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忙しかったり一人で食べることが増えると、つい“早食い”になりがち。でも、この早食いこそが、太るもとと識者は言う。早食いにならないための方法を、多くの人の体形&食事コントロールを成功に導いてきた、パーソナル管理栄養士でダイエットコンサルタントの三城円さんがアドバイス!

健康面へのデメリットも。早食いは即、やめるべき悪しき習慣

「痩せたいと思うなら、食事の内容や量だけでなく食べ方も大事です。特に早食いは絶対にやめるべきです」と言うのは、的確で分かりやすい食事指導で知られる、管理栄養士の三城 円さん。

「咀嚼の少ない早食いは健康面のデメリットも多い。食事は習慣だから、一度早食いになると、それが当たり前になってしまいます。意識してたくさん噛んで、ゆっくり食べるクセをつけましょう」

体の仕組みから考える、理にかなった「ゆっくり食べることのメリット」

食事を食べて血糖値が上昇すると、満腹中枢が刺激されて食欲が抑えられる。満腹中枢が刺激されるまでには15分ほどかかるので、15分以上かけてゆっくり食事をするのが食べすぎを防ぐコツ。

「早食いだと満腹感が得られずに食べ続け、結果“腹十二分目”になってしまうことも」

満腹中枢は脳にブドウ糖が送られることでも働くため、糖質制限をしている人は満腹感が得られにくいことも覚えておいて。

噛むことのメリットは一つじゃない。今、改めて知りたい噛むことの意味

噛むことで分泌される唾液も大事な要素の一つ。唾液には吸収や消化促進の作用があるため、胃腸での消化と栄養素の吸収を助けてくれる。また抗菌作用もあり、口臭や虫歯を防ぐ効果も。

「スムージーなど、噛まなくていいものばかり摂り続けている人は要注意。栄養素は、胃腸でゆっくり消化することで、吸収率がアップします。病気などで噛むことができない場合は液体食になることは仕方ありませんが、食事の原則として栄養素は自分の体の機能を使いながら噛んで食べてこそ、ということを忘れないでほしいですね」

「ゆっくり食べる、よく噛む」が身につく食事法。その3つのポイント

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「早食いをやめるためには、食べるのに時間のかかる食事にするのが近道です」。三城さんによると、そのポイントは次の3つ。

全体を見わたせて調整できる「定食」を選ぼう
一品ずつ配膳されるコース料理より、全品が一度に出される定食スタイルが○。コース料理の場合、確かに時間をかけて食べられるけれど、ひと皿ごとの味が濃くなりやすく、バターや油の使用量も多くなりがちなのでダイエットには不向き。

定食だと量が一目で分かるので、食べるペースを計算しやすい。全ての皿のトータルで風味や食材、栄養素のバランスをとる工夫がされているので、主菜は濃い味で油を使用、副菜は薄味で油少なめなど、調味料や油を抑えることもできて、自然と低エネルギーに。

「濃い味のものがそろうと反射で噛まなくなるので、主食のご飯は素材の味がそのままのもの、そして副菜には薄味のものを選ぶのもコツです」

「口内調味」を活かす交互食べ
せっかくの定食スタイルも、ひと皿ばかりを食べ切ってしまう“ばっかり食べ”をしては台無し。主食、主菜、副菜、汁物を順番に食べる“交互食べ”が正解。

「ご飯とおかずを交互に食べることで、ご飯を口の中で噛みながら主菜などで味付けする「口内調味」ができるので、さまざまな味わいが楽しめます」

噛むことで味が広がるので、無意識のうちに咀嚼回数もアップ! 「おすすめは汁物から口にすること。口の中が潤って食べやすくなります」

汁物は具だくさんにする
交互食べで注意したいのが、汁物での流し込み。口に含んだご飯や主菜を噛まずに流してしまっては、交互食べによる効果も激減。

流し込みを防ぐためにも、汁物は具だくさんに。旬な野菜や、タンパク源になるきのこや海藻、豆腐など3〜4品入れるのがおすすめ。噛む必要性が出てくるし、副菜がなくても具の食材で栄養素が摂取できるので、自炊の負担も軽減! 

「みそ汁を具だくさんにすれば、具のうま味が出汁になり、みその使用量も少なくて済みます」と、三城さん。

どれもすぐ実践できるものばかり。早速今日から取り入れて早食い習慣を脱却、太りにくい体を目指して!



Photo:Getty ImagesText:Yuko Tanaka

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三城 円
管理栄養士

一般社団法人日本パーソナル管理栄養士協会代表理事、食の相談窓口 San-CuBic代表、一般社団法人日本ジュニア・アスリートサポート協会顧問。自身のダイエット、摂食障害の経験から食に苦しむ人を救うべく、「パーソナル管理栄養士」として独立。ダイエット指導や摂食障害のケア、アスリートのパーソナル食事コンサルティングを行う。分かりやすく、腑に落ちる解説で女性誌やマスコミから注目を集める。