ちを抱えているとなかなか運動する気にはならない……。でも不安に対するエクササイズの有効性は、数々の研究結果が裏付けているそう。この内容をUK版ウィメンズヘルスからご紹介。

エクササイズをすると……

● 定期的なエクササイズで不安が20%軽減される
● 有酸素運動には抗うつ作用がある
● マインドフルな動きは、ストレスと不安の緩和に役立つ可能性がある

でも、不安に最も効果的なエクササイズは何なの? 

不安なときのエクササイズの始め方

動悸(どうき)、息切れ、手汗などの不安症状が見られ、「もしも」のこと心配ばかりしている人にとっては、エクササイズの優先順位が非常に低い。

でも、どんな形であれ体を動かすことはおすすめ。「マインドフルに動くと、心と体がつながる」と説明するのは、自殺防止チャリティー団体「Hectors House」のアンバサダーでパーソナルトレーナーのダン・ロバーツ。「個人的な経験から言うと、心と体がつながったクライアントは、“非現実的に生きる” のをやめる。これが精神的な健康づくりに役立つ」

口で言うほど簡単じゃないと思うかもしれないけれど、毎週マラソンを走る必要はない。重要なのは、小さなステップの積み重ね。

「毎日の練習は非常に有効」とロバーツは続ける。「グループエクササイズでも、ウォーキングでも、ストレッチでもいい。心と体をつなげる何かを毎日行うだけで結果は出るから。楽しいと思えることをすることが特に重要。僕なら、新しいアクティビティと、やり慣れた大好きなアクティビティでバランスを取る」

不安なときに避けるべきエクササイズは?

「重度の不安を抱えている人が気を付けるべきなのは、エクササイズそのものではなく、エクササイズ(とエクササイズを行う環境)に対する感情とメンタリティ」だとロバーツは言う。「水泳は体にいいけれど、自分の体を極端に気にしている人が混み合ったプールに入ることはおすすめしない」
「エクササイズは体にとってストレスなので、運動中に不安発作が起きることもある。結果や他人の目を気にするのではなく、体を動かすことに没頭してみよう。不安を感じたら、それを認めて休憩すること。自然の中を散歩すると気分が楽になるかも」
HIITからヨガまで、あらゆるタイプのエクササイズが不安対策に効果的であることは、科学的にも証明されているそう。「どんな運動でもいいから、とにかく集中すること」

散歩は落ち着く?

ロバーツによると、「自然の中での散歩は特におすすめ。それを証明する研究結果は、ここ10年間で増え続けている。自然の中に身を置くと心が落ち着き、それだけで不安症状が軽くなる。人間は都市での生活を前提に作られていないため、現代社会で不安を抱える人が劇的に増えているのも正直言ってうなずける。心の健康には、自然の中で体を動かすのが一番自然で一番優しい」

しかも、イギリスの医療専門誌『British Medical Journal』に掲載された研究結果は、自然とのつながりが、健康とウェルビーイングを向上させることを示している。それどころか、癒やし効果があまりにも高いため、自然の中でのエクササイズには「エコセラピー」という名前までついている。

ヨガは不安に効果的?

間違いなく効果的。ロバーツの言う「心と体のつながり」が得られることも理由のひとつではあるけれど、ヨガが一種の呼吸エクササイズであるという事実も大きく関係している。ヨガの呼吸法は、深刻なうつ病と戦うのに役立つばかりか、過呼吸を抑えることでパニックや不安も和らげてくれる。

ヨガのクラスに参加する気になれない場合は、ロバーツが勧めるシンプルな呼吸エクササイズを自宅で実践してみよう。
「肋骨(ろっこつ)が伸びるように、両腕を肩の上で伸ばしながら鼻から息を吸い、4秒間息を止め、8秒かけて口と鼻から息を吐く。腕を下ろし、ブルブルと震わせてリラックス。これを5セット繰り返す。肺に空気を送り込み、空、雲、周りの木々を見つめることに集中しながらやると、体と自然がつながりやすくなる」

不安を和らげるのに最適なエクササイズは?

ロバーツいわく「定期的な運動は、不安を抱える人に数々の利益をもたらす」

● 自分に自信がつく
● よく眠れるようになる
● 認知機能が改善する

「運動中の体はパワフルで、高い能力を発揮する。また、体内では3つの大きな化学変化が起きている。まず、エンドルフィン(痛みを和らげ、抗うつ剤に似た働きをする化学物質)が増えるので、充実感とリラックス効果が得られる。次に、脳由来神経栄養因子と呼ばれ、ストレスとうつによるダメージを受けた脳細胞を修復するタンパク質の生成が加速する。そして最後に、エクササイズによって気分を改善する上で重要な役割を果たす内因性カンナビノイドが増産される」

不安な時におすすめしたい3つのエクササイズ

1.太極拳
「太極拳は、体幹をコントロールしながら流れるように体を動かすソフトな武術。姿勢、呼吸、(精神性や気を)可視化するテクニックを重んじるため、他のワークアウトにはない感覚が得られる。ストレスを発散し、体の深部とのつながりを感じるのにピッタリ。ハードにカロリーを燃やすだけがエクササイズじゃない」

2.ランニング
「“動きながらの瞑想” と捉える人も多いランニングは、安全かつ無料だし、技術的にもシンプルで自然。長距離走では、内因性カンナビノイドという化学物質が分泌されたときに起こる “ランナーズハイ” という現象も経験できる。自然の中を走ると心身の豊かさが増し、ストレスが減るので、アウトドアランニングがおすすめ」

3.シャドーコンバット
「鏡の前に立ち、『トゥームレイダー』のララ・クロフトが繰り出す動きを全部練習してみよう。新しいスキルを習得するのは楽しい。複雑なスキルを身につける過程で心身のつながりが感じられるし、自分の体がありがたく思える。その結果、自分に自信がついて、肥満、摂食障害、体へのコンプレックスから身を守れるようになる。YouTubeの動画でシャドーコンバットのテクニックを学んだり、オンラインのワークアウトプログラムに参加したりしてみよう」

 
※この記事は、UK版ウィメンズヘルスから翻訳されました。



Text: Editor of Women's healthTranslation: Ai IgamotoPhoto: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。